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王都編⑱〜神の意思〜

コディティアが奥義と唱えた後に柱にハマったヒスイ。

その彼の動きに全くついていくことができなかったエルドナスはどうなってしまうのか?

勇者第三弾!

どうしてこうなったんだ?

いや、確実に僕がコディティアを煽りすぎたからなんだけど…。

ヒスイは柱に埋まってそれ以降起き上がる様子はないし…。

これって絶体絶命ってやつなんじゃないっすかね?

半径10メートルで【探索(ブスカー)】を発動するのに合わせて【道具箱(エスクスカー)】にしまっておいた探検を両手に持つ。

やつは…コディティアはどこに行った?

さっきまでは椅子と椅子の間に居て一歩も動く様子なんてなかったのに急に見失った…。

ヒスイが対応できない速度での攻撃と考えると…【時間認識強化(エクステンション)】を発動しておいたほうが…。

探索(ブスカー)に背後からの気配に気が付き反転する。

ギィイイン!

両手に持っていた短剣でなんとか攻撃を受け止める。

「急に動くようになったじゃん。どうしたの?」

「喚クナ…」

あれ?急にキャラチェンですか?

なんですかそういう2面性とかもあるの?ずるくないですか??

でもなーんか引っかかるなぁ…。

「誰お前?コディティアっぽくないんだけど」

まぁ、僕もコディティアがどんなやつかなんてよく知らないんだけど、違和感というかなんというか…。

思いっきりさっきまでぶつかったからわかると言うかなんというか…。

何か…感情が消えたみたいな?そんな感じがするんだよな。

「頭ガ高イ」

ズンっと重苦しい空気が広がる。

いや、これ実際に何か重たい気がするんだけど?

魔力が僕の上にのしかかってくる感じと言えばいいんだろうか?

体が動きにくい…。

「離レロ!!」

コディティアは今まで両手で振っていた剣を右手一本で僕に向けて振って来た。

おいおい、首めがけて一直線かよ…殺気の塊かよ。

両手に持っていた短剣で自分の首を守るためにとっさにガードをする。

ガギィィィン!

甲高い金属がぶつかりあった音が響いただけだったら良かったんだけどね…。

「がっはぁ!!」

そのまま吹き飛ばされてヒスイと同じように柱に叩きつけられてしまった。

口の奥からすこし血の味がする。

これ…内蔵やられてたりしませんよね?

死にたくないんですけど!?

「痛いなぁ…。お前何なんだよ!そのでけえ剣何で片手で使えんだよ!さっきまでは手加減してたってことかよ」

「手加減ナドシテイナイ。コイツガ未熟ナダケダ」

こいつってことはやっぱり別人なんですかねぇ?

そういう演技ですか?何か急に言葉も片言になってるじゃんな。

「さっきから聞いてるのに答えてくれねーしほんと何なんお前」

「先程カラ無礼デアルゾ。我ハスベテヲ統ベルモノ…アヴェンナリ」

アヴェン?

何かその名前聞いた記憶があるような無いような?

背中が痛くて頭が回らないんだよなぁ…。

『エル…逃げて…』

頭の中に直接声が聞こえる!

これは天啓!?逃げなきゃ!

いや、はいふざけている場合ではないですよね〜。まぁふざけてでもないとやってられ無いんですけどね。

というかヒスイ目が覚めたんだ。

『なんとかね…あいつ自分のことをアヴェンって言ってたよね?』

言ってたねぇ…誰だっけそいつ…?

ウッホアブねぇ!!

ヒスイと念話をシている間もアヴェンとか名乗ってたコディティアが斬り掛かってくる。

足を薙いでくる攻撃を飛んで避けたと思ったのに剣を持ち替えて首を狙ってきやがった。

「うっざいなぁ!!」

両手に持っていた短剣を【武器交換(インタラカンビオ)】で左手だけに魔法銃を持つ。

迫りくるコディティアの剣に合わせて僕は右手で魔法を発動する。

風操作(ウーサ・ヴィエント)】!

右手から勢いよく吹き出した風で空中で回り始める。

上半身が半回転したところで手を上げ【風操作(ウーサ・ヴィエント)】の発動をやめる。

僕の上を空を切っていく剣を横目に左手に持っている魔法銃に魔力を込める。

ああ、もう背中も痛いし考えてるのもめんどくさい!

【魔法弾装填】

なんかもう強そうなやつ!

できるだけたくさんだ!!

「うおおおおおおおおおおお!!」

剣が届くほどの近距離で放つ超近距離での魔法銃による攻撃。

これがダメならもうだめだろ!!

ズガガガガガ!とコディティアに命中していくのが見えるんだけどさぁ…。

全く効いてないの何なの!?

「クダラン…」

今度は右手に持ち替えた剣が僕に向けて飛んでくる。

これは…間に合わんなぁ…。

魔力吸収(アブソルシオン)】を発動して攻撃を受けるタイミングで魔力できる限り奪っておく。

ドンッ!ズザー!ドンッ!!

「グッハァ…ゲホッゲホォ!!」

吹き飛ばされ受け身など取れずにそのままレッドカーペットの上を滑っていく。

滑っただけだったらいいんだけど、王座ってさ何段か高くなってるじゃん?その段差って時として凶器に変わるんですね…。

呼吸を整えることができず荒い呼吸のまま立ち上がろうかと思ったのだが…。

ズキンッ!と右足に痛みが走る。

「あーこれ…やってんなぁ…ほんともう嫌なんだけど」

じわじわと右足に熱を帯びていくのがわかる。

これは折れてるなぁ…。

ごめんヒスイ。僕これ逃げれねーわ。

『僕もちょっとここから抜け出すのに時間かかりそう…』

あーつまりもう僕らは逃げられないことは確定ってことだね。

『どうするの?』

倒すしか無いんじゃん?

『できるの!?』

まぁ…できてたら僕の足は今無事なはずなんですけどねぇ…。

さてどうしたものでしょうか…。

「さて、アヴェンさんや見ての通り僕はもう限界が近い。そろそろお前とのこの戦いは終わるだろう。どうだろう?ここで1つ僕の最後の技を受けきってみてくれないか?」

「ソレデ諦メルンダロウナ?我ハモウ飽キガ来タ」

へー。それは申し訳ございませんでしたねぇ…。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「これで最後だ!」

【全方位弾】展開!

数はありったけ!

なんでもいい!僕に!この手に!目の前に立っているアイツを倒せるだけの力を!

魔力が足りないなら命を燃やしてでも!

なんでもいい!僕に!力をくれ!!

エーシェと…もう少し一緒に居るために…力を…!

「ぶっとべぇええええええええええええええええ!!」

左手に持っていた魔法銃から発射された魔法弾はアヴェンの頭の上で止まったかと思うと一気に分裂して半球状に彼を取り囲む。

一つ一つがゆっくりとただの球体から矢の形になり僕がイメージした最も貫通力が高い武器である槍に変形していく。

すべての弾が槍に変形をし終えたタイミングで槍は中心をめがけて集まり始める。

すべてはあいつを…。

目の前に居る邪神を名乗る勇者を倒すために!

ズドンッ!と大きな音が一度だけ鳴り響く。

たくさんあった槍だと思ったが、同時にぶつかったからなのか音は1つだけだった。

『やったの?』

ヒスイ君や…それはフラグってやつだよ…。

『なにそれ?』

ああ、伝わらないよね。ほら、探索(ブスカー)で確かめてみなよ…。

『ホントだぁ…僕もう少し柱に埋まっててもいい?』

いいけど、僕死にたくないだよなぁ…。

『でもそんな簡単には死なないでしょ』

そう信じて生きてきたけど、これはちょっと想定外のことが起こりすぎてて、初めてエドガーさんに会った時よりも絶望的だよ。

はぁ…死にたくないなぁ…。

「ねぇ、僕のできること全部やったからさぁ、エーシェとヒスイと一緒に見逃してくれないかな?」

攻撃が当たったはずなのに何事もなかったかのようにこちらに歩いて向かってくる彼に声をかける。

「意味ガワカランナ』

右手に剣を握りしめそのまま答えるアヴェン。

やっぱり帰してくれないかぁ…。

すべてを手にしたいと言っていたやつに言葉を重ねるだけ無駄か…。

「じゃあ、いいや。満足とは言わないけど、ここで散るなら…せめて守りきってあげたかったよ」

エーシェの方を見て笑いかける。

まったくもって反応をしてくれないなんて寂しくなるじゃないか。

武器交換(インタラカンビオ)】を使うこともできないほど魔力が枯渇しているので頭の上にある【道具箱(エスクスカー)】に手を突っ込み両手に父からもらった剣を握る。

「最後の最後までいやらしく、狡猾に、泥臭く、お前の前に立ちはだかり続けてやるよ!」

右手の手のひらを天井に向けちょいちょいと指を曲げる。

前世で有名なカンフー映画でこんなことをしている人いた気がするなぁ。完全にパクリだけどカッコつけてもいいシーンだと思ってるんだ。

「クダラン」

ふっと目の前からアヴェンが消えたように見える。

こういうやつはきっと…。

上半身を思いっきり撚る力を使って後ろを向く。

ぶらーんと回転している時に使えなくなってしまっている右足がコンパスのように外に広がっている。右足は遠心力がかかって痛むのを感じる。

ギィィン!と剣がぶつかる。

「やっぱりこう来るよね〜」

後ろから斬り掛かってくるアヴェンを見つめる。

少しだけ剣がぶつかったタイミングで魔力を回復することができた。

フーム。なんだっけかなぁ…。ずっとずっと引っかかってることがあるんだよなぁ。

「あ、思い出した!アヴェンって邪神の名前じゃん!」

『エル君今頃思い出したの?』

ええ、すみません。本当に今思い出しました…。

「我ハ邪神ナドデハナイ…アイツガ!ヤーヴァナガ!!」

これまでは冷静にただこの世に飽き飽きしているように見えていたアヴェンだったが、邪神と言った途端に目の色を変えて襲いかかってきた。

喧嘩を売られる前とは打って変わって剣筋が荒く、ただただ力任せのものに変わった。

ギィン!ギィン!ギィイイン!

「邪神じゃない?じゃあ、何でお前は邪神と言われて怒りを覚えているんだ?神にそんなチンケな感情があるなんて初めて知ったな」

『エル君何で煽るの!?』

いや、勝機はここにあるかもしれないと思って…。

「我ハ!堕落シキッタヤーヴァナヲ正シテヤロウトシタダケダ」

はいはい片言過ぎて何言ってるかよくわかんないって。

何発も打ち込まれては弾き態勢を整えを繰り返し続けて来たのはいいのだが…。

そろそろ片足で耐えるのは少し厳しくなってきた…。

だが、十分に魔力は溜まったな。

ギィイイン!と今までよりも強めに剣を弾き準備が整った。

武器交換(インタラカンビオ)】で剣から魔法銃に持ち替える。

さぁ…喰らいやがれ。

銃弾(ピアッジャ・)の雨(ディモニッツィモ)】!!

「モウ見切ッタ」

僕の目の前に広がっていたはずの銃弾の嵐は彼の剣でかき消される。

「なっ!?」

「ココマデダナ…」

両手を広げて居た僕はには彼が振る剣に対応することはできなかった。

トン…。

胸に軽い衝撃が伝わり、胸が熱くなるのを感じる。

胸に衝撃が伝わった辺りから温かい液体が溢れていくような感覚に襲われる。

なんだ…これ?

ああ、なんだ〜そういうことかぁ…。

「刺されると…ほんとに熱く感じるんだね…ゴフッ」

最初は何が起きていたのか気が付かなかったが、どうやら僕は彼に…アヴェンの持っている剣で腹を貫かれていたらしい。

なんだろ…不思議な感覚だな…。

折れている右足よりも貫かれた腹のほうが痛くないなんて不思議じゃないか…。

今は使っていないはずの【時間認識強化(エクステンション)】を使っている感覚に近いのかな?景色がゆっくり流れていくんだ。

父さんと母さんの顔…エドガーさんとエリーさん…これまで出会ってきた人たちとの思い出が流れ去っていく。

出会った頃のヒスイだ…あの時も勝てないって思ったよなぁ…。

あれは…エーシェが甘味処で僕に奢らせてるときだ。

何かわざわざ背伸びして耳打ちしてきたんだよなぁ…今だと思い返すだけでも照れるなぁこのシチュエーション。

あの時はなんとも思っていなかったけど、回りの人たちは僕らのことどう思って見てたんだろうか?

でも、まぁもう関係ないかぁ…。

「ごめんねエーシェ…ちょっと先に行くわ」

ドサッと地面に落とされながらエーシェへの別れの言葉を伝える。

ヒスイ…僕の最後の願いだ…。

『エル君!最後だなんて言わないで!すぐに助けに行くから!』

いや…ダメだと思うこれ…よく知らないけど…。

勝てなかったかぁ…最後の最後までダメだな…僕。

ダメなんだったら最後くらいアティに願っておくべきだったか。

なんだったかな?アティ様助けて下さーいだっけかな?

ああ、もう頭も回らなくなってきた。

静まり返る謁見の間で一人の少年が手を伸ばしたまま目を閉じた。

ピクリとも動かなくなった彼の元に駆け寄ってくるヒスイがどれだけ話しかけても反応はなかった。

「エル君!エル君!!何で!?逃げてって言ったのに!!」

ヒスイの叫びは残念ながら彼には届くことはなさそうだった。

「エーシェ!回復!まだ間に合うかも知れないでしょ!エーシェ!!!」

この叫びに答える者は居ないかのように思えた。

ビシビシビシィ!パキーン!

エーシェの首にかけられていた首輪の中心にあった黒く光っていた石が砕け散った。

「…くん?エル君?何で!?」

意識を取り戻したエーシェもヒスイと同様にエルドナスの元へ駆け寄る。

「止まって…止まってよぉ…何で動かないのよエル君!何でよ!嫌よ…死んだら許さないんだから!」

エルドナスの傷口に手を当て続けるエーシェたちを見下ろしているアヴェン。

「五月蝿イ!黙レ!!」

ヒスイとエーシェはアヴェンの攻撃により吹き飛ばされる。

「コレデ全テヲ手ニ入レラレル…」

一人謁見の間の中で笑うアヴェンだけがその場に立っていた。

【王都編⑱〜神の意思〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました!

いやぁ〜どうなっちゃうんでしょうねこれ。

エル君死なないで!って言うと某カードゲームのアニメーションの有名な次回予告みたいになってしまいそうですね。どうなってしまうんでしょうかねー。親友の戦いを見てドクン!って起き上がっちゃうんでしょうかね?というか、ここでいろいろ書くと次回のネタバレになるじゃんって思ってあんまりないように関して書けないことに今気が付きました!あと、次回予告どうしよう!全員気を失ってるんだけど!?

【次回予告】

作者「というわけで、みんな気を失ってしまっている状態なので僕一人でやることになってしまったんですけど…大丈夫ですかねコレ…」

アティ「私が居るじゃない」

作者「急に出てくるじゃないっすか〜。というか今さっきアティの初出の話を見てきたんだけどキャラ違いすぎません?」

アティ「あれねー。あなたが私の案を固めてなかったのが悪いんじゃないかしら?」

作者「ぐぅの音も出ないっすね。まぁこっちのアティのほうが接しやすくていいですけど」

アティ「ふーん?そうなんだ。まぁいいわ。じゃあ、次回の予告ね。【王都編⑲〜約束〜】お楽しみに〜」

作者「いつも思うけどさ、本編とここの温度差やばいよねぇ…」

アティ「それがここのいいところじゃない。皆さんまったね〜」

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