王都編㉑〜ええ?うそん〜
勇者との戦いが終わり、エーシェと無事合流することができたエルドナス。
最後はいつもみたいにエーシェに怒られる感じがまたいつもどおりなこの二人。
さて、今回はその次の日から物語が始まります。
こんにちは!
僕の名前はエルドナス!
なんてことはないどこにでも居る普通の冒険者だと自分は思っています。
さて、今日は僕の住んでいるナレファンス王国の王都ネジェルにあります王城からお送りさせていただきます!
本日も張り切っていきましょう!
…はい。現実逃避の時間終了です。
まさか一般人の僕が王城に2日連続で来るなんてびっくりですよー。
まぁ、昨日のは侵入と言ったほうが正解なんですけどね!
今日はちゃんとお呼ばれしたので正式な訪問ですよ?
昨日はエーシェが怒って心の中で衛兵さんを呼んだら本当に来てくれたっていうのが昨日のハイライトですね。
まぁ、侵入者として捕まりかけたのは置いておきます。
そりゃ向こうからしてもびっくりだよねー。
深夜に誰も居ないはずの部屋の中から声が聞こえるんだからさ…。
いや、その手前で結構ドンパチやってましたけど、その時誰も来なかったのそう言えば不思議かもしれない。
まぁ、そのへんは考えてても仕方がないでしょう。
うん。そういうことにしよう。
それで、今日の話だよ。
今日は昨日の夜にあった件についての説明をするためにまた王様に会わなきゃいけないんだけど、どうやって報告するかなぁ…。
ぶっちゃけ剣で刺された後の記憶無いからヒスイにやって欲しいんだけど、ヒスイは昨日の怪我で今日は外に出たくないって言ってたから一人だしなぁ…。
もんもんと一人であーでもないこーでもないと前に来たときと同じ応接室の中でウロウロと歩き回る不審者エルドナスになっていた。
《ありのままを言っちゃえばいいんじゃない?》
頭の中に直接声が聞こえる…だと!?
だれー?声でわかるけどあなたはだあれ!?
《え、今日はそういうノリなの?アティなんだけど》
うん。知ってた。けど、知らなかったことが1つ。
なんでヒスイの念話みたいのが使えるようになってるの?
《うーん。この前私がエル君の体を使ったことが原因なんだけど、詳しい話している時間は無いみたいだからまた今度ね》
わかりました~。
で、きっとコディティアというかアヴェンはアティが倒してくれたと考えると僕はどうやって報告すればいいかわからないわけですよ。
全てを見ていてくれたはずのヒスイも寝込んじゃってるわけですし。
《うーん。頑張って倒しましたって言えば?》
まぁ、頑張っても倒せなかったんですけどね…。
《落ち込まないの。あれは人がどうこうできる範疇を越えていたから落ち込まなくても大丈夫よ。エル君は半分人間やめはじめてるから》
うーん違う違う!そうじゃない!後半の部分が主に違うぞ〜?
《何が違うのよ?》
あいあむ人間!とってもとっても人間だよ?
《もうすでに怪しいと思うけどなぁ〜?無詠唱魔法を自分で作るし、神の加護を持った人間と正面からぶつかっても負けないし、ドラゴンと一緒に行動してるし》
ごめんなさい僕が悪かったんでモウ許してもらえませんか?
それだけあ並べられるとさすがに反論できなくなってくるんだよ。
《だから、もう正直に頑張って倒しましたって言っちゃえばいいのよ》
でも、僕が持っていた武器ではああはならないと思うんだけど?
《魔法ですって言い張っちゃえ!》
それが一番無難かもしれないなぁ…。
そうすることにしますよ。
《素直でよろしい!じゃ、私もたまーにこうやってエル君に話しかけるからちゃんと反応してね?》
わかってますよー。
ちなみに他の人に聞こえないってやつですか?
《そのとーり!だから喋っちゃうと周りの人から変な目で見られる特典付きです》
その特典いらないっす。
《でも、エル君表情がコロコロ変わっちゃうからどっちにしろ変な人になるわね》
そしたら今後は魔法で作った仮面を被りながら生活するしか無いわけですね。
《それはそれで変な人じゃない》
もう逃げられないことがよくわかりました…。
大きくため息を付いたところで部屋のドアがノックされる。
「はーい」
「エルドナス様。準備が整いましたので別室へご案内させていただきます」
謁見の間は昨日の戦闘で柱に多大なるダメージが残っているとのことで、この前食事会が行われた部屋が特別に使われることになったらしい。
扉が開くとすでに王様と王妃様そしてその後ろに3人の女性が座っている。
促されるままに前に進み歩みを止める。
「エルドナスよ、これまでのことと昨日の件について説明をお願いしてもよいか?」
え?昨日の件だけじゃないの?
「これまでのことと言いますと…どこから話せば良いのでしょうか?」
「この子…エーシェルドと会ったところから話してもらってもいいかしら?」
落ち着いた声で話してくれたのは王妃様でした。
優しそうな方だなぁ…。
おっと、そうじゃないか。
準備してなかったけどちゃんと喋れるかな僕?がんばれー!
「私がエーシェルド様に会ったのはそうですね…大体4ヶ月ほど前になるかと思います。私は山で生まれ育ち、成人を機に家を出ることになりました。家から一番近かった村がエリーゼの村で私はそこで冒険者になるために冒険者組合に向かっていたのですが、その途中で道に迷いまして…その時に声をかけていただいたのがエーシェルド様でした」
何も嘘は言ってません。
うんうんと頷きながら話を聞く王妃様。
話してて楽しくなるねこれだと。
「目的が一緒だったこともあり、私はエーシェルド様と一緒に冒険者への登録をするための試験を受けました。二人共無事合格し、エリーゼの村の冒険者組合長のエドガーさんの勧めもあり二人で一緒に仕事をするようになりました」
エドガーさんに二人共ボコボコにされているところは割愛してますご了承ください。
「それからは数日ごとに一緒に依頼を受けエリーゼの村の北にある森に関する依頼は全て達成しました。その後夏祭りなどもあり一時的に私が仕事よりも修行を優先していた期間もエーシェルド様には何度も助けていただきました」
こうやってエーシェの株をあげておこう。
そうすればみんな幸せ。
僕がケーキを奢らされた話とかはしなくていいもんね!
「エリーゼの村の祭りが終わった後にエドガーさんから私達に直接依頼を頂き、今回私達が王都に来ることになったきっかけでもあるドラゴンの依頼を受けたのです。ドラゴンの依頼に関しては先日報告したとおりとなっており、二人で一緒に戦ったら何故かヒスイに気に入られ、仲間になりました」
ごめんなさいやっぱりちょっとふざけちゃいました…。
でも、みんな笑ってるから大丈夫でしょう…。
ヒヤヒヤしたけど…みんないい人ってことで!
「その後、ドラゴンの依頼の報告のためヒスイも含めた三人で王都に来ました。エーシェルド様は宿から出ないと言っていたので私とヒスイで王都の探索などをした次の日が前回の謁見の日となりました」
まぁ、ここまでがこれまでの僕達ってことでいいかな。
「今回の件は謁見の後から始まりました。まず、私とヒスイが宿に帰るとエーシェルド様が宿から出ていってしまったと言う話を聞き、その後はエーシェルド様の居場所を知るために王都の中で情報を集めました。その結果としてこの王城に居る可能性が高いと推測し、昨日は誠に勝手ながら魔法を使い王城へ侵入しました」
はいはいざわめかないで下さーい。
そうですよねー。
普通に考えてここにいる人昨日王城へ侵入してるって言ってるからおかしいですよねー。
普通ここで首をはねられても仕方ないと思ってまーす。
でも、しかたなかったんですよー。ここから弁明ターイム!
「本来は調査だけで終わるつもりだったのです。昨日私とヒスイが訪れた謁見の間に人の気配があったため調査のつもりで中に入りました。そこに居たのが探していたえーシェルド様だったのです。しかし、その時私達が話しかけても様子がおかしいことに気が付き、首元にかけられていた首輪が原因で操られているのだと判断しました。誰がそんなことをしたのかと話しているところに勇者であるコディティアが現れたのです」
全部本当ってわけじゃないけど、ほとんど本当だよ?
だってコディティアが居てほしくないとは思っていたからね。
居たら確実にドンパチやることが目に見えてたし。
「コディティアに問うとエーシェルド様は彼の物だからと言っておりまして話し合いでは解決が難しいと判断し、戦闘になりました。途中までは均衡を保っていたのですが、彼が使った神を体に宿す技が出てからは一変しました。彼は勇者という立場でもあったので主神であるヤーヴァナが宿ったのかと思いましたが、本人の口からは別の名前が出てきたのです」
結構喋ったら疲れてきちゃった。深呼吸深呼吸…。
「して、その名前は?」
王様ナイスパス!いいね!
「彼はアヴェンと名乗りました」
はいはーい本日2度めですよ?うるさいですよ外野の人たち!
いちいち大人がざわつかないでください。
「私達は彼の力に屈しそうになりました。でも、諦めたらそこで終わりだと必死に抵抗した末に彼を倒すことができました」
頑張ったら勝ったのちょっとかっこいい言い方ってことで。
「彼は完全にアヴェンに乗っ取られている状態になって居ましたので手加減をすることができず…」
ちょっと残念そうな顔を添えて…。
「報告は以上となります」
今だざわつき続ける城内。
それもそうだよねー。
あ、言ってなかったですけど、僕その時死にかけてますからね!
「静まれ」
王様の一言でうるさかった外野のざわめきが一気に静になる。
「報告ご苦労。勇者の件に関しては今後協会側からの返答を待つこととする」
ビクゥ!っと体に力が入っているように見える教会の大司教様。
ああ、そうだこの前はありがとうございましたー。
きっと仮面を被った誰かにいろいろと聞かれたんでしょうねー。
お疲れさまです。
「それよりも、今回は我が王家の問題の一部に巻き込んでしまったことを謝罪しよう。また、国の脅威になっていたかもしれぬものを排除してくれたことに感謝する」
あいつ全てを手に入れるとか言ってたからね。
僕は結果としてこの国を守ったことになるってことですよね!やったぁ!僕もヒーローになれたんだ!
「よって、今回の我が城への侵入の件は不問とする」
あ、忘れてた!
あっぶねぇ〜セーフ!!
「ただ、それだけでは今回の件は足りんと考えておる。何か願いはあるか?」
「それならば…これからもエーシェルド様と一緒に行動したいと考えております」
はいざわめかなーい!
もう今日これで3回めだよ?スリーアウトでチェンジだね!
まぁ、これ昨日エーシェに帰り際に言えって言われていたことなんだけどね。
どうもそこに居る第3王女様はこのお城に残る気は微塵も無いみたいですよ?
「ふむ…そうか。それではエーシェルドよ。お前はどうしたいんだ?」
待ってましたーみたいに急に立ち上がって前に出てくるエーシェさん。
今日は昨日と違う色のフリル抑えめのドレスといつもとは違うけど帽子を被ってるんですねー。
うーん。やっぱり見慣れないなぁ…。
こういう衣装を着ていると偉そうに見えるのはなんででしょうか?
あ、もともと偉そうだった!
「今私がここにいることができているのも昨夜エルドナスに助けてもらったからです。それに、昨夜私達はこれからを誓ったのですから何も問題はありません」
ん?そんなこと言ったっけか?
…いや、言ってる途中で口封じ(物理)をされた気がするけどまぁいいか。
ほら、そんなこと急に言うから大人たちがざわつき始めるし王妃様とお姉さんたち?は「まぁ!」みたいな顔してるじゃん。王様に至っては若干顔が青ざめてるよ?
「そ、そうなのか?」
こっちを見ないで王様!
僕はそこまでの意味を込めたつもりはない…んですよ?
いや、だってさ、まだ僕15歳ですし?
そういうのはちょっと早いかなぁーって思うわけですよ。
ねぇ…だってさぁ…ねぇ?
《いいんじゃないエル君?きれいなお嫁さん貰えるじゃない》
アティちょっと今じゃないって…。
「それに私にはもう許嫁はおりませんの。この歳になって新たに許嫁を探すというのも難しいかと思いますよお父様?」
うっわぁ〜ここで王様に向けて追い打ちかけてきやがった!
そしてすっげードヤ顔!
これ、私の勝ちみたいなのが顔から溢れ出てますよ!
もう少し押さえなさいよエーシェさん!
「そ、それもそうだな。この件に関しては後ほど話し合わせていただこう。エルドナス殿時間は大丈夫か?」
え?それ僕も必要なの?
「問題ありません」
時間はね…。精神は持つかどうか知らないけど。
「ただな…、これまで一介の冒険者と王族が婚姻を結ぶなど聞いたことが無いからの…どうしたものか」
そりゃ〜そうですよね〜。そして、やっぱりそういう話になるんですねー。
「それなら彼がこの国の貴族になればいいんじゃないかしら!」
パン!っと手を叩いてひらめいたみたいないい笑顔をしながら意見をする王妃様。
おいおい待ってくれ今度は僕が貴族?
なんの冗談だよ。
「おお、それならそういうことにすれば良いな。では、エルドナスよ。お主は今日から男爵の地位を持つことになったから今後はそれ相応の振る舞いをするようにな」
ええ?うそん?そんな簡単に決まるのこれ!
「え…私が男爵…ですか?急にそのように言われましても」
「不満か?」
「いえ、そんなことはございません。ただ、私は今後旅をする可能性もありますので…」
「それならば気にすることはない。何かあれば言ってくれ」
王様の後ろ盾をもらってしまった…。
どうなるのこれ!?
拝啓
お父様お母様お久しぶりでございます。
僕です。エルドナスです。今僕は王都に来ています。
話の流れで色々なことになりまして…僕今日から貴族の仲間入りを果たしたらしいです。
詳しいことは今度帰った時に話すので…。
土産話だけはたくさん持って帰ることができそうです。
エルドナス
【王都編㉑〜ええ?うそん〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました!
完全に王家の方々に振り回されているエル君。この調子で次回も続きます(笑)。
きっとエル君は王家の人たちにはいつもあんな感じになっちゃうんだと思います。生きてきた世界が違いすぎて歯車がうまく噛み合っていかないのかも。でも、そんな生活が嫌だったエーシェはその人達とは違って歯車が噛み合っていたのかもしれません。
今回エル君がなった男爵ってどれだけ偉いのかよくわからず使ってます。構想段階では伯爵にしてやろうかと思ってたんですけど、それだとどこに行くにも大変なんじゃないかなと思って男爵にしてみました。じゃがいもみたいな名前ですよね男爵って。
さて、次回はもう少し王城でのお話です。お楽しみに!
【次回予告】
ヒスイ「体が痛いよ〜」
作者「そりゃそうだ。柱に埋まってて原型を保っていただけおかしいと思うよ?」
ヒスイ「とっさに背中に魔法障壁を張ったから無事だったけどそうじゃなかったら今頃…」
作者「今更だけど急にそういうの入れるのやめてよ。完全に今考えたみたいになるじゃん」
ヒスイ「この作品自体行き当たりばったりなんだから問題ないんじゃない?」
作者「間違いないから何も言えん」
ヒスイ「エル君たちはどうなってるのかな?」
作者「エル君が面白いことになってるのは確かだよ」
ヒスイ「うっわ。めっちゃ悪い顔してる。大丈夫かなエル君…あ、そろそろ?次回【王都編㉒〜王家と会議〜】お楽しみに!う〜やっぱダメだ。もうちょっと寝てくるよ」
作者「次回も予告出演予定だからよろしくね」
ヒスイ「え〜…」




