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王都編①〜くっそ、やっぱり嫌いだ!〜

ドラゴン依頼から数日。

あーたーらしーいー朝が来た〜!

王国編開始です。

何か夢を見ていた気がする。

どんな夢だったのかぼんやりとしか覚えて居ない。

誰かと一緒に話していた…そんな気がする。

エーシェでもエリーさんでもない女性と話していた気がするけど…思い出せないなぁ。

夢ってだいたいそんな感じで思い出そうとすればするほど思い出せないものっていうのが夢だ。

「夢現」とはよく言ったもので、それはそれでいいのかもしれない。

「エールー君?これで起きないならあっつい火の玉で起こしてあげるわよ?」

おやおや、これはこれは…。

「お、おはようエーシェ。起きた!ちゃんと起きたから!」

僕が覚醒したことを確認して僕の部屋から出ていく少女を見てふと思う。

この僕の人生が始まって15年。

一人で生きていけと言われて近くの村まで来て冒険者を始めた。

僕は他のこの村の先の山を越えたところまでしか知らない。それが僕の知っている世界のすべてだ。

それでも要求された内容をすべてこなしてきた結果が今であると思うと悪くはないのではないかと思ってしまう。

女の子と一緒に暮らしているこの状況ははたから見れば幸せなのかもしれない。まぁ、ドラゴンもいるんだけどね。

「エールー君!お腹へったんだけど朝ごはんまだー?」

下から腹ペコドラゴンの声がする。これは生命の危機だ。急いで朝ごはんの支度をしなくてはならない。

本日の朝ごはんは近くのパン屋さんで買ってきたパンの上に熱々にしてトロットロにしたチーズのような何かをかけたものです。手抜きですけど許していただこう。

手抜きの朝食でも笑顔で満足そうに食べている二人を見ているとなんだか申し訳なくなってくるのは気のせいということにしておきましょう。

ドラゴンの依頼を達成してから数日が経ったが、僕らは依頼も受けずにダラダラとしているのだ。

コレをバーンアウトとでもいいんですかね?なんかなーんもやりたくないんですよ。

これまでも父さんに修行でボコボコにされて、冒険者になるための試験でエドガーさんにボコされ、武術大会でもエドガーさんにボコられ、この前の依頼でヒスイにボコられ…。

僕は本当の意味で自分が満足する勝利というものを勝ち取っていないのかもしれないな。

「じゃまするぞー」

「エドガーさん。それは入ってくる前に言う言葉なんですけど?」

言葉と同時に家に入ってきたエドガーさんに嫌味を言ってみるがこの人には効かない。

「そうか、すまん。それで話なんだが、今いいか?」

「…もう…いいです。なんですか?」

この人と話す時はこっちが諦めるのが正解とこの数ヶ月で僕は学んだのだ。人間は学んでいくものなのだ。

「お前らちょっとこの国の王様と会ってきてくんね?」

ん?なんて?

「嫌です」

おっそろしく早い否定!びっくりしちゃうね。

うんうん。わかるよー。急にこの国の王様に会ってきてくれないかなんて言われても困るもん。

これでお金を貰えるからって乗っかってたら嫌いになっちゃうかもしれなかったからねー。

はぁ〜。良かったお金の条件とかが出てこなくて。

「おいおい、どうしてだよ。王様に謁見できる機会なんてそうそうないはずなんだけどな…。報奨金の話もあると思うんだが」

「私は嫌です。どうしてもと言うならエルくんとヒスイが会えばいいと思います」

くっそ、やっぱり嫌いだ!

「エルく〜ん。代表のエーシェがこう言ってるんだけどどうするの〜?」

このドラゴンも嫌いだな〜。ほんとに何でこんなパーティーになっちゃったんだろう?

「それで?王都で王との謁見はお願いしても大丈夫か?」

王都で王とってあれじゃない?なんかダジャレみたいだよね?うん。わざとじゃない?

「もう決定事項なんですよね?武術祭の時同様拒否権なんて無いんですよね?」

「なんだよくわかってるじゃないか。移動の用意は問題ない」

「そっかー。やっぱりそうですよね。とりあえず話は聞きますねー」

エドガーさんの話を聞くことになった。

概要をまとめると

・今回のドラゴンの討伐依頼はもともと王都からの依頼だった。

・エドガーまたは達成が可能と思われるものに託して良い。

・依頼を達成した際には王都への報告義務がある。

「ちょっと質問してもいいですか〜?」

「どうしたエルドナス。何でも聞いてくれ」

「この話を聞いておかしいなと思っているところしか無いんですよねー?僕らが聞いていたのはエドガーさんからの依頼で相手はドラゴンってことだけなんですけど?」

「ふむ。伝え忘れていたか」

「ふむ。じゃないっす。ほとんど伝え忘れてるじゃないっすか」

「大事な部分は伝えていたはずなんだが、すまん」

謝るくらいだったらちゃんと伝えてくれよー。

まぁ確かに?僕らも迂闊でしたよ。

初めての望遠者組合からの直接依頼だったから浮かれていた部分もあったかもしれないです。

だとしても…だとしてもひどくないですか?

だって、依頼の詳細を聞けていないんですよ!

僕らのせいなんですかね?僕らが悪いんですかね?

僕の視線を感じてなのかどうなのか急にエドガーさんが慌て始めた。

「ほ、ほんとにすまん。そんなに嫌がるとは思っていなかったから、今日はおごるから一緒に飲もう。な?」

「そんなに気を使うくらいだったら最初から全部話してくださいよ!でも、今の話は聞いてたのでなんかいい感じの買ってきてくださいね」

「お、おう。じゃあ、また後でな」

そそくさと僕らの家から出ていくエドガーさんが出ていくのを確認して一息つく。

「ということで僕らは次に王都にいかなきゃいけないらしいっすね」

「私はここでお留守番してるわね」

「エーシェはさっきも嫌って言ってたよね?」

「エーシェは何でさっきからそんなに殺気立ってるの?」

「王都が嫌だからこの村に居るのに何で帰らなきゃいけないのよ」

そういえばエーシェは王都出身だったな。そんなに嫌なところなのか王都って。

「エーシェは王都から出てきたんだもんねー。そんなに嫌わなくても」

「嫌なものは嫌なの。行ったとしても宿に引きこもるから」

あ、一緒に行ってはくれるんだね。あ、ありがとう?

「エーシェー。王都ってどんなところなの?」

「見た目はきれいよ、しr…王城は大きくて見た目はいいところ」

うーん。エーシェさんそれはそれはなかなかの嫌味だね!

「そしたら昔あったエルーダ王国みたいな感じ?」

エルーダ王国?流石は長年生きているドラゴンさんだねー。物知りでびっくりだよ。というかこの国の名前なんだっけ?

「エルーダ王国…?そんなところ聞いたこと…まってそれうちの国の元になった物語に出てくるドラゴンとともにあったって言われているところよね?」

「そうそう。僕人間が作った王国ってそこしか見たことがないんだよね。エルーダ王国の王城も他の建物に比べて大きかったからそんな感じかなって」

「私も文献でしか知らないけど、エルーダ王国から派生した王国だから似ている部分はあるかもしれないわね」

へー。ところで僕の居場所ってここにあります?ねぇ、ところでエーシェうちの国って言ってたけどこの国の名前なんて言うの?

「へー。あそこも結構賑わっていたから楽しみだ!ねーねーエル君もエーシェも一緒に見て回ろうよー。エルーダ王国の時はいっつも大きな体でいたからちゃんと見たこと無いんだよねー」

へーヒスイ君なんか見てきたような口ぶりだけどすごいね~長生きしてみたいよー。

「なんかヒスイってこの前エーシェから聞いた王様と賢者と一緒にいたドラゴンみたいだね」

「え、あの話物語になってるの?」

「「え?」」

「というか王様と賢者って随分と有名になってるんだなあの二人」

あ、ご本人様登場?え…マジ?

「ヒスイがあの賢者様に魔法を授けたっていう…」

「そーそー彼の魔力操作を見たら教えたくなるってもんだよ。ほんとにエル君みたいな変なこと思いつく人だったよ」

「「へ、へー」」

人間キャパオーバーな出来事が起きると驚く以外のことができなくなるようです…。


時は遡ること数日前

ナレファンス王国王都ネジェル

【報告書】

今回王国から依頼された風龍(ヴィエント・ドラゴン)の依頼について

依頼内容には俺か依頼を達成できるであろう者にたくしてもいいということだったので俺の弟子のエルドナスってやつに任せたら想像以上の結果になってしまった。

結論を書くとエルドナスがドラゴンと仲間になった。

ドラゴンは今人の姿をして”ヒスイ”と名乗り生活している。

ヒスイ本人はエルドナスたちと一緒に居る限りは暴れないと言っていた。

これは条件の中にあった無力化の成功だと判断して依頼達成の報告とする。

細かいことはよくわからんからそのへんはゲルダナスお前に任せる。

あとはよろしく〜。

エドガー=カナフィリム

「いつものことながらあの人の報告書は…」

資料が山積みにされている机に座りながらエドガーからの報告書を読んでいた男性はそんなことをつぶやくと自然と拳を握っていた。

「ゲルダナス様いかがされましたか?」

「いや、昔お世話になった人に依頼が出ていたのだが、その報告書が上がってきてな。世の中得意と不得意はあるのだなと思ってな」

報告書と言うには雑すぎるほぼ手紙を握りしめながらゲルダナスと呼ばれた男はため息混じりに悪態をつく。表情は清々しいほどの笑顔なのに内容と行動が全く合っていない。

「お世話になった方とはあのエドガー様ですか?」

「そのとおりだよ」

「エドガー様といえばあのドラゴン討伐を2度も成し遂げた伝説とも言われる王都直属の冒険者だった方ではないですか!ゲルダナス様はエドガー様とどのような…」

ゲルダナスは額に脂汗をにじませながら思い口を開く。

「お前は訓練だと言われて訓練場の端までふっ飛ばされて気がついたら次の日になっていたことはあるか?」

「いえ…私も戦闘訓練はしたことがありますが…そのような経験は…」

ゲルダナスは表情を和ませると立ち上がり背にあった窓の方に移動して外を眺め始める。

「人はな極限まで恐怖で追い込まれるとな…自分を守るために記憶を消して自分自身を守るのだとあの人の訓練を受けて知ったよ」

「そ、それは…」

「そんなこともあって王国の兵を辞めるもの多かったのだが、私は昔そのエドガーさんに憧れていたからどんなことがあってもついていこうと毎日のように彼の訓練を受けたんだよ」

急に始まった昔話にコレは開けてはいけない箱を開けてしまったとゲルダナスの部下ヤルナレンは後悔しながらただただ聞くことにした。

「そしたらあの人はそんな中でもついてくる私を気に入ったらしくてな…何かあると私に面倒事を投げてくるんだよ」

「それは…災難ですね…」

「ヤルナレン。さっきのてが…報告書の中にエルドナスという名があったのだが、知っているか?」

「エルドナス…さて聞いたことは…いえ、あれですエリーゼの村での武術祭でそのような名前を見たような…」

「今年度の資料はあるか?」

「少々お待ち下さい」

資料棚からエリーゼの村に関する資料をまとめてある資料を取り出しゲルダナスへ提出する。

「今年の資料は…ああ、あった。えっとこいつか…というか何してるんだあの人は。規則を何だと思って…。まぁいい。確かに実力はあるようだな」

「それはどういう?」

「コレを見てみろ」

ヤルナレンは渡された資料の開かれた部分を確認すると目を疑った。

「武道家に素手で戦い槍使いには木刀を投げて西の国の剣士にはあえて木刀を短くして短剣のようにして使い攻め込まれるも一瞬の交差のうちに倒した?最後に伝説エドガー様と魔法ありの試合を行いエドガー様に魔法を使わせた…ですか…」

呆れて読み上げているこっちがバカバカしくなってくる。

「あきれるよな」

「ちなみにゲルダナス様はエドガー様の魔法を使っているところを見たことは?」

「一度も無い。訓練や模擬戦のなかであの人が魔法を使うことなんか見たことがない」

ゲルダナスは今は王国直属の冒険者をしているが、王国からの依頼をこなしている時以外はこうして事務仕事をしている。現在ナレファンス王国に所属している王国直属の冒険者の中でも五本指に入るほどの実力者だ。

「ゲルダナス様でも見ていないエドガー様に魔法を使わせるこのエルドナスという人物は相当の実力者ということですね」

「だからこそ、今回のドラゴンの依頼を任せたのだろうな」

「え、王様はエドガー様に任せたと聞いていたんですが」

「だから私が頭を抱えているのだ。はぁ…これから王への報告をするこっちの身にもなってほしいものだよ」

報告書を手に取り部屋を後にするゲルダナス。その背中は悲しそうでもあり、それでいて敵地に向かうような威厳のある背中でもあるように見えたヤルナレンであった。

【王都編①〜くっそ、やっぱり嫌いだ!〜】最後までお読みいただきありがとうございました!

一日何も書かずにぼーっとしている日があったんですけど、そのせいで「嫌いだ」って思っていた内容を忘れてしまいました。メモ残しておけばよかった…。なんとかやっぱり嫌いだを書いて4000字書いたあたりで思い出して頭を抱えました。新キャラと同じですね…。

今回エルドナスが嫌いだって思っていた内容は次回出てくるんでお楽しみに…?

さて、今回はいつもと違って前半と後半で別の舞台でした。後半の話はもともとの想定だとヒスイと戦う前に書こうかなーくらいに思っていた内容だったんですけど、依頼前でも依頼後でもゲルダナスは頭抱えてました。彼が報われる時はあるのだろうか…?

【次回予告】

エー「気が進まない」

エドガー「そう言うなって。馬車はいいやつにしておいてやるから」

エル「え…」

ヒスイ「みんな何でそんな暗い顔してるの?そうだ!馬車なんて使わなくても僕に乗って行けばすぐに…」

三人「「「それはダメ!」」」

ヒスイ「え〜?ケチー!じゃあ、いいや次回【王国編②〜風魔法の贅沢な使い方〜】お楽しみに!」

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