直接依頼来る!⑦〜〜ん?んんん?いいですけど?〜
急に興味が湧いたと言ってきたドラゴン。
今回もエルくんたちがぺちゃくちゃと話をしてますねー。
たぶん今後もこんな感じなんすかね?
急にドラゴンの口から出てきた言葉により僕達とドラゴンの戦いは止まった。
「満足…したって?」
「言葉通りだ。我は汝らとこれ以上争う必要性を感じないという意味だ」
それは僕らの実力が足りなかったということなのだろうか…。
戦うに値しない相手だと判断されたということなのか…。
このままこいつを逃してしまっては僕らの依頼は失敗になってしまう。
「まだだ…まだ終わっていない」
僕の言葉にドラゴンはまた首をかしげる。
「何か勘違いをしてはいないか?」
「なんのことだ?」
「汝らとこれ以上争う必要性を感じないというのは争わずに汝らを認めたからこそのことだ」
…ん?
「なんて?」
「だから…あーもー!この姿だから悪いんだね。ちょっと待ってて!」
ゴォっとドラゴンの体を魔力が包み込む。
ほのかに光り始めたドラゴンの体はどんどんと光をまして発光を続ける。
光は次第に小さな塊となり僕の前に落ちる。
「これなら信じてもらえるかな?」
光が消えて現れたのは体長50センチほどのちびドラゴン。
「この体になれば僕がもう戦う意志がないことが伝わるかな?」
ぴっと手を上げて僕に対して意見をしてくるちびドラゴン。何このかわいいマスコットキャラクター。
「僕はもう君たちと戦う意思は無いんだy…」
ちびドラゴンの言葉が途中で途切れたのはエーシェが過去最速の動きを見せたからだった。
「カーわーいーいー!!!!」
「ちょ!娘!僕がまだ話…抱きつくな!離れ…はーなーしーてー!」
エーシェのタックルからの抱きつきにちびドラゴンは反応しきれずに捕まってしまう。短い手足と尻尾でジタバタするがエーシェは話してくれない。どんまい…。
「エル君!この子私達が飼いましょう!いいえ飼うのよ!」
こらこらどこで拾ってきんだい?元いた場所に返してきなさい…あ、ここか。
「僕は飼われるつもりは無いぞ!」
「だめよ!私達と一緒に来るの!」
どうしたんだエーシェ?今までそんなキャラじゃなかっただろ?
「うー!もー!」
ちびドラゴンの体はまた光に包まれて今度は大きくなってエーシェの手から逃れた。
光が収まるとそこに居たのは…10歳ちょっとくらいの男の子だった。
「これで抱きつかれる心配は無いでしょ」
「ちょっとまって!」
「ん?何?」
僕はテントに走り自分の荷物をあさり自分の寝間着を取り出す。
「これ着て!何で素っ裸なの!」
元ドラゴン君は人の姿になったんだけど…なったんだけど…何でまっぱなんだよ…。
確かにもともと服着てないけどさ!そんな変身できるんだったら服くらいなんとかしてよ!
「そうだったねー。忘れてたよー何年ぶりだったかな人の姿になったの…えっとーうーんとー。考えるのめんどくさいや。あれ?コレどうやって着るんだ?」
はじめは人の姿になってしまったドラゴンくんに対して膨れていたエーシェだったが服を着ようと服を観察しているドラゴン君を見て上機嫌で手伝い始めた…ねぇさっきから何なの君?
「改めて君たちの名前を聞きたいんだけど」
自己紹介って大切だよね!
「僕はエルドナス」
「私はエーシェよ」
「エルドナス君とエーシェちゃんね」
うっわその姿に君付けされるのすっげー違和感なんだけど。
「ちゃん付けされるの恥ずかしいから呼び捨てでいいわよ。あとエル君はエル君でいいわよ」
何で君が決めるんですか?まぁいいですけど!
「ん。わかったー。エル君とエーシェね」
うんうんと頷いて腕組みを始めるドラゴン君。見た目年齢と中身年齢が違うからそういう感じなのかもしれないけど…うーん…合わない。
「あ、えーっと…そうじゃない。いや、そうじゃなくて!」
「ん?何?」
こてんと首をかしげる。何なのそのあざと可愛い感じゆる…す。
「何で口調が変わってるの?」
お前急にキャラ変わりすぎだろ!!今まで普通に話していた僕らがおかしいくらいには急なキャラ変だったよ!?
「ああ、本来の姿でいる時はあっちのほうが威厳が出るかと思ってて。こっちが素だよ」
さいですか。
「もう一つ!その格好は何なの?」
「その格好って…エル君の服じゃん。ダボダボだけど」
「いや、そうじゃなくて…何でその見た目なんだよ」
しばしの沈黙。
「なんとなく?」
疑問で疑問で返すな!
「もういいでしょエル君。これ以上戦うつもりが無いっていうのはどういうことなのかしら?」
再びの沈黙。何で一回黙るんだこいつ
「それを今話してもいいんだけど…」
急にドラゴンがうつむき始める。
何だ何だ?なんかあったのか?
「お腹へった…」
ぐぅぅ〜っという音とともに告げられたその言葉で一気に緊張の糸が切れた。
「アハハハ!何かと思えばそんなことか」
「確かにお腹は減ったわね。携帯用の食料しか無いから何か近くに居たらいいんだけど、エル君の探索そこまで広げちゃうとね…」
「そうだね…もうやんないかな」
「ちょっとまっててねー」
ブワッと魔力が広がる感じがする。これは…探索魔法か?
「向こうの方に何かいるみたい。捕まえて一緒に食べようよ」
「今の…探索魔法よね?」
「そだよー。話は聞いてたからやってみただけだよ?」
「はは…この子もエル君と同じなのね…私が違うだけなのかしら…」
「い、一旦見てくるからエーシェはここで待っててね」
ダークモードに入り始めているエーシェを残してドラゴン君の案内のもと移動すると熊(色違い)が居たのだった。
「僕より精度いいの何なの?」
「だって僕ドラゴンだもん」
どやぁ!っとめちゃくちゃドヤ顔してくるドラゴン君。スペックバケモンかよ。いや、ドラゴンって化け物の部類か…。
喋りながら熊に近づいていったら見つかってしまったのだが、熊退治って言ったら僕ですよねーいつの間にか目の前には熊が一頭倒れていましたよ。体が覚えていたんですね。弓で仕留めていたらしいっす。
なにこれ条件反射?
…いや、倒したまでは良かったんだよ?僕は今何を見せられているんだろう?
見た目が10歳くらいの子が熊を持ち運んでるんすよ?
僕が持ってても村で話題になっていたのにコレは…確かにやべえな…。
拠点に戻るとエーシェが熊を持ってきたのが僕じゃないのを見て驚きと同時に引くという高等テクニックをやってのけた。
熊を解体して肉を木に突き刺して焚き火で炙りながら改めてドラゴンと話をすることになった。
「それで?戦う意志がないっていうのはどういうことなのよ」
「そのままだよ。君たちと戦ってみてわかったんだよね。君たちと一緒に居るのも面白いんじゃないかなって思ったんだよ」
流石は知的好奇心優先のドラゴンさん。興味がある方にホイホイ行く感じなんですね。
「僕達の実力では君に勝てなかったのはわかっていた。なのに戦いをやめようって君から言ってきた。僕達からしたら好都合だったけど良かったの?」
ドラゴンくんは腕組みをして威張るような姿勢になって口を開く。なんだかちょっとかわいいけど口には出さないでおく。
「勝ち負けじゃないんだよー。確かに実力で言えばそうだろうね。あのまま僕が攻撃を続けていたら確実に僕が勝っていたよ。君たちを殺してまた違う土地に移っても良かったんだけどね。ただ、それ以上にこんなことはコレまでなかったから僕の中で好奇心のほうが強くなったんだよ。だから、君たちという人間がどんなふうに生きているのか見てみたくなったんだよね〜。そういうこと」
「そっかそっか〜…どゆこと?」
「いや、そのままの意味だったんだけど?僕もエル君とエーシェの仲間に入れてよ」
満面の笑みでこちらを見てくる元ドラゴンの男の子…。
ん?んんん?いいですけど?いいんですけど…ドラゴンが仲間になるって何事!?
「ついてくるならさっきの姿になってよ」
エーシェさん?僕らの話を聞いていなかったのかな?
ちなみにそれさっき僕らのことをふっ飛ばしてたドラゴンだよ?何でそんな強気なの?
「エーシェが抱きついてこないならいいけど?」
どやぁ!って顔が言ってますね。
「…それは約束できないわ」
できないんだ…。はいそこ膨れない!
「そういえば…ドラゴン君の名前は?僕の中では勝手にドラゴン君って呼んでたんだけど」
「名前…名前ねぇ…真名はみんなが聞き取れないし発音ができるようなやつじゃないからエル君がいい感じのつけてよ」
何その難易度高い名付け!
え、ちょ…急にそんな事言われても困るんだよなー。
「エル君新しい魔法の名前すぐ思いつくもんね。いいのがすぐ思いつくわよ」
おいこらハードル上げるんじゃない!!
ワクワク!ワクワク!って二人共目を輝かせるんじゃないよ〜。
えっと白っぽい髪の毛にこめかみのあたりから後ろに伸びる角が宝石みたいに輝いている。
あーえっと…なんていうんだっけかあの緑色の宝石。
「あ、あれだ!翡翠!ヒスイなんてどうかな?」
「うん。じゃあ、それで」
君はもっと自分が呼ばれることになるだろう名前に対して興味を持つべきだと思うんだけど?
「これからよろしくねヒスイ」
「うん」
君たち仲いいよね。コミュニケーション能力化け物かよ。
「それじゃあ、今日から新生ヴィジェだね!」
ほらヴィジェってちゃんと言っておかないと僕自身忘れちゃいそうだからね!
「エル君最近思い出したかのように言うわよね」
そうだよそのとおりだよ!
「ねーねー。そのヴィジェって何?」
ちゃんとそこらへんは説明しないとね!
「僕らはこの山を超えたところにあるエリーゼの村の冒険者をしていて、二人で一緒にやっているから活動するときの名前がヴィジェって登録になってるんだ」
「エル君というかみんな最近までその名前忘れていたわよ」
はは!エーシェさんや…真実はときに人を殺すぜ☆
「それでそれで?」
君は純粋な子で良かったよヒスイ…ちょっとまて、お前その姿だから忘れそうになるけど絶対僕らの10倍くらいの年だよね?あ、コレ考えたら負けなやつですね!
「ちなみに今回はヒスイを狙って僕らは来たんだけどね」
「あ、そ~だったんだ。討伐?」
意外とあっさりしてんなこいつ。
「ヒスイはどうしてそう思ったのよ」
「だって人間にとって僕らみたいな存在は脅威でしか無いでしょ?」
確かに僕らふっ飛ばされたもんなぁ…。
「まぁ、そうだね。でも、今回は討伐もしくは無力化っていう特殊なものだったんだよね」
「無力化?」
「ヒスイが風龍だから会話が通じる可能性もあるからってことらしいよ」
「そしたら今回ボクが一緒に行動したいって言ったのは想定通り?」
「うーん。想定外だったかなー。エーシェは?」
「私は驚いて最初は声も出なかったわよ。ところで、これって依頼達成なのかしら?」
あ、ヒスイが仲間になってくれることでテンション上がって忘れてたけどそれもそうだ。討伐はできてないし…無力化…無力化ってそもそもなんだよ。両手両足と翼をもいだら正解なのか?
ああ、こういうところちゃんと聞いておくべきだったなぁ…。
「エル君。僕の無力化って何なんだろうね?」
「今それ考えてるところなんだよ~」
「どうしようかなー。あれじゃない?僕が君たちの仲間で暴れるつもりは無いよーって言えばいいのかな?」
うーん。どうしよっか…。
「それでいいんじゃない?エルくんも考えすぎよー」
あれ?それでいいかもう。というかエーシェ酔ってるときのだめな感じになり始めているよ〜?
「エーシェは何飲んでるの?」
「ん〜?コレは葡萄酒よ〜」
飲んでたー!!お前…依頼先で何してんの!?
「僕も飲んでいい?服も結構変わっていたからお酒も変わってるんじゃないかなって思ってさ」
「それもそうね。はいヒスイ」
「ちょ、ちょっと待ったー!!」
「どうしたのよ」
「ねー?」
「君たち…自分の見た目を考えてほしいんだけど?」
エーシェはぶっちゃけ見た目は13〜14歳くらい、ヒスイはエーシェより幼く見える…だめだろこの無法地帯。
「僕は年齢とかそういうの関係ないからなー」
うん。そうだね。君を人の枠組みで考えようとした僕が悪かったのかな?あ、飲みやがったこいつ。
「私のことは知ってるわよね?」
いやいや、そうなんだけどそうじゃない…。
「知ってるよ!知ってる!ここではもう諦めたらいいんだけど、村ではヒスイは飲まないでね」
「えー。こんな美味しいのに〜。昔よりだいぶ美味しくなってるからまた飲みたいのに〜!」
「そうよねー。こんな美味しいのに何でだめって言うのかしら?」
こ、こいつら…。
「わかったよ…家では飲んでいいから…。この後は僕が警戒しておくから二人は飲み終わったら休んでね」
「「はーい」」
楽しそうだなぁおい!
拝啓
父さん母さんお久しぶりです。
僕らは今回始めての事づくしの依頼となりました。
まず、ドラゴンが相手となる大変な依頼でした。
あと、野営をしながらの依頼で仲間と協力をしながらの予定だったのですが、何故かお酒を飲んでその仲間は寝ています。不思議ですね。
そういえば僕らに新しい仲間が増えたんです。
これからは3人で頑張っていくことになりそうです。
また、何かがあったら手紙を出します。
エルドナス
追伸
僕の仲間を見たときに何も言わないでもらえるとありがたいです…。
【直接依頼来る!⑦〜〜ん?んんん?いいですけど?〜】最後までお読みいただきありがとうございました!
やっと出てきてくれましたヒスイ君!ははは…ほんとこいつらすごい。『魔魔世』の人たちだとそんなことないのn…いや、そうでもなかったわ…。
ま、書いている量が違うからなんでしょうね…。
さて、そろそろ直接依頼編も終わりが近づいて来ましたね。直接依頼の次はかなりの長さになる予定です。
実はまだ手前で書いている方も書き終わっていないんですよね…。終わらせないと…。
【次回予告】
ヒスイ「ところで、ヴィジェってどっちが代表なの?」
エル「エーシェだよ?」
エー「じゃんけんでそうなったのよ」
ヒスイ「その割にはエル君のほうがいろいろ決めているような…」
エル「主人公補正?」
エー「補正なの?」
作者「エル君のほうがよく喋るからねー。自然とそうなっちゃうんだよ」
ヒスイ「なんとなくなんだね」
作者「痛いところつかないでよ!」
ヒスイ「そんなわけで次回!【直接依頼来る!⑧〜とりあえずカンパーイ!〜】お楽しみに!」
三人「「「持ってかれた!」」」
ヒスイ「密かに狙ってたんだよねー」




