王都編㉒〜王家と会議〜
勇者コディティアが起こした事件の報告を終えたエルドナスが迎える新たな展開!!
まさかのエーシェの両親への挨拶イベントだった!
えっと?これは…どうなっちゃうのかな?
頑張れエル君!
謁見はその後特にこれといったことはなく終わった。
そして、僕は今王家の方々と数名の使用人の方だけが居るお部屋に居ます。
どうしてこうなってしまったんでしょうか僕は…。
「改めて、今回の件は少し気になる部分もまぁ…無いことは無いんだが、娘を救ってくれたことに感謝する。ありがとうエルドナス」
僕に向けて頭を下げる王様。
ちょ、それ困るんですけど!どう反応したらいいんですか!?
「ここは、公の場では無い。緊張はしなくていいし、砕けてくれていい。私もああいう場だからそれっぽくしているだけだからな」
ふぇっ!?
「あー肩こったわー。えっと、毎度毎度エルドナスと呼び捨てにするのもなんだからえっとなんだっけか、エーシェルドはなんて呼んでたんだっけ?」
「私はエル君って呼んでるわ」
「そうか、じゃあ、エルでいいか」
どうした王様!?
さっきと別人じゃないか!
「いやー実は私はああいうのは得意じゃなくてね。王様っぽい感じを演じていると考えているんだけど、どうだった?王様っぽかったか?」
「ええ、それはそれはもう王様でした」
「そっかー…良かったよ。こういう意見を聞けることってほとんど無いから貴重な意見の1つとして参考にさせてもらおう」
ちょっと待ってくれ…王様の急変ぶりにちょっとついていけてないんだけど…。
「それになんだっけ?ああ、エーシェルドはエーシェって呼ばれてるの?」
「最初に私の名前から身元がバレないようにエル君にはいつも縮めたもので呼んでもらっていたんです」
そうだったんだ知らなかったよ。
てっきり長いからかと思ってた!
「そうか。確かに愛称で呼んだことはなかったな…。うん。じゃあ、私も呼んでみるかなぁエーシェ」
「はぁ…もうなんでもいいです。ご自由にどうぞ」
おっとすごい冷たいねエーシェさん。
「おっとすまない私ばかり。早速だが私の家族を紹介させてもらう。まずは、私の妻のラフィーナだ」
「よろしくね〜エル君」
ほわほわ〜っとした人だなぁ…。
割とはっきりした性格のエーシェとは全く違うなぁ。
それにしても見た目が若すぎる。
とても3人の娘を産んでいる人とは思えない。王族って若返りの秘薬でも持ってるの?
「次に手前から第一王女のイナンダと第二王女のウフェルナだ」
「イナンダよ。よろしくね弟くん」
いや…ちょっと早まらないでほしい…。
ニヤニヤしているところを見るとエーシェが僕にいたずらをしてくる時と同じ顔しているからこの人絶対僕で遊ぼうとしてます!王様王妃様助けて!
「ウルフェナと申します。よろしくおねがいしますねエルドナスさん」
なんで僕にそんな敬語を使ってくるんですか!?
立場が逆ですよ逆!!
でも、優しそうだなぁ〜。こういうお姉ちゃん欲しかったなぁ。
僕はこのお姉さまと仲良くなりたいですぅ〜。ばぶ〜。
っは!!気がついてはいけないことに気がついてしまった!
これ、エーシェに言ったら絶対にこの世から消されかねない無いようなんだけどいいかな!?
いいよね!?僕が思ってるだけだし!
絶壁なのエーシェだけじゃん!!!!
なぜエーシェだけお胸を持たざる状態なのかはわからないけれども、そう言えば前にちょっと成長が遅いだけとかなんとか…そういうことなのか!?いや、成長する可能性はあるということだな!!
《エル君のえっち〜》
アティ…僕だって男の子なんです。
視界の中に豊満な物が映ってしまえばそれを目で追ってしまうのはとうぜ…そろそろやめておきます。
「ほら、じゃあ次はエルも自己紹介をお願いしてもいいかな?」
「あ、はい。改めましてルーファス=エルドナスと申します。先程お話したとおり、半年近くエーシェとは一緒にお仕事をしていました。よろしくおねがいします」
「はいありがとう。じゃ、本題に入ろっか」
なんでしょうか王様?本題って…。
「俺聞いてないんだけどなー昨夜の話とか。すっごいびっくりしちゃって一瞬素で受け答えしちゃいそうになったんだけど?どういうことかな!」
やっぱりその話でしたか〜。
割と圧強めな顔で言ってるんだけど、口調がゆるすぎてぜんっぜん怖くない。
どうしたものかなぁ…いや、別に悪いことしているわけじゃないんだし普通に答えればいいだけか!
何を悩んでいたんだろうか僕は!
「こら!ジェラルド!そんな風に聞いたらエルド君だってびっくりしちゃうでしょ?」
王妃様怒ってるのに怒ってる感じがしないの不思議〜。
ちなみにその呼ばれ方は初めてしましたね。なんでそこで切っちゃったのよ。
「そ、そうだな…すまなかった」
その割に王様めっちゃへこんでるぅ〜!?
なんで!?全然怖くなかったよ?
「せっかくだし、エーシェルドに話してもらいましょうよ」
王妃様ナーイス!
僕もう今日いっぱい喋ったんで疲れたんですよね〜。
それにしてもこの紅茶おいしいですね。ここ半年エーシェさんに色々と鍛えられていたんで味の違いが分かる男になったんですよ〜。まぁ、美味しいってことしかわかんないんですけどね!!
「え、えっと…さっきも話したでしょ?私には許嫁が居なくなってしまったの。それに私は今年で18になるんだから今更貴族で相手を探そうとしても見つからないじゃない。だから、今まで通りエル君と…その…」
「エーシェルド?どうしたの最後まで言ってみなさい?」
わーもう殆ど答えわかってるのにあえて聞くんだ!天然でこれだったら怖いな王妃様。
「あーもー!そうよ!私はエル君と一緒に居たいと思ったの!文句ある?」
あらあら、耳が真っ赤ですよエーシェさん。
紅茶が美味しいなぁ…
後ろから使用人の方が近づいてきて小声で話しかけてくる。
「エルドナス様…もうそちらには紅茶が入っておりませんので…その…飲むふりを続けていただかなくても新しいものをお持ちいたしますよ?」
「あ、ありがとうございます」
ははは、紅茶が入っていないカップをすすろうとしていたなんて恥ずかしいなぁ…。
「ちゃんと言えて偉いわね。よかったわ〜私ずっと心配だったのよ〜。エーシェルドったらこれまで異性の話を一切しなかったから本当に興味がないんじゃないかって思い始めていたのよ〜」
「…」
黙るなよエーシェ…。
「エルド君はどうなの?エーシェルドのことを好いてくれているのかしら?」
何この公開処刑…。
貴族様はそういうの大好きですもんね!!
でも、答えないと本当に命が危ないかも!!
「はい…昨晩も僕から今後も一緒に居てくれないかとお願いしました」
まぁ、途中で遮られたような記憶もありますけどね。
「そういうことなら私はいいと思うけどジェラルドあなたはどうなの?」
「そうだな…じゃあ、いくつか聞かせてもらっても?」
「は、はい…」
公開処刑ネタじゃなければいいですよ…。
「エルはエーシェを養っていくだけのお金はあるのかね?」
「王様にいただきました」
間違ってないはず…大金だったもんね!
「たしかにな…では次だ。住むところはあるのかね?」
「はい。家を持ってます」
「そうだったのか…若いのにしっかりしているのだな。では、何かがあった時にエーシェを守り抜けると誓えるのか?」
「がんばります」
だってそれは頑張るしか無いもん。
「そうか。じゃ、いいんじゃないか?」
かっる〜〜い!!
「王族貴族ってのは基本的に親同士で決めた許嫁が居る。俺に至ってはお互いが5歳のときには決まっていたからな」
はっや…。
はじめまして婚約者さんみたいな感じじゃないか!
「今となってはジェラルドで良かったと思うことのほうが多いけど、そう思えるまで時間がかかるものよ。自分で相手を決められるなんて幸せねエーシェルド」
あの、王妃様?隣で王様が喜んでいいのかどうなのか微妙な顔してますけど?
「お父様…お母様…ありがとう」
あら、これ感動のシーンってやつ?
急にいい感じの挿入歌流れてくるやつでしょ?
ヘイカモン!挿入歌!!
…まぁ、現実にそんな仕様は無いですよね。知ってました。
「んーじゃ、二人とも幸せにな。エル…エーシェを泣かしたときはわかってるな?」
「市中引き回しの上磔獄門打首ですか!?」
「んん?なんて?いや、普通に俺が怒る」
あ、そうなんですね。善処しまーす。
「そうならないよう努力します」
…ってことで僕ら早くも結婚したってことになるんですかね?
え、早くね?うん。ちょっと待とうか…僕15歳だぜ?
「あ、あの…ちょっといいですか?」
「ん?どうしたんだ?」
「1つだけ…実はまだ、エーシェにも自分の親にも言っていないことがあって…それを先に話しておきたいんですけど、王家の方々だけにお話したいんですがいいでしょうか?」
まぁ、遅かれ早かれ話すつもりではあったんだけどね。
タイミングってのも大事だからな。
こういう時にしっかり話しておいたほうがいいよな。
「重要な話なんだな?」
「はい」
「わかった。ちょっと席を外してもらっていいか?」
王様がそう言うと使用人の人たちは頭を下げすぐに部屋の外に出ていった。
「よし、これでいいかな?」
「はい。ありがとうございます」
ふーっと1つ深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
何も悪いことを告白するような場ではない。
僕のちょっと特殊な生い立ちに話すだけなんだから…そんなに緊張しなくていいんだ。
「僕にはこの体に2つの記憶を持っています。1つは今までのルーファス=エルドナスとしての15年間の人生の記憶です。そして、もう1つは…僕がエルドナスになる前の人生の記憶です」
目の前にいる人達の表情を見るのが怖い…
どんな顔をしながらこの話を聞いているんだろうか…
ただ…怖い…
目線はいつの間にか自分の前に置いてあるティーカップだけしか見ていなかった。
「僕の記憶にある前世の世界は剣を許可を持たずに持っていると犯罪になるようなところでした。魔法など存在しません。代わりに魔法と見間違えるほど発達した科学がありました。ある時いつもどおりの日常を過ごしていた僕はこの体に生まれ変わっていました。それが5歳のときです。それからこの世界で生きていくために魔法を学び、闘うための方法を学び今に至ります」
手が…震えているのがわかった。
怖くて震えているんだ…拒絶されるのが嫌で…でも今話さないと絶対に後悔すると思ってた…
「ありがとう」
僕の耳に飛び込んできたのは意外な言葉だった。
「…え?」
そこにはこれまでおちゃらけていた1人の父親ではなく謁見のときにも見た王としての顔があった。
「親にも言えていなかったことをこの場で話すことにとても悩んだのだろう?手が震えているじゃないか」
そんなに…優しい言葉をかけないでくれ…
「でも…僕…普通じゃないんですよ?」
普通じゃないんだ…
自分の口から出てきた言葉で再度認知した…
僕は普通じゃない…
その言葉は何故か僕の心の奥の方をゴリゴリとつついてくるんだ。
「普通じゃない…か。エーシェお前が思っていることをそのまま伝えてごらん」
…もし、エーシェに拒絶されたら…
耐えられるのだろうか…僕は…
「エル君はエル君なんでしょ?その両方の記憶があるのがエル君が私の知っているエル君なのよね?」
「それは…そうだね。エーシェに会ったときにはもうこの2つの記憶がある状態だったよ」
「なら、なにも問題ないじゃない。ねぇお母様?」
何も…問題は無い?
「そうね〜。いいじゃない2つも記憶があるならお得って感じがするじゃない!」
「ブフッ…あはは!それじゃ僕が悩んでたのがすごくどうでもいいことだったみたいじゃないですか」
「どうでもいいことではないけど、お得って感じはするでしょ?」
そんな風に返してくれるんだ…
「あなた達はどう思うの?」
「そうだなー。それがどんな記憶かわかんないけど、悪い記憶じゃないんだったらいいんじゃない?」
「そうね。楽しい記憶もたくさんあるのならそれは素敵なことね」
お姉様方…素敵!!
「やっと元の笑顔に戻ったな」
え…ああ、僕はそんなにこわばった顔をしてしまっていたのか。
「もちろんお前が今教えてくれたことはここだけの秘密にしよう。だがな、1つ覚えておけ。それくらいでお前のことを避けたりするようなやつはお前の方から避けていいぞ」
王様…ありがとう…
「わかりました…ありがとうございます」
話して…良かった。
この人達だったから…
「せっかくそんな話を聞いたら…もっと話を聞きたくなるじゃないか」
へ?
「まだ時間は大丈夫なんだろ?」
「は、はい。大丈夫ですけど…何でしょうか?」
「せっかく俺たちも久しぶりにみんなで揃ったからな。一緒に飯でもどうだ?」
「わかりました。ぜひご一緒させてください」
「じゃ、お前が知っている前世の知識とやらはお前の考えた物語の世界ってことで話を聞かせてくれよ」
僕は素晴らしくいい出会いをすることができたのかもしれないな。
どうしてこの世界に来ることになったのかは知らないけど、こんな出会いがあったのだから差し向けてくれた人には感謝をしないとな…
ありがとう。
【王都編㉒〜王家と会議〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました!
今回のお話は実は珍しく元のお話を殆ど書いていません。メモが2行だけ。
なので、あえて1回勢いで書いたものを保存してそれを直して投稿することにしました。内容としては半分くらい書き換えちゃったけど、こっちのほうが今は気に入ってます。
ついにエル君は自分のことについて話すというシーンを入れてみました。
きっとエドガーさんたちも笑い飛ばしてくれるだろうと思ってたんですけど、一番エル君にかっこいい返しができるのはジェラルド王だと思ってここに入れました。
王都編ももうすぐおしまいと思うとなんだか寂しいですが、完走するまでがんばりますね。
【次回予告】
作者「ヒスイ時間だぞ起きろ〜」
ヒスイ「やーだーもう少し寝るー!体中痛いんだから許してよー」
作者「じゃあ、僕が回復魔法を使ってあげよう!ちちんぷいぷい痛いの痛いのとんでけー!」
ヒスイ「そんな子供だましな…あれ?痛みが消えてる!?なんで!」
作者「ある意味ではこの世界の創造主だから」
ヒスイ「間違いでは無いんだけどさ…。というかこの世界に君が存在している事自体イレギュラーなんだからね?」
作者「あーそーやって横文字使うじゃん。気をつけてたのにー」
ヒスイ「今後は解禁で!!めんどくさいし!」
作者「それ僕の意見だよ!もういいや、次回【王都編㉓〜続・王家と会議】お楽しみに!」
ヒスイ「エル君まだ帰ってこないの?」
作者「あと1万字くらいで帰ってくるかも」
ヒスイ「すごく現実的な数値!!」




