直接依頼来る!⑥〜これが僕だよ〜
突如エルドナスたちの前に現れた緑竜。
直接依頼の開始です!
星がきらめくだけで月が空に浮かんでいるわけではないので、視界は焚き火の明かり以外はない状態だからいいとは言えない。
それでも僕らが今日の昼間に山のところから見ていた緑色をしている生き物が目の前に現れたのは確認できた。
どうする…本来ならばこんな視界の悪い中戦うような相手ではない。だからといってこれは僕らが逃げたいと言って逃してくれるようなやつではない。
そんな中でもわかるのはまだ、こいつには戦意はないということ。
さっき「面白い魔法を使う者」って言っていたから他にも魔法を見せたら僕らのこと見逃してくれたりしないかなー。
「エル君…どう…するの?」
完全に緊張で体がこわばりそれが声にまで出てしまっているエーシェさんはそれでも緑竜の方を向いて杖を構えた。
「エーシェ。彼はまだ、それを望んでいない…はずだ」
「そうだ。我は汝らと争うためにここに来たわけではない。先程言ったとおりここら一帯で使われた魔法に興味があって汝らに近づいたまでだ」
本人?本龍?もそう言ってるからそういうことなんだろう。
「して、先程の魔法をを使ったのはどちらだ?」
「先程の魔法とは?」
まぁ、使ったのきっとおそらくたぶん僕なんだけどね。
「敵意の無い魔力がここら一帯に広がったのを確認したのだ。あれはなんだ?」
こてっと首をかしげる動作をするドラゴン…お前その大きさであざとさとかいらんだろ…。
「エーシェ…これってさっきの僕の探知魔法かな?」
「きっとそうよね…ほら、正直に答えちゃいなさいよ」
うっわこいつ自分じゃないからって僕のこと売りやがった!まぁ…間違いなく僕なんですよね…。
「きっとそれ僕ですね」
「ほぉ。…そうか。先程のあれは何なのだ?」
「あれは探索の魔法です。近くに何があるかを調べるための魔法ですよ」
「探索魔法とな…そんなものは…いや、しかし…可能性はあるのか…?」
なんかこのドラゴンさんめちゃくちゃ考え込み始めちゃいましたよ?
僕また何かやっちゃいました?
「ほら、またあんたの変な思いつきでドラゴンまで困らせてるじゃない!謝りなさいよ」
なんで僕謝らなきゃいけないんっすか?ちょよくわからないんですけど?
「えっと?何か問題でもありましたか?」
「いや、我も思うところがあってだな…。汝らには関係の無いことだ」
何でこいつこんなに古風な話し方してるんだろう?まぁ、今までこういうやつは居なかったけどさ…。
「探索魔法とは何なのだ?」
唐突なしつも~ん!びっくりしちゃったよ!もう目が点ってやつだよね。うん。というかさっき簡単に質問したよね?
「魔力を薄く広げて近くにあるものを目ではなく魔力で感知するものです」
僕は何で今魔法についてドラゴンに説明しているというよくわからない状況だ。何を言っているかよくわからないだろうが(以下略)。
「そういう考え方もあるのか…ふむ…そうか…お主名を何という?」
「エルドナスです」
「エルドナスだな。どこでその知識を手に入れたのだ?」
おっと?これはちょっと予想外の質問。前世ですとか言えないよね!
「えっと…思いつきですね。まだ無いって仲間に聞いたので作れないかなと思いまして」
「汝は新たな魔法を作り出せるのか?クリフ…いや賢者の作った構築式の応用でもそのようなことはできないはずなのだが」
このドラゴンは構築式の知識も持っているらしい。
ドラゴンも魔法を使うときって構築式を使ってるのかな?
そもそもあれだよね…きっと人間に最初に魔法を使ったとされる賢者もドラゴンから魔法を教わったってさっき話しを聞いたばかりなんだけど…んん?難しい話になってきたな…。
「構築式は苦手なので僕が考えたことをそのまま魔力操作で現実に対して具現化しているような感じですね。なのできっとオリジナルになると思います」
僕の言葉を聞いてドラゴンは天を仰ぐ。
その行動は僕の魔法の理論を考えない使い方に対しての行動なのか。
それとも他に何かを思っての行動なのかはわからない。
「そういえばクリフも…汝らの祖先に当たる者たちも同じように魔力操作に長けているものが負ったことを思い出した。だが、奴らは最後は我を裏切るのだ」
なんかドラゴンさんもブラック属性持ちなんですか?何で僕の周りに来るのってブラック属性多めなんですかね?
「まさかドラゴンにまで魔力操作に関して褒めていただけるなんて光栄ですね」
「ふむ…それで先程のあれは魔力を広げるだけでいいのか?」
んん?なんか目がキラキラしてませんドラゴンさん?あれですか?新しい魔法に興味津々ってやつですか?
「そ、そうですね」
「ねぇ。エル君。このドラゴンもしかしたらあれじゃない?話し合いでなんとかなるんじゃない?」
「エーシェ…それフラグっていうんだけど…」
「え?なんのこと?」
「なんでもない…」
そういうフラグ立てると…いや、考えるだけでもフラグになっちゃうからやめておきましょう。うん。やめよう。
「そうか…魔力を薄く広げる…か」
ぶわっと周囲に風のような魔力の嵐が吹き荒れる。
えーちょっとー聞いただけでできちゃうとか僕の専売特許なんですけどー。やめてよー。
「これは便利だな。視界に頼ることなく周りの状況が手にとるようにわかるのは便利だな」
そしてできてるんかーい。お前も大概じゃん。
「して、汝らこの程度では無いのであろう?」
ほらー。こうやってフラグは回収されていくんですよ。うん。
「さぁ、汝らの力を見せてほしいのだが…準備はいいかの?」
「エーシェ。フラグは回収されちゃったみたいだよ」
「エル君が何を言っているかはわからないけど、この後に何が起きるのかは大体わかったわ」
二人で自然と僕がドラゴンの前に僕が出てエーシェが後ろに下がり臨戦態勢に入る。
「エーシェ。行くよ」
「ええ」
「君たちの力を見せてほしいものだね。まずは…これに耐えてみてくれ」
口を高くに上げて力を溜めるかのように構えるドラゴン。
「エーシェ。何枚まで張れる?」
「なんのこと?」
「魔法障壁だよ。何枚行ける?」
「何枚って一枚よ!」
「わかった。じゃあ僕の前に張って!」
「【魔法障壁】」
僕の前に魔法障壁が展開されたのを確認して僕も魔法障壁を準備する。
おそらくドラゴンがこれから繰り出すのは咆哮的な何か。
こういう攻撃は基本的に一方向に向けた攻撃だ。こういう攻撃は実は一方向に向けた断続的な攻撃になる。
それに耐えきるためには2枚の魔法障壁では足りない。きっと耐えきれずに破れてしまうなら増やせばいいのだ。
3枚…いや…10枚できたらいいな…。
【多重魔法障壁】
一枚また一枚と魔法障壁をドラゴンの方に向けて展開していく。
4枚…5枚…まだだ。まだ足りない。7枚…8枚…。
「行くぞ…【龍の息吹】」
間に合え!間に合え!ラスト一枚!!!
ゴォォォォ!という音とともにドラゴンの口から吐き出される風が迫ってくる!
ちょっとまってくれよ。これ最大瞬間風速どんなもん?確か日本に来る観測史上最大とか言われている台風で最大瞬間風速50メートル毎秒くらいでしょ?これそれ以上とか言われたら困るんですけど!
人間想像を越えたことに関しては対処できないものなんですよ???
「ちょ!エル君これ大丈夫なの?」
「信じよう。11枚の魔法障壁を…」
龍の咆哮で一枚ずつ魔法障壁が割れていく。耐えてくれよぉ…僕の魔力量だと10枚が限界だったんだから。
ゴォォォとビシッ!ビシィ!バキッ!と言う音が繰り返し聞こえてくるこの状況はかなりカオスだが残り3枚。なんとか耐えられるか…。
残り1まいのところでなんとか耐えきって暴風がそよ風に変わる。
「ふむ…耐えきったか」
こいつはまだ遊んでいる。僕らの実力がわからないからなのかもしれないが、まだ僕らの実力を図るために遊んでいるのだ。
「エーシェ。例の魔法を頼む。時間は稼ぐから」
「え、ちょっとエル君?」
【魔力吸収】【俊敏強化】を発動してドラゴンに突っ込んでいく。
こういう大きいやつって腹の方に突っ込まれると意外と対処できなかったりするんだよねー。と…ゲームで学びました。
「ん?急に早く…そうか…受け継がれているのだな」
そんなことを言いながらもこのドラゴンは前足で僕と戯れてくれる。わーいありがとう。剣で攻撃するたびに魔力が回復してくれるからありがたいよ。
「よし…溜まったね」
「む?」
魔力が一定量溜まったことを確認してドラゴンの前方2メートルくらいのところまで一気に距離を取る。
【武器交換】で剣を木刀に持ち替える。
「おまたせ。新しい魔法だよ」
【属性:光】
弾数:1
座標:(0,0,0.3)
特性:所定の位置に停止後0.5秒後に下三段のみ展開。
ひゅっと弓を放つとドラゴンのお腹の下に光の玉がとどまる。そこから一気に半径2メートルの位置で3段に分かれる。
全方位弾は平面に対して8つの玉を展開しそれを複数平面用意する形で展開することで全方位を囲む魔法なのだが、今は上を向かせてはいけないから下の3段だけ展開する。
「これもまた不思議な技を…」
「ここからだよ!」
360度展開した光の玉が弓の形に変わりドラゴンの体のある座標である(0,0,1)に向けて集まるように一気に移動する。
「まだ…足りん」
ブワッと翼をはばたかせ上空に逃げるように避けるドラゴン。
だが、これが避けられるのは想定通りだ。
「エーシェ!今だ!」
「【極大火槍】!」
上空に作ってあったエーシェの極大の火の槍がドラゴンを襲う。
「ぐぅ…おおおぉぉぉ」
完璧にドラゴンをとらえドラゴンをついに地に落とすことができた。
地に落ちたドラゴンを捉えるための準備は整っている。
右手を掲げ準備をしていたものをドラゴンに向けて放つ。おそらく僕の持っている中で一番の威力を持つ技だ。これでだめならもうダメだ!
【光炎槍】!
光の速さと炎の貫通力を持った槍がドラゴンの頭をめがけ飛んでいく。
「フハハハ!面白い!そうでなくては!【龍の息吹】」
僕の槍に対してカウンターとなる息吹。
凄まじい風と槍の力のぶつかり合いが生じるが僕の槍のほうが力不足だったらしく、消えてしまう。
槍をかき消すために使われた龍の息吹の夜はが僕らを襲う。
「ぐああああ!」
「きゃあああ!」
僕はなんとか木の間の草が生えているところに落ちたのでほぼ無傷で済んだのだが、エーシェは生えていた木に当たってしまった。
「エーシェはすぐに自分に回復をその間の時間をかせぐ!」
「ゲホッゲホ!エ、エル君?」
「いいから早く!」
エーシェが回復をするための時間をかせぐために再度ドラゴンの前に出る。
「面白かったが、ここまでのようだな」
「まだ…まだだ!」
魔力が足りないなら命を削って魔力に変換すればいいんだ。
なんとしてでも時間をかせぐんだ。
絶対に…エーシェには…生き延びてもらうんだ…。
【属性:光】
弾数:1
座標:(0,0,2)
特性:目標座標に到着と同時に全方位に展開!その後1秒後に(0,0,1)に向け矢の形に変形して移動
全方位弾発射!
ひゅっと弓から発射された玉が一気にドラゴンの周りを囲む。
「まだ…まだ諦めない!」
全方位弾が展開されたのを確認して【武器交換】を発動して弓から剣に持ち替える。
剣を持ちドラゴンに向け走り出す。
「汝はなぜ…なぜ諦めないのだ…?」
その問いかけに答える前に全方位弾がドラゴンに向けて移動を始める。
これがだめなら本当に…だが、そんなことは…。
あれ…自分でフラグ立て…。
「ふっ…【魔法障壁】」
ドラゴンは自身の体の周りに魔法障壁を展開し僕の矢を防ぎきる。
それが見えてもなお僕は握った剣に力を込めて更に今まで使っていた【魔力吸収】を解除して【筋力強化】を2つ重ね掛けをして思いっきりその魔法障壁をぶっ叩く。
ガキンッ!という音がして火花が散るが全く傷ついた様子はない。
ガキン!ガキンッ!ガキンガキンッ!と火花を散らしながらも全く削れる様子のない魔法障壁を叩き続ける。
剣を持っている手には力がこもりすぎて血が滲み始める。
それでも止めない。止めたらここまでやってきたことがすべてどこかに行ってしまいそうだから。
そしてエーシェとの約束を守れなくなってしまいそうだから。
「今一度問う。なぜ…なぜ汝はこの状況でも諦めずに向かってくるのだ」
剣を振りながら考える。どうして…かと。
「なんでって…僕でもわからないよ」
同じところを叩き続けていると少しずつドラゴンの張った魔法障壁にもヒビが入り始めた。
「でも…でもこれは…。僕が僕であるためだ」
ビキビキッ!とヒビが広がる。
「これが!僕だよ!!」
思いっきり振り上げた剣を振り下ろし魔法障壁を叩き割る。
「また会えたねドラゴン君」
「フハハハ!汝は面白いな」
急なドラゴンの笑い声に震える大地。
「急に何だよ」
「もうやめだ。我は十分に満足したのだ。それに…」
ドラゴンは翼を収め僕らの前に立つ。
「我は汝らに興味が湧いたのだ」
「「へ?」」
回復を終えたエーシェと顔を見合わせてからもう一度ドラゴンを見る。
なんだろうこいつすっごいいい笑顔してない?表情とかあんまりわかんないんだけどさ!
【直接依頼来る!⑥〜これが僕だよ〜】最後までお読みいただきありがとうございました!
もともとはドラゴンとの出会いと戦いだけで一章と同じくらいの長さを想定して第二部の予定だったんですよ…大昔(数ヶ月前の想定)では…。でももともとのプロットみたいななにかもこんな長さで終わっちゃうんですよねー。うん。残念ながら僕の中でのドラゴンという存在はかなり大きなものだったみたいです。
僕とドラゴンの出会いって某RPGなんだと思うんですけど、4のときのドラゴンって神様扱いなんですよね。それもあってか結構大きな存在になっているのかもしれないです。
さてさて、このさきどうなるんでしょうね?
【次回予告】
エルドナス「今回やばかったねー」
エーシェ「そうね。エル君があんなにボロボロ…いえ、ちゃんと作中でボロボロになる描写は初めてだったんじゃないかしら?」
作「たしかに?」
エルドナス「…ところでエーシェはどうやって回復したの?」
エーシェ「回復役飲んだのよ?」
エルドナス「回復役の描写…書こうとしないこいつは何なんだ?」
作「じ、次回!【直接依頼来る!⑦〜ん?んんん?いいですけど?〜】お楽しみに!」
エル&エー「「逃げた!」」




