直接依頼来る!④〜思いつきだけでやっちゃだめですね〜
エルドナスとエーシェの魔法強化ができ、必要なものも組合が用意してくれた。
さぁ準備は整った!行くぜドラゴン待ってろよ!
「じゃ、行ってきます!やばかったら逃げ帰って来るので!」
冒険者組合から支給品一式をもらいついに僕とエーシェは依頼の目的地に出発するのだった。
ちなみに僕はいつもの戦闘スタイルのため背中には弓と盾を背負っているため、支給品のを入れた荷物はすべてエーシェさんに背負ってもらっています。
なんかすごく申し訳ないです…。
「エーシェ…そういえば山の向こうまで結構な距離があるんだけどどうする?」
「どうするって何よ?」
「エーシェさんの足腰に負担をかけないためにも高速移動をするというのはいかがですかね?」
「却下で」
何だ残念。それならエーシェの負担と僕の後ろめたさをなくす一石二鳥の手段だと思ったんだけどなぁ。
村の北にある森で久しぶりにスライムとエンカウントしつつ、さらには降りかかる火弾を躱しながら進むのであった。
「僕もこの数ヶ月でなんだかんだ強くなれた気がするよ」
「そうね。前までは当たりそうになって【魔法障壁】使ってたのに全部避けちゃってるもんね」
誰かさんはほんとに躊躇なく魔法を飛ばしてくれるよね。それも修行の一環と考えてますよ。
「まずはこの山を越えないとだね」
「エル君。山登るときだけ荷物持ってくれない?なにか出てきたら全部渡しが魔法でなんとかするから」
「わかった。じゃああれだ。夕暮れになったら先に休憩に入ってね」
「なんで?エルくんだって休憩しないと」
「そうなんだけどさ、流石に休憩は交互にしないと見張りが居なくなっちゃうからね。それに魔力が回復しないとエーシェもドラゴンと肉弾戦になるんだけど…」
「ふふふ…面白いこと言うじゃないエル君。そんなことをするくらいなら逃げるわ」
おーう。びっくりするくらいあっさりと僕のこと見捨ててくれるのね…。まぁそれでいいんだけどさ。
「さ、山に入るから荷物ちょうだい」
「はい。はー肩こった」
普段肩こらなそうですもんねー。理由はまぁ…ねぇ…ほら…あえては言わないでおくけれど…ね。
「エル君。言いたいことがあるならちゃんと言っておいたほうがいいわよ?ほら言いなさいって」
「…すいませんでした」
「へー?謝らなきゃいけないようなこと考えてたんだ…。へー」
あの、そのたまにやる目の光消すの何なんすか?それ怖いんだよね…あと不思議なんだけどどうやってやってんのそれ?
「えっと…はい…すいませんでした。これ以上は聞かんといてください」
「そうね。ちゃんと何で謝っているかは知らないけどちゃんと謝ってくれたもんね許しましょうか」
最近僕完全にエーシェさんの尻に敷かれているように思えるんですけど…気のせいですよね?気のせいってことにしましょう。そうしましょう。
以前に山に来たのは確か飛竜の討伐依頼の時以来ですか…。
「そういえば今日は飛竜の姿が見えないね」
「自分たちの上位種が近くに住み着いたとなれば逃げるでしょうね」
それもそうか。完全に縄張りを荒らされていることになるけど生きることのほうが重要だもんね。
「飛竜がいる想定で移動していたからちょっと早めにつけるかもしれないね」
「そんなことまで考えてたの?そういう準備だけはちゃんとできるのね」
ひどいね君。
森のさらに北側にある山の標高はそれほど高いわけではないので半日もかからずに登って降りることができる。でも登頂ルートが整備されているわけではないので、登るのはちょっと骨が折れる。
ふぃ〜さすがに疲れたぜぇ〜。
「エーシェさんや。そろそろ一回休憩でもしませんかね?」
「頂上まで行ったら一回休憩にしましょう」
頂上についた途端に遠足用の敷物みたいのを敷いて準備をする。
「エーシェさんお水おねがーい。僕も使えたらいいんだけどね」
「適正ってものがあるのだからしょうがないわよ」
適正ってたしか個人の魔力の質で決まるって聞いたことあるけど、変化とかあるのかなぁ。
エーシェには火と水の魔法を併用することでできるお湯を出してもらい二人でお茶をすする。
「おちつくねー」
「エル君おじさんみたいなこと言ってるわね」
中身はもうすぐ40年近くを経験することになるのでしょうがないっすよ…。
「敵が近くに居ないから安心できているってのはあるよね」
「そうね。山の頂上だから見渡せるけど森の中では無理ね」
「…索敵魔法ってありかな?」
「何よ急に?」
そういえばこ世界の魔法の書物を呼んでいた中で一度も見かけたことがなかったような気がする。
「そういえば周囲を探索するような魔法って聞いたこと無いなって思って」
「そんな魔法を考える人が居なかったからじゃないかしら?」
「え、だってあったら絶対便利だよね?森の中でも敵を警戒しながら神経をすり減らす事がなくなるなんて理想じゃん」
「それはそうだけど…」
呆れてその後の言葉が出てきませんって感じの顔ですね。ひどいよねここ最近僕の扱いが日々悪くなって無いですかね?
「じゃ、山折りながらどうやるか考えるねー」
「もう勝手にどうぞー。降りるときも荷物お願いね。森では私が持つから」
「りょうかーい。よし!ずっと休んでても遅くなっちゃうからそろそろ行こうか」
「はーい」
山頂で広げた休憩用の敷物を片付けながらこれから行く森を見渡す。
ん…?
んん…?
なーんか向こうで動いている緑色の何かが見えるんだけど…まさかね…。でもいちおう確認!
「エーシェさんや。あの遠くに見える木ではない薄緑色の動いているやつって…もしかして…」
「え?どこ?」
「ほら向こうの…」
エーシェの後ろにたち肩の上から指をさす。
「どうしてこんなに近づく必要があるのかしら?」
「あ、ごめん。言葉でうまく説明ができなそうだったから」
ばっと距離を取る。一瞬殺気を感じたような…気のせいだな。うんそうだね。気のせいだ。
「私の後ろに立つな的な?」
「急に近づかれたからびっくりしただけよ。そうねあれね」
「やっぱりかぁ…」
この距離からでも見えるのか…。エドガーさんは体長4メートルとかなんとか言ってたけど、もっとでかくないかあれ。
「でかくね?4メートルとか嘘じゃん」
「あぁ…エドガーさんもメートルで聞かれた時困ってたでしょ?普段使わないから」
「そういえばこの国だと長さの単位って何使ってるんだっけ?」
うちの家族だと長さを正確に測るなんてことはしなかったのでそもそも話題に上がることすらなかったんだよなぁ…。
「ヤードとかマイルよ?」
「あれ不便じゃない?不便だよね?何だよ1ヤードの長さ約91センチって!そしたら僕の身長の表し方すごくめんどくさいことになるじゃん!5フィートと8.11インチって!173センチのほうがわかりやすいじゃん!」
「私にそんな事言われても困るわよ…。私にはそういうのを決める権利ないんだから」
そうれはそうなんですけど…。慣れなんですかね?
「私は困ったなぁってことなかったんだけどね」
「あ、そうだった。で、あれでかくない?」
「そうね。文献で読んでいたよりも大きいみたいね…」
エーシェさん冷や汗流してますけど、何で急にそんな深刻な顔しているの?
「大きいとやばいの?」
「ドラゴンの大きさは成獣になるまでに一気に大きくなるのだけど、それ以降も徐々に年を重ねるごとに大きくなっていくのよ。つまり大きければ大きいほど年を重ねてることになるよの」
ということは大きければ大きいほどおじいちゃんってことだよね?ヨボヨボだったら楽なんじゃない?
「ちなみにドラゴンの正確な寿命はわかっていないわ。数百年生きるのは当たり前で、数千年数万年生きるものもいるのではないかと言われているわよ」
「ということは…おじいちゃんだから倒しやすい可能性があるって考えは?」
「その考えは捨てたほうがいいでしょうね」
まじかー。だめかー。
「ちなみに年齢を重ねたほど強いなんてことは?」
「緑龍は知識を求める龍よ。つまり生きている期間が長ければ長いほどその知識を蓄えている量が多い可能性があるわ。知っていることが多ければそれだけ強くなるとも言われているわ」
「知は力なり…か。ふぅ。困った」
「そうね。生きて変えることだけ考えたほうがいいかもしれないわね」
「そだねー。でも知識をたくさん蓄えているってことは案外話し合いで解決できたりするかもしれないね」
「ほんとに脳天気なんだから…」
エーシェにまた呆れられた気がする。
「でも、私たちはあれと向き合わなきゃいけないんだから…行くわよ」
「はいさー!」
荷物を持って下山を始める。
「下についたらあれかな野営の準備を始めないとだねー」
「そのへんは私苦手だからよろしくね」
「いや…僕も経験ないんですけど…やるけどさ」
下山のときも敵が出てくる様子はなく、予定よりも早く下山することができた。
「ところで、野営ってどういうところでやればいいのかな?」
「知らないわね」
「ですよねー」
よくわかんないけど、いい感じの場所を探して立てればいいか。
「火を起こしたりするだろうから水場が近くにあるような場所を探したほうがいいかもね」
「さっき上から見たときに池があったけど、そっちのほう行ってみる?」
「よし、そうしよっか」
ひとまず目的地は決まったのでそこに向かうことに。
「こっちの森だとスライム居ないといいんだけどなぁ」
「それは私も祈っているわ」
まぁ、こういう祈りって届かないものなんですよね。ええ。
「【火弾】」
ごぉっという音ともに火の玉が僕の顔の数十センチ右を通り抜ける。
じゅぅぅぅっというスライムが若干蒸発しているのかよくわかんないけど溶けていくようにそれまで保っていた形を失う。
「こっちのスライムは少し色が違うのね」
「他の奴らも色が違うのかもね。そういえば前の調査依頼のときの動物たちって色が違ったよね」
「もしかしたらあれはドラゴンが来たことによって住処を追われたこっちの森にいた子たちが山を越えてきただけなのかもしれないわね」
「やっぱりドラゴンって脅威だよねー。エーシェの唐突な火弾もそうなんだけどね」
「それとこれは別の話よ」
そうですね。自己防衛のためですもんね。大事なことですよね。
「ところでエーシェさん。さっき言ってた池ってどっち?」
「さっき見た感じだと右側の方に見えたわよ」
「じゃ、右斜前方向へ行きましょー!」
森を進むこと数十分。森が開けて池が出現する。
「向こうの森にも池があるけど、池に居たのって確か…」
「カエルね。処理はよろしく」
「わかってるよー。どうせそんなことだろうと思ったから。まずあれだめんどくさいことから終わらせよう。野営道具を組み立てちゃいましょうか」
「じゃ、カエル以外を警戒しつつ近くで巻になる枝探してくるわね」
「カエルも警戒してほしいなぁ…」
テントのような野営道具は一人で組み立てる用に作られたものだったらしく意外と簡単に組み立てることができた。
「あら、早いのね」
「意外と簡単にできたんだよねー。初めてだったけどうまくいくもんだねー」
「私が入っているときに崩れたら許さないからね」
ほらまたそうやって目の光消すじゃん。怖いよー?
さて、いい感じに枝を組み立てて火の魔法で着火をして焚き火を作る。魔法って便利っすよね。
「あ、そうだ。さっき言ってた探索魔法やってみようか」
「え、あれ本気だったの?」
本気だよー?だって楽をするために努力ってするんだよ?何を当たり前のことを…。
探索魔法のイメージはできてるので跡は実践をするだけだったんだよねー。
「じゃ、やってみるねー」
「こういうときのエル君って思いついたことをすぐにやりたがるわよね」
「だって考えておいてお蔵入りにしちゃうのもったいないじゃん」
「それはそうだけど…」
じゃあ、やっちゃいますか!
【探索】
自分を中心に魔力を薄く広げて円柱形を形作るようにイメージをする。高さは4メートルくらいで半径はそうだな…まずは10メートルくらいかな。
目を閉じて魔力を広げることに集中する。目を閉じているのに周りのどこに何かがあるというのはわかった気がする。ただ…これだとまだ精度が低くて障害物があるのかどうかまでしかわからないな。
もう少し広げる魔力の濃度を上げてみる。魔力が先程より濃く広がったことにより先程よりもどこに何があるのかがわかるようになった。近くに立っているのがエーシェで園となりにカバンが置いてあってテントがあって池があってとわかる。
「うん。こんな感じかな」
「言ったことはほんとにできちゃうんだから呆れちゃうわよね」
「でも、まだ全然範囲が狭いから使えないよ…。もっと一気に広げてみるね」
「え、ちょっとエル君?」
範囲は10メートルだったものを30メートルに変更。ここから森に生えている木々まで…。
「うあ”ぁぁぁ!」
「エル君!?ちょっとエル君ってば!」
一気に頭に流れ込んできた情報量に頭の処理が追いつかずそれは頭痛となって襲いかかってきた。
解除をしたことでなんとか頭痛は治まってきたが、これはお蔵入りですね…。
「急に頭を押さえて倒れ込んじゃうからびっくりしたわよ。大丈夫なの?」
「頭の中に情報が一気に入ってきて頭が痛くなっちゃったんだと思う。今は解除したからなんとか…」
「あんまり思いつきでやるのも良くないってことね」
「はーい。反省します」
「今は落ち着いたからエーシェは先に休憩してて」
「大丈夫…ならいいけど。エルくんがそう言うならそうさせてもらうわね」
エーシェを先に休ませ火の番をする。さっきの探索は10メートルまでは大丈夫だったからそれを使って警戒することにしようか…。
小規模版の探索を発動しながら時間を潰す。さて、暇なときって何すればいいかよくわからないよなぁ。
思いつきで何かをしてしまうのはどうにか直していきたいとは思っているけど、思いつきでしか使えるものって思いつかないのもなんとかしたいところですねー。
この僕の思いつきでやった広範囲探索魔法が意外な形で事態を早めることになるとは思ってもいなかった。
やっぱり思いつきで行動するのは良くないなと思いました。
エルドナス今日の反省…終了。
【直接依頼来る!④〜思いつきだけでやっちゃだめですね〜】最後までお読みいただきありがとうございました。
今までずっと思いつきでいろんな事やってたエルくんですがついに反省する時が…。でも彼きっと反省って口で言ってるだけです。あと2話もすれば忘れてると思います。きっとそうです。それでエーシェが頭を抱えることになるんだと思います。がんばれエーシェ…。
さて、すっごくわかりやすいフラグもどきを立てて終了した今回です。まさかまさかそんな簡単にドラゴンが来たりなんてしないです…よね?そんな簡単な流れ…。
さぁ、次回の構成頑張って考えるんだ僕…。
【次回予告】
エルドナス「うぅ…やっぱりまだ頭痛いかも」
エーシェ「ぶっつけ本番で試すからよ」
エルドナス「でも、他に方法ないからなぁ…」
エーシェ「はぁ…」
作「エーシェさんそんなに呆れないであげて?きっと次回エル君がとっても活躍するはずだから」
エーシェ「そうなの?じゃあ、期待しておくわね。次回【直接依頼来る!⑤〜ええっと?こんにちは!〜】だそうです。よろしくおねがいします」




