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旅立ち!目指せ冒険者!③~筋肉こそ強さの証~

(エルドナスだけ迷いに迷って)ついにたどり着いた冒険者組合。ついに始まる冒険者になるための試験。そこでの試験の内容とは!冒険者試験前半開幕です!

エーシェに連れられて到着した冒険者組合の建物は頑張って頑張って頑張っても…立派とは形容しがたい建物だった。

木造で作られたその建物の特徴はとってもぼろい…の一点に尽きます。ほんとになんでこんなにぼろいんですか?あばら家ってやつですか?掘っ立て小屋ってやつですか?大丈夫なんですかここ!!

「エーシェ?ほんとにここであってる?」

「疑うの?失礼な人ね」

「ご、ごめんなさい」

「ほら行くわよ」

分厚い扉に手をかけ力をかけても動かない…。思いっきり力をかけるとやっと動き始めた。

ぎぃぃ~と音を立てながら扉が開いていく。ここほんとに冒険者組合って本当なんですよね?今のところ完全にこれお化け屋敷の扉に手をかけた感覚なんですけど…。

「行くわよ」

「はーい」

重たい扉が開いたその先に人が群がるコルクボードや新人いびりをしてくるような先輩たちが…。

いーない!!だーれもいない!閑古鳥が鳴くというのはこういうことですかね?

ところで、閑古鳥ってどんな感じで泣くんだろう?「クエ~!」かな?

でも、いないならいないでなんかさみしいな。異世界転生していった先人たち(ラノベの主人公)はこういうところで絡まれるというイベントに巻き込まれてそれを解決してこそ無双が始まるみたいのあるじゃないですか?そのイベントすら迎えられない僕はもしかしたら試験を突破できないのかもしれない…。

でも、サクセスストーリーだとみんな貴族たちと一緒にいろんなことやって大変そうだから僕はこのままでいいかなー。貴族ってめんどくさそうだし…。関わらないで済むのであればそれに越したことはない。

冒険者組合には想像通りの依頼が張ってあるコルクボードと依頼を受注したりするためのカウンターがあるだけの簡素なつくりだった。そのカウンターには受付のお姉さんが一人立っていた。

「あの、私たち冒険者の登録に来たんですけど」

「あーはいはい。冒険者のとーろくですねー。じゃあ、一枚目を読んだら二枚目に必要事項の記入をお願いしまーす。終わったら呼んでくださいねー」

すがすがしいくらいの棒読み!そのテキトーな感じもそれはそれでいいぞぉ!なんとなくここに人がいない理由もわかった気がする。この塩対応が招いた結果ですかね!絡まれなくて済んだのはお姉さんのおかげですね。ありがとうございます?

感謝の念を飛ばしていたら目の前に紙が二枚出された。

一枚目は冒険者登録にあたっての注意事項が事細かに書かれていた。あれでしょ?クレジットカードの契約書とか届いた後の書面みたいなくっそ長い誰が読むやこれって思うような法律とかそういうあれだよね。うん。問題ない。最終的に大事なのはすべてが自己責任ですってことでOK!

二枚目は名前と年齢と使用するものって書いてある。あれか試験の登録と申込書みたいな感じですかね。

名前:ルーファス=エルドナス

年齢:15

使用するもの:両手剣・魔導弓

あ、あと最後にさっきの読んだかどうかのチェックがあった。読みましたよチェ~ック!

「書き終りましたー」

「あら、速いのね。ちゃんと読んだの?」

「何が起きても自己責任って書いてありました」

「う、うん。あながち間違っていないかなぁ。ちゃんとそういうの読んでおいた方がいいわよ?知らないうちに知らない契約結んじゃったみたいなこともあるかもしれないから」

「以後気を付けまーす」

受付のお姉さんと話をしているうちにエーシェも記入が終わったらしい。

「あーはい。二人とも大丈夫みたいね。じゃあ、実技試験やるからこっちに来てねー」

受付のお姉さんについていくと建物の裏口に通された。扉の先にあったのはグラウンドみたいな場所があった。ここでやるんですね実技試験。なんていうか運動場とか修練場って呼び名がついてそうな場所だな。

「組合長!今日の登録希望の2人です。お願いしまーす」

「おう!ちょっと待っとけー」

とんとんという感じの音ではなくずんずんっていう感じの重たい音が二階から近づいてくる。何が近づいてくるんだ?

「おーう!待たせたな。俺がこの村の冒険者組合の長をやっているエドガーだ。よろしくな」

重そうな音がしたのは理由がすぐにわかった。その人は一言いうなれば…筋肉だった。

あ、いや、別に僕の語彙力が足りないのは否めないとは思うんですよ?それはわかってるんですけど、筋肉なんすよー。もう、うん。筋肉だぁ~。

組合長のエドガーと名乗った男性は短髪にいかつい顔してピッチピチのタンクトップとハーフパンツをはいたゴリマッチョだった。どんな鍛え方したらあんな足と腕になるんだろう?足とかエーシェの腰回りくらいの太さあるんじゃない??え、セクハラですか?すいませんでした。

エドガーさんは僕らが記入した資料をみながらこっちのことを観察している。うん。おっさん怖いよ?

「えーっと?女の子の方はエーシェルドちゃんね。ま、見たまんまって感じで使うのは魔法か。で、そっちのひょろいのがエルドナスだな。お前は剣と魔導弓を使うんだな?」

あれ~?エーシェと僕の扱い最初っから違いますねー。僕のことひょろいのって言ってませんでしたか今!?

「最初のうちは一つにしておくのも手だぞ?その武器に集中することができるし、パーティー組んだ時に仲間にも役割がわかりやすくなって分担がしやくすなるからな。ま、見ていて気になる様なら俺からも助言するって感じで両方やってもらうか」

「あ、それでお願いします」

「よし、じゃあ説明していくぞーめんどくさいから一回しか言わないからなー」

この感じ受付のお姉さんと似ているな…。

「試験の内容は基礎技能試験と実践形式の試験の二つだ。基礎技能試験では、魔法と弓はその辺の的を狙ってバーンて感じでやってくれ。剣は俺の指示通りにやってみろ。実践形式は名前の通りだから説明はいらんだろ」

説明って言っているのにわかんだろってテキトーかよ。

「あと、今日の試験では使うのは使える技だけにしておけよー。無理してできないことやろうとしてたらすぐわかるからなー。じゃあ、最初はエーシェルドちゃんからかなー。頼むぞ~」

「わかりました。じゃあ、あの正面にある的でいきます」

そういえば、攻撃魔法を見るのは初めてかもしれない。父さんと母さんは魔法は使えはするのだが、攻撃魔法というのは苦手だったらしく一度も僕に見せてくれなかったから人が使う魔法を見て学べる機会かもしれない!わくわく!

「では、行きます…【火弾(フェーゴ)】」

エーシェが胸の前に構えた杖の先に拳くらいの大きさの火が現れる。火は下端を中心の軸にして回転し始め、もともとはろうそくの先についているような火の形だったものが球体になった。火の玉だ!スゲー!あれうまくいかないと思っていたけどそこで回せばよかったんだ!勉強になった!

エーシェの作った火の玉は杖を振り回すと杖の先にそのままついて行ってエーシェさん振りかぶって~ぶん投げた~!

バンッ!と的野中心に見事クリーンヒット!あら、コントロールいいのね。というかあれってぶん投げるもんなんだ…。それも知らなかった。

「ふむ。問題なさそうだな。合格だ」

あれ、結構簡単に合格でるんじゃないっすかー。目の前でちんちくりんがちっちゃくガッツポーズしてますね。あれれ~なかなか合格できないって噂はどこに行ったんですかね??

「よし。じゃあ、次はエルドナスやってみろ」

「はい。同じ的でいきます」

父さんからもらったこの弓は魔法を使うための弓だ。僕の場合は弓を使って魔法で作った矢を飛ばすのが一番性に合っていた。しかし、僕の最大の問題はコントロールだ。昔何度か魔法を飛ばそうとしたこともあったんだけど一回も当たったため試しがなかった…。だから、最初からあてにいくのをやめた。かわりに撃ってからずれたら曲げればいいじゃないかという謎理論にたどり着いたのだ。

その名もホーミングアロー。矢を放ってから任意の方向へ2回まで曲げることができるようになったというか、頑張った…。まっすぐ飛ばないなら最初から曲がる前提でやればいいのだと今では開き直っている。

「行きます!」

投手のワインドアップのように弓を天に掲げ、右手の親指と左手の親指をゆっくり離しながら弓を前に構えていく。親指と親指の間に火でできた矢を作りめいっぱい弦を引く。だいたいこの辺!ファイヤー!

あ、やっぱり右上のほうにずれてる。【軌道修正】発動!

矢からボッと小さく火が出る。その火の推進力で軌道修正をする。ちょっと強すぎたかもしれない。ぎりぎり当たらない?もう一回!【軌道修正】

今度は左下側から火花のようなものが少し散る。無事軌道修正ができた矢は的の中心に当たってくれた。

「やった!ちゃんと当たった!」

「お前の矢…曲がってなかったか?」

「曲げてますよ?」

「もっと思いっきり曲げることもできるってことか?」

「はい。威力はなくなっちゃうかもしれないですけどおそらくできますね」

「なんじゃそりゃ、そんなん初めて見たぞ。面白かったから合格!」

実力じゃなくて何か引っかかる台詞が聞こえた気がするけど合格らしいやったね!

「それじゃ、次は剣の試験に移るぞ。試験ではこの木刀を使う。受け取れ」

「は、はい」

ポイっと放られた剣を受け取る。見た目からわかっていたが、この剣は普段自分が使っている物よりもかなり重たい。いつも使っているのは刀と同じ片刃タイプの物のため刀身は細いものなので軽くできているのだが、これは両刃タイプの物なので太いく重たい…。こんなんぶんぶん振り回しているエドガーさんは見た目通りの筋肉だるまなんでしょう。

「じゃあ、始めるぞー。最初はエルドナスから切り込んで来い。その後は俺が指示しながら続けてくれ」

「はい!」

「準備ができたらお前から来い!」

さすがに普通にやったらこれ振り回すだけでもしんどいんだよなぁ。ついでにどんなことしても力負けしそうだなぁ。最初の一撃で相手の武器を破壊する勢いでいこう。楽そうだから。

筋力強化(ポデラーソ)】【俊敏強化(アジリダ)】発動。うん。これならこの木刀でもなんとか振ることができそうだ。

「行きます!」

ずっしりと構えているエドガーさんに隙なんて見当たらないので、正面から切り込むことにする。ジュ分の持てる最速で最強の一撃で決まってほしいなぁ。まっすぐ走ってそのままの勢いのまま切りかかる!

「おいおい面白味がねぇなあ…。それみんな同じことやってくるんだけどなんなんだ?」

ダッシュの力と全体重を乗せたつもりだったんだけど、簡単に受け止められてしまう。

「っは!軽い軽い!全然軽いぞエルドナス!」

エドガーさんは俺からの攻撃を受け止めながらそんなこと言ってる。いや、全力なんですけど…。

「ふんっ!」というと空中に浮いていた僕ごと吹っ飛ばして来た。化け物め…。

「剣は扱えているみたいだが、全然足りん…筋力が足り取らんぞ!!」

なぜか上着を脱いでポーズを決めている。あれ知ってる…。フロントダブルバイセップスという名のポージングだったと思う。う、美しい…?

「筋肉がすべてを解決してくれる!」

うわぁ…暴論だぁ。嫌だよそんな筋肉だるまになるのは…。

「エルドナス!次は俺の攻撃から耐えてみろ」

雑な指令だな…。この人怖いから【時間認識強化(エクステンション)】発動!見ているものがスローモーションになったようにゆっくりになる…はずなんですけど、この人普通のスピードで見えるんだけど、何なの子の筋肉だるま…。

上右下上上左といろんなところから剣が飛んでくる。こっわ!すげぇ怖い!木刀なのに体にあたったら致命傷になりそうなんだけど!

「ふむ、最低限はできるみたいだな。じゃあ、防ぎながら俺に打ち込んで来い」

いや、そんな隙一切ないんですよねエドガーさん。僕はあなたの攻撃を受けきっているだけで及第点と言ってほしいんですけどね!

エドガーさんの剣をはじいて一回狙ってみたのだが…思いっきりはじかれました。なんなのこの人ほんと嫌だ…。

僕に取ったは息の詰まる攻防…というか防戦一方の時間が続く。

「よし。そこまで。エルドナス合格だ。良き師に教わったのだな。久しぶりだぞ一撃も入れられなかったのは」

父さんのことも合わせてほめられたのは素直にうれしいが、この人ほんとに攻撃を入れてくるつもりで斬りかかってたよねやっぱり…。

だが、これでとりあえずは冒険者試験の半分を合格することができたということだ!あとは、実践形式の試験となるんdふぁけど…。さっきやっただけでわかるんだけど、この人怖いっす…。

「おーし、じゃあちょっと休憩したら続きやるぞー」

「旅立ち!目指せ冒険者!③」最後まで読んでいただきましてありがとうございました!テキトーな受付のお姉さんと組合長のエドガーさんが初登場でしたね!エル君あのポーズみてすぐにその名前が出てくるってマニアだったのかな?とれたて新鮮肩メロン!とか叫んでたのかなと思うとクスッと来ますね。さて、今後はどうなるんでしょうかね?

【次回予告】

基礎技能試験は突破できた二人。実践形式の試験はどのような試験になるのか!筋肉がはじけ筋肉と筋肉がぶつかる…のか?さあ、今まで培ってきた技のすべてをぶつけるのだエルドナス!

次回!「旅立ち!目指せ冒険者!④」冒険者試験篇完結!

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