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王都編㉔〜二人の歩く道〜

王家の会食もエーシェが眠ったことによりお開きとなった。

会食から数時間後の帰り道から始まります。

2章&王都編最終回です。

二人の道進んでいく道がやっと見えてきたそんなお話になっていたらいいな。

王家の方々との会食が終わり数時間。

僕は今エーシェを背負いながら歩いています。

重くはないんですけど…一人で歩くのよりはさすがに消費が激しいですねぇ〜。

「エーシェさ〜んそろそろ起きてくれませんかねー」

「うぅ…なんで私…なんでエル君が私を!?」

びっくりしてますねー。

僕も同じ状況ならびっくりしますけどね。

そそくさと僕の背中から降りるエーシェさん。

「おはようぐっすりだったねー。気持ち悪かったりしない?」

「大丈夫よ。ありがとう…あれ?」

なにかに気がつくエーシェ。

「なんで私着替えてるの?」

これまで着ていたきれいなドレスではなく、いつもの暗い色の服に変わっていることに気が付き混乱をしている。

「それ、お城の使用人さんたちが寝ているエーシェを着替えさせたんだよ」

「なんで知ってるのy…まさか!?」

「見てない!見てないって!話を聞いただけだから!」

「そう?それならいいけど」

誰も見ませんてそんなの。いや、興味が無いわけではないんだけどさ。

「あれ?耳飾りが無い?お城に忘れてきちゃったのかな?」

あー気がついちゃったのかー。

「それね…コディティアが捨てちゃったらしいんだよ」

僕は何も嘘は言っていない。

ただ、これは少し言葉を考えていなさすぎたのかもしれない。

「う…そ…そんな…ごめんなさいエル君。そんなつもり無かったのに…ごめんなさい…」

ポロポロと目から涙を流しながら謝ってくる。

これはまずったな。

「エーシェが謝ることじゃないよ!」

「でも…だってぇ…せっかくもらったから…大切にしようと決めてたの…」

「っ…」

代わりを買ってあげるからなんて安易な言葉が出てきそうになったのを飲み込む。

こういう時にうまい言葉が出てこない僕の使えない脳みそを疎ましく思う。

なんて言ったら…

「大切にしてくれてたんだね…ありがとう」

この言葉でエーシェの涙は止まった。

「失くしちゃったこと…怒ってないの?」

そんなこと気にしていたのか。

「怒ったりしないよ。だって、エーシェに悪いところなんて無いんだからさ」

目元に残っていた涙を指で拭ってあげる。

これ…漫画とかでやるやつ居るのかよとか思ってたけど、自然とやってたわ。

なんかこう…眼の前で涙を流されるとあれだね守ってあげたくなるというかなんというか。

「あーもー僕らはこういうの似合わないって!」

「ふふっ。なによそれ」

「いや、だってさ、僕らだよ?こういうラブコメみたいなの似合わないから!」

「それ自分で言っちゃうんだ。エル君らしいけど」

エーシェに笑顔が戻る。

あーよかった。このままだったらどうしようかと思ったよ。

「あの耳飾りと同じものは無いけど、もしよかったら何だけどさ…一緒に買いに行きたい物があるんだけどいいかな?」

「買いに行きたいもの?」

「僕の前世の記憶だとね。こういう時に女の子に贈るものがあるんだよ」

「なーにそれ?」

「エーシェは知ってる?左の薬指に指輪をはめるって文化」

「知らないわね」

「大昔の人が信じていたことなんだけどね。左手の薬指と心臓は一本の血管で繋がっていると思われていたんだ。で、心臓って心が宿ってると思っていたからそこに愛の証である指輪をはめることが夫婦になる二人の心を永久に結ぶと考えられていたんだって」

「へ、へー」

おっと急に喋り過ぎたか。

「だ、だからさ。この前はエーシェだけだったけど、今度はお揃いの物を買いに行こうよ」

「ええ、わかったわ。じゃあ、行きましょ?」

エーシェが手を左手を差し出す。

その左手に僕は自然と自分の右手を差し出していた。

二人で手を握り歩き始める。

「僕から言い出しておいてなんだけどさ、お店知らないんだよね」

「そんなことだろうと思ったわ。こっちよ」

エーシェに手を引かれながら歩いていくとガラス張りのキラキラしたお店の前に出た。

うっわぁ〜高そうだなぁ…。

「ここ?」

「そう。王都で一番の人気店よ」

王都の人って金持ってんだなぁ…。

店に入るとぴしっとした格好をしたザ・キャリアウーマンみたいな人が出てきてくれた。

「いらっしゃいませ。本日はどのような…エーシェルド様!?」

あら、この人は知ってる人なのね。

「ひさしぶりねイザベラ」

「ほ、本日はどのようなご要件で…?」

エーシェがこっちを見てくる。

ああ、僕が言えってことね。わかりましたよー。

「二人で記念になるものを買おうかと思って」

「そうでしたか。エーシェルド様この方は?」

「えっと…私の夫になる人…よ?」

「え!?」

そりゃーびっくりしますよねー。

どうもー!

「まぁ、いろいろあったのよ。詳しい話はまた今度ね」

「そうでしたか。では、本日はどのようなものをお探しなのでしょうか?」

「指輪はありますか?できればはめてある石は魔石がいいんですけどありますか?あと、あれです同じ物を2つあればと思って」

「しょ、少々お待ち下さい!?」

イザベラさんは裏に引っ込んでいってしまった。

「エル君一気に伝えすぎよ。あれじゃ大変よ」

「そういうもんか。でも、たくさん持ってこなくて済むかなと思ってたんだけどね」

「でも、困ってたじゃない」

ごめんなさいね…。

「お、おまたせしました!ご要望の品はこの辺りなどどうでしょうか?」

大急ぎで戻ってきたイザベラさんが持ってきてくれたのは数種類の指輪だった。

「エーシェどれがいい?」

「エル君が選んだものでいいわよ」

そう言われると困るんだよなぁ…。

「一旦全部開けてもらってもいいですか?」

「かしこまりました!」

順番に開けてもらって確認していく。

1つ目は…宝石が大きくてちょっとゴテゴテすぎるなぁ…。

2つ目は…悪くないがなんか違う感…かな?

3つ目…葉っぱのような装飾の間からいくつかの宝石がきらめいている。

「これはどう?」

「あら、意外と落ち着いたのを選ぶのね」

「付けながら生活をするって考えるとゴテゴテなのはちょっとどうかなと思ってね」

「たしかにそうね。じゃあ、イザベラコレでお願い」

「ありがとうございます。では大きさを調整させてもらいますので少しお時間をいただきます」

「お願いします」

僕らの指のサイズを確認してイザベラさんはまた裏に引っ込んでしまった。

「そうだエーシェ。宿に帰る前にもう一箇所寄り道していきたいところがあるんだけどいいかな?」

「いいわよ?どこに行きたいの?」

「ちょっと静かな場所かなー。どこかいい場所ある?」

「またそれー?んー…1つ思い浮かんだ場所はあるわね」

「じゃあ、そこで。できたら連れて行って」

「はいはい。あ、そうだ。せっかく時間ができたんだから考えなきゃいけないことがあるんだけど」

え?なんですかそれは…

「エル君男爵になったんだから自分の家を表すための家紋が必要になるのよ。どうせしらなかったでしょ?」

「えーなにそれ…知らんかった」

「そうだと思ったわ。せっかくだしここで作ってもらえばいいじゃない」

あ、これってそういう感じのやつなんだ。

「家紋かぁ…なんでもいいの?」

「他の家とあまりに重なっていなければ大丈夫よ」

「んー…じゃあこんなのどうだろ?」

机に置いてあった紙にペンでスラスラとイメージを書いていく。

剣と杖とその後ろにその2つを守るように翼を広げるドラゴンの図。

「これは後ろに居るのはヒスイ?」

「そうだよ。剣が僕で杖がエーシェ。いかにも僕達らしいじゃん!」

「ふふふっ!そうね。私達らしいわね」

「でも何か足りないような気もするんだよねー」

「んー?じゃあ、こんなのはどうかしら?」

僕の手からペンを取り上げてエーシェが僕の書いた案に絵を書き足していく。

剣と杖の周りを取り囲む蔦のような葉っぱの生えた植物が輪っかのように広がっている。

どことなくさっき選んだ指輪の装飾に似ているような…。

「エーシェ絵がうまいんだね」

それ以上にびっくりしたのはエーシェの絵のクオリティーだった。

スラスラと書いた割にめちゃくちゃうまい。

「貴族の嗜みよ。これくらい普通よ」

へ、へぇ〜。隠したくなる自分の絵…

伝わらなかったら嫌だからメモ書いておこう…

「お待たせいたしました!調整が終わりました!」

イザベラさんお疲れさまでした。

「ありがとうイザベラ。もう一つお願いしたいんだけどいいかしら?これは急ぎじゃないから」

「はい!何でしょうか!」

「私と一緒に居るエル君がいろいろとあって男爵の地位をもらったの。それで家紋が必要になったんだけどあなたのお店にお願いできないかしら?」

若干疲れの見えていたイザベラさんの顔がはれていく。

「いいのですかそんな大役を…任せてください!最高のものをお作りいたします!」

「そう…ありがとう。これが私達が考えた原案だからこれを元に作って欲しいのだけど大丈夫かしら?」

さっき僕らで書いていたメモをじっと見つめるイザベラさん。

すみませんね下手くそな絵で…。

「これならば数日以内に出来上がると思います!丁寧な案ありがとうございます」

まさかお礼を言われるとは思わなかった。

「そう言えば支払いに関してなんですけど、ここに請求をお願いします」

自分の口座を書いてイザベラさんに渡す。

「かしこまりました。では手続きはこちらでしておきますので。本日はありがとうございました」

指輪を入れてもらった紙袋をもらい店を後にする。

「それじゃさっき言っていた場所に案内お願いね」

「わかってるわよ。ほら着いてきて」

エーシェに再び手を引かれ街の中を歩いていく。

今までは街の北側や西側ばかりだったが、今回連れて行かれていかれているのは街の東側だった。

「こっちに来たのは初めてかも知れない」

「こっちはお店とかも少ないから仕方ないと思うわよ。だからこっちに来たの」

「そうだね。中心部に比べてすごく静かだね」

「私はこういう場所が昔から好きだったの。たまに黙ってお城を抜け出してこっちの方に来ていたことがあったの」

「脱走癖は昔からあったってこと?」

「脱走癖って…まぁちょっと嫌なことがあると外に行っていたから月一くらいで行っていたわね」

割と頻度高めじゃねーか!

「その度に私を迎えに来てくれたのが今回私を迎えに来ていたワーデルだったのよ」

やっぱりエーシェを迎えに来ていた人はエーシェの知り合いだったんだな。

「いつでもどんなときでも私のことを見つけてくれたのは彼だけだったわ。いつも私がそろそろ帰ろうかと思うとちょうど声をかけてくれるの。今回はちょっと違ったけどね」

「そう言えば何か硬貨を見せたらエーシェが部屋から出てきたって行っていたけどあれ何だったの?」

「そんな話まで聞いてたの?あれはね、昔私がいつもお世話になっていたワーデルにプレゼントした模様が書かれたものだったの」

模様をプレゼントした?よくわかんないけどいい話っぽい?

「まさか何年も前にあげたものが硬貨になって自分の前に現れたらから驚いたわよ。それですぐに彼が迎えに来たってわかったから話に行ったの。そしたらそのままお城に変えることになっちゃってね」

「なんであんな意味深なメモを残していたたの?」

「意味深?何が?」

「だって何か濡れた跡とかあったし…」

「あーあれね!書いている途中でくしゃみしちゃって」

おいおいきっちゃね!

「なーに?涙の跡だと思ったとか?」

「別に…思ってねーし…」

「ふふっ。嘘が下手ね。でもありがと」

エーシェに手を引かれ町外れの丘までやってきた。

丘の上には大きな木が一本立っている。

朝から行動し始めたけど、王様と再度謁見して、王家の方々と話し合いと会食…そしてエーシェが起きるちょっと前まで待機して指輪を買ってと一日中動き回っていたらもう夕方だ。

やることがいっぱいあると一日なんてあっという間だな。

木の生えているところに二人で座って沈んでいく夕日を眺める。

「いい場所だねここ」

「私のお気に入りの場所よ。ここからは街が一望できるの。落ち込んだときはここに来て私はこの国のために頑張らなきゃって思ってたの」

へー偉いねー。

「それで?どうして静かな場所に来たかったの?」

「さすがにちゃんとしようかなと思ってね。なんだかんだでこんな感じになっちゃったけど…」

紙袋に入っていた指輪のケースを取り出して片膝を付いてエーシェの前で開ける。

「こんな感じの僕だけどこれからもずっと一緒に居てくれますか?」

僕の言葉を聞いて左手を差し出すエーシェ。

「そんなの…当たり前じゃない!」

その言葉を聞いて僕はエーシェの左手の薬指に指輪をはめる。

「じゃ、次は私ね。それ貸して」

僕から紙袋を半ば強引に奪い取っていくエーシェさん…。

「ほら、左手出して」

僕の左手の薬指にも指輪がはめられた。

僕は今後もこんな感じで彼女に振り回されるのかもな。

まぁ、あんまり悪い気もしないんだけどね。

「これからもよろしくねエーシェ」

「こちらこそよろしくねエル君。それとも旦那様って読んだほうがいいかしら?」

「いや、慣れないんでこれまで通りでいいよ」

「なによー。ちょっと雰囲気出してみただけなのに」

ぐいっと手を引っ張られて僕は態勢を崩しかける。

前傾姿勢になったところでエーシェがキスをしてきた。

「割と強引だよねエーシェって」

「だってエル君からこういうことしてくれないじゃない」

ま、まぁ…それはそうなんだけどね。

「そういうのは慣れてないんだよ」

「そうなの?前世の記憶あるって言っていたじゃない?」

「僕は前もこうだったの」

「ふーん?じゃあ、結婚は?」

「してなかったよ。今回が初めて」

「ふーん…そうなの?ふーん?」

どうした急に反対の方へ向いて。

何か怪しい…。

「こっち向いて!」

ぐいっとエーシェの顔をこちらに無理やり向ける。

「なによー!離してよ〜!」

うわコイツめっちゃにやけてる。

「ニヤニヤしてるねー」

「悪い?いいじゃない喜んだって」

そんな反応をされるとちょっとうれしいじゃないか…。

うーんなんかしらんけどさっきから僕っぽくないなぁこれ…。

ちょっと本調子に戻さないと。

「何かこの会話僕らっぽくないわ。調子狂う」

「エル君はたまにそうやって空気壊すわよね」

「いやー。自分のペースってのがあるかなと思って」

「そういうものなの?」

「そういうものなの。そう言えばお城で聞いた話があってさ、答えたくなければ答えなくてもいいんだけど」

「何?」

「何かエーシェお城に戻ってからコディティアに酷いことされたって聞いたんだけど…」

「っ…」

あーやっぱり聞かないほうが良かったかなぁ…。

「い、嫌なら別に答えなくてもいいんだよ?」

「…たの」

「なんて?」

「無理やりしたくもない口づけをされたの!!」

あ、思ってたよりライトだった。

僕ももう大人ですからね。ちょっと色々な想像をしちゃったよね。

《エル君のえっちー》

急に出てこないでもらってもいいでしょうか?

《なんでよー!》

というかそれしか言ってこないねアティさん。

《だってエル君の思考が読めちゃうからしかたないじゃない》

読まないでお願い…。

「どうかしたの?」

しまった…顔に出てたか。

「いや、何でも。もしかしてそれで急にキスしてくるようになったの?」

「キス?へーそっちではそういうのね。そうよ腹いせにやってると言ってもいいわね」

腹いせって…。

「まぁ、それなら…」

今までは奪われてばかりだったからね…。

エルドナスになってから初めて自分から女性にキスをした。

その感覚がどうだったかなんてのは正直あまり覚えていないけど、びっくりしているエーシェの顔を見れてちょっと満足した。

「嫌だった?」

「嫌…じゃなかったわね」

「そ。それなら良かった。そろそろ帰る?」

「そうね。すっかり暗くなっちゃったものね」

気がついたら夕日は完全に沈んで空は闇に包まれ始めていた。

んー?なんだあれ?

「何か空を飛んでる?鳥?」

「あれは…コウモリかしら?」

「この時間ならそうかもね。よくいるの?」

「そんなことは無いと思うけど…初めて見たもの」

初めてみたのにコウモリって即答してくるのはどうなってるの?

「変なのが出てきても嫌だから早く帰ろっか」

「そうね」

二人でまた手をつなぎ宿に向けて歩き出す。

二人で共に歩んでいく誓いを立てて最初の一歩目を。

ふとエーシェの方を向くとエーシェもこっちを見ていた。

これからどんなことがあるかわからないけど…頑張ろうねエーシェ。

再び前を向いて歩き続ける。

僕らの新たな旅路の一歩目を。

【王都編㉔〜二人の歩く道〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました!

ここまで全てのお話を読んでいただいた方々には感謝しかないです。

初めはここまでしか考えていなかったエル君の物語も僕がまだエル君たちと一緒に居たいからという理由だけでまだ続けようと思います。

ちょっとまた続きを考える時間も必要かもしれないけど、絶対に続けていきたいと思ってます。

もし、この先も続きを読んでいただけるようでしたらこの先のエル君たちを暖かく見守って居てほしいです。

【次回予告】

エル「え?あるの?」

エー「そうよね。3章の宣伝?」

ヒスイ「やっと二人が戻ってきてくれた…あの人に振り回されて大変だったんだよ」

エル「ああ…それはお疲れ様。それであの人はどこ行ったの?」

作者「やぁ!」

三人「「「でた…」」」

作者「酷いなぁ…僕だって傷つくんだよ?」

エル「全部自作自演でしょ?」

作者「まぁ今も真顔で文章打ってるし、考えていることと表情がリンクしてないよね」

エー「次回って何やるのよ」

作者「前に呟いていたあれを実行するときかと…」

ヒスイ「あれって?」

作者「次回は…【幕間④〜2章完結記念!キャラクター座談会!〜】です!」

エル「あれ…マジでやるのかよ…」

作者「実はもう原稿出来上がってたりもする…手直しするけど…」

エル「そういうときだけ仕事早すぎん?」

ヒスイ「じゃ、僕らも準備するからまったね〜」

エー「そうね。私達も何を話すか確認しなきゃね。またね」

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