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直接依頼来る!⑤〜ええっと?こんにちは!〜

野営拠点を得たエルドナスとエーシェ。

この暇な時間…どうしようかね?

周囲を警戒しつつも火を眺めていると夕焼けで空が赤くなってきた。

そういえば無人島でもやることなくて火を眺めてたらいつの間にか日が暮れているみたいなことあったなー。数ヶ月前の出来事だけどもうだいぶ前のことみたいにかんじるな。

夕焼けで赤くなっていた空が東側からゆっくりと暗くなって来る。

こんな風にじっくりと空を眺めることなんて今まであっただろうか。思い返してみても記憶にない。

子供のときは遊ぶことに精一杯でこんな風に空が暗くなりはじめたら家でご飯が待ってた。だからこんなにじっくり空を眺めることなんてなかったんだろうな。

「エル君見張り交代しましょうか」

テントからエーシェが出てきた。もっと休んでても良かったのに。

「ぼーっとしてるだけでも休憩になってるから大丈夫かな。もうちょっと空見てたいんだよね」

日はすっかり沈みあたりは闇に包まれていた。

「今日は星が綺麗に見えるのね」

エーシェにそう言われて改めて空を見上げると雲の少ない空にたくさんの星がきらめいていた。

「ホントだ。そういえば星を眺めるなんて初めてかも」

前世では星の勉強をしたこともあったから眺めていたことはあったけど、地元から関東に来た頃には周りが明るくなったこともあり見る機会なんてめっきりなくなっていた。

「こういうのもいいものだね」

「今日のエル君おじさん臭いことばっかり言ってるわよ?どうしたのよ急にそんなしみじみと」

「いや、ちょっとこういう時間があるといろいろと考えちゃってね」

「へー。また新しい魔法とか?」

「そうじゃなくて、家を出てエーシェと一緒に冒険者になって数ヶ月経ったんだなって。ここまでけっこう一気に時間が過ぎたように思ってたからこういうまったりした時間って久しぶりなきがして」

「たしかにそうね。冒険者になってちょっとしたら武術祭だって言われてこの依頼だもんね。夜をこんな風にゆっくり過ごすよりもターシャちゃんのところでご飯を食べてるかみんなで騒いでるかのどっちかだったものね」

確かに夜の記憶ってだいたいがあの店に居た記憶のほうが多いな。

今までの日々を思い返すと…村の外で依頼をこなしたり、エーシェに怒られたり、熊を担いだり、ケーキを奢らされたり、鹿を担いだり、エーシェに怒られ…あれ?エーシェに怒られた記憶多くない?

「僕、エーシェのこと怒らせてばっかりだったかも?」

「あら、今更じゃない」

あ、ごめんなさい…。

「そういえば僕星について詳しくないんだけど、エーシェはどう?」

「私もあんまりよ。でも昔読んだ絵本に星のお話があってそれは好きだったかも」

あれ…僕絵本とか読まずに魔法書ばっかり読んでたんだけどやっぱり変わった子だと思われていた…?

「星ごとに一人の神様がいてね、それで世界のいろんなことを神様同士の話し合いで決めていたんだけど、ある時話し合いが上手くいかなくて喧嘩になっちゃったの。それでいろんな星の神様がどんどんと参加していって戦いは大きなものになったの」

なんか世界大戦の話聞いているみたいだ…。

「そんな時、新しい星が生まれて新しい神様が生まれたの。その神様が言ったのよ「なんでみんな喧嘩してるの?みんなが喧嘩をしているせいでみんなの星はボロボロだよ?」って。その言葉で争っていた神たちは自分の星の惨状を目の当たりにして反省するの。なんて馬鹿なことをしていたんだろうってね」

神はきっと王様のことで星は国のことなんだろう。争いを続けることが目的になっていて自分の国のことなど考えていなかった王たちをテーマにしたものなんだろうな。どの世界でも絵本ってテーマ性が強くていいな。

「エーシェはその本のどこが好きだったの?」

「そうね…きっとその生まれたばかりの神様が好きだったのよ。ちゃんと自分の思ったことが言えるそんな人になりたいなって思ったからじゃないかしら」

「結構言ってると思うけどな〜」

エーシェは僕の言葉を聞いて空から目線を落として火を見つめ始める。

「エル君と会ってからよ。もともと自分の思ってることを言えるようだったらこの村に居なかったでしょうからね」

はじまったぞ…ブラックエーシェさんだ。きっとこれ以上この話に突っ込んではいけない!

「え、エーシェ?あ、そうだ!他にはどんな絵本があったの?僕の家には絵本とかなかったから聞いてみたい」

「他の絵本?ええっと…そうね…あ、そうだこの依頼を受けるときに言っていたドラゴンの話があったわよね」

なんだっけ…?

「国に興味があったドラゴンの話よ」

そういえばそんなはなしも会ったようななかったような?

「この話はね、まずある山の中で訓練をしていた国の王子がドラゴンと出会うところから始まるの。ドラゴンを相手に勇敢に戦おうとした王子の姿に興味を持ったドラゴンは思ったの。なぜこの人間は勝てないとわかっているのに向かってくるのだろうかって。戦いながらどうしても気になったドラゴンは戦いをやめて王子に「どうしてお前はそんなに必死に戦おうとするんだ?」って聞くのよ」

「それで王子はなんて答えるの?」

よし、通常モードに戻ったな。

「王子は「私はこれから国を背負って立つものだ。守るべき民を背にして逃げられるわけが無いだろう」って答えたのよ。その真っ直ぐな目と言葉にドラゴンはその王子に惹かれ、王子の守りたい国というものに興味が出て、その国を守護する代わりに国というものを学ばせてほしいと言ってきたのよ。王子はその申し出を受け入れてその国はドラゴンに守られる国となったの」

その国に興味を持ったドラゴンは今回の依頼のターゲットである緑龍だって話だよな。本当に知的好奇心が旺盛なんだな。

「時は流れて王子は王様になったの。ドラゴンと戦ったときに一緒に居た側近はその後王とドラゴンとの間に入って話す交渉役になったの。その人もドラゴンからいろんなことを学んで世界で初めて魔法を使った賢者様になったと言われているわ」

その人があれか…あのめちゃくちゃ難しい構築式を考えたんだっけ?じゃあ、人類が自然と魔法を使えるようになったのではなく、魔法はドラゴンから学んだんだ。

「ちなみにそれまでの魔法は今みたいに魔力をなにかに変換するのではなく、武器にそのまま流して至って話。で、国はドラゴンに守られ、賢者様によって使える人が増えたその国は世界でも最強と言われるまでになったの。国は平和でどんどん繁栄していったの。でもその幸せも長くは続かなかったの」

その国はもうなくなっているって話だったかな。

「途中から大臣の仕事をおりて研究を続けていた賢者様と王様も年には勝てずに亡くなってしまうの。ドラゴンはその二人に興味を持っていたところもあったからちょっとずつその国に興味がなくなっていた頃に事件が起きたの。新しい王様は前の王が作った富と賢者様が作った魔法を使って守護をしていたドラゴンを倒そうとするの。その王は「もうこの国はお前に守ってもらう必要が無いほど豊かになった。お前はもう必要ない」と言って国とドラゴンの争いが始まるのよ」

おそらくその王は生まれたときから国が豊かでその力がどうしてあるのかがわからなかったんだろな。

「戦いは長く厳しいものだったの。ある時、ドラゴンは王と直接話すことができたのよ。その手前で王を守ろうとして倒れていった王の側近たちには目もくれず逃げようとする王を見て人間に対しての興味を失ったドラゴンはそのまま去って行ってしまうの。ドラゴンは王を試すために一人として側近を殺しては居なかったの。前の王と同じように立ち向かってくるのならまだ話は変わっていたのかもしれないわね」

ドラゴンは期待していたんだろうな人間というものに。どれだけ弱い存在でも強い存在に立ち向かおうとする不思議な生き物としての観察対象だったんだろう。だが、そうではない人間しか居なくなったその国に興味がなくなったのだろう。きっとドラゴンは寂しそうな背中をしながら前の王と賢者のことでも思い出しながら飛び去っていったのだろう。

「それで、その後は?」

「ドラゴンに対して立ち向かわなかった王の話はまたたく間に国中に広がり国の内側からの不信感と国外からの攻撃に耐えきれず滅んでしまったそうよ」

「そっかー。その時の王様も前の王様と同じくらい勇敢だったらその国は今も残っていたのかもしれないね」

「その国はなくなっちゃったんだけど、ドラゴンとの戦いになる前にそれを察した王の弟が国外に逃れていろんな国を旅をしながら勉強をしてエルフの国のお姫様をお嫁さんにもらって作ったのがこの国よ?」

んん?急に最後のほう情報量が多くないか?

「えっと?ということはこの国ができるルーツにもなった話ってこと?」

「そうらしいわ」

「あと、エルフの姫様って?」

「東の方にエルフ族という耳の長い魔力制御に優れた種族がいるのよ。その王の弟とそのエルフの国のお姫様が恋に落ちて駆け落ち同然で逃げた先がこの国の王都だったらしいのよ」

「さっきと言ってることが違うじゃねーか。お嫁にもらって作った国って言ってたろ」

まぁある意味ロマンチックなのかもしれないけれども。

「エルフの種族は規律が厳しいらしのよ。他の種族との結婚は難しいらしくてね。それでも諦められなかった二人は一緒に逃げたんだって。イイ話よね」

あ、はい。そうですね。

「それにしてもエーシェって王都のこと嫌ってる割にはすごく良く知ってるよね」

「…そうね、王都のことは確かに嫌いかもしれないけど、だからといって何も知らないで一方的に嫌うのは違うじゃない?それに嫌いなのは王都の一部分よ今の王都はお話の後半のようになっているから」

それって力に溺れていて、自分のことがかわいいと思っている人間しか居ないって言っているけど大丈夫なのかな?

「エーシェはエリーゼの村は好き?」

僕の言葉を聞いたエーシェは僕の方を向く。

「急にどうしたのよ」

「なんとなくだよ。それで?どうなの?」

エーシェは焚き火を見つめ考え始める。

「そうね。好きなんじゃないかしら」

「じゃあ、大丈夫だね。僕らはこの話に出てきた国のようにはならないよ。だってあの村には最強の組合長がいるんだから力に溺れるなんてことはないなって思ってね」

「ふふっ。それもそうね」

さてと…。

「エーシェ…休息は十分に取れたって言っていたよね?」

「ええ、大丈夫よ」

なら…。

「じゃあ、そろそろ近くで立ち聞きしている趣味の悪いやつとお話をすることにしましょうか」

「え?なんのこと?」

僕らが話している途中からおそらくやつはここにやってきて僕らが話を聞いていやがった。

戦う意志はない…ということなのかはわからないが、ずっと立ち聞きされているのはいい気はしない。

「えっと?こんにちは!って挨拶でもすればいいのかな?緑龍さん」

「え?緑りゅ…ほんとだ…」

僕らのいた野営拠点の近くにまで寄ってきていたそいつは姿を表した。

「何やら楽しそうな話と面白い魔法を使う者が居たのでな。興味が湧いたのでつい…な」

さて、ミッションスタートです!


【直接依頼来る!⑤〜ええっと?こんにちは!〜】最後までお読みいただきありがとうございました。

今回は会話が中心になったお話でしたがどうでしたでしょうか?完全にフラグを立てるだけ立ててって感じになってしまいましたが、どこでどう使ったものでしょうかね。楽しみに待っていてくださいね。

さて、せっかく時間を駆けて考えた2つの絵本のお話でしたので幕間として投稿してみようかと思います。ぜひお時間があるようならそちらも読んでいただければと思います。

【次回予告】

エーシェ「エル君何であれがいるって気がついたの?」

エルドナス「えっと…企業秘密?」

エーシェ「何で疑問形なのかしら?」

作「えっと…二人共目の前にドラゴンがいる状況で何でそんなに冷静に話してられんの?」

エーシェ「だって…ねぇ?」

エルドナス「そーだねぇー」

作「え、お前らも裏切るの?何でここネタバレの場所みたいなことになってるの?もういいや…次回【直接依頼来る!⑥〜これが僕だよ〜】お楽しみに!」

■■■「あ、逃げた」

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