表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/97

直接依頼来る!①〜エル君家を買う〜

武術祭から少し時間が経ちました。

一つ大きな山を超えると日常が平穏に過ぎていくように感じますよね。

でも、結局また大きや山がやってきそうなんですけど…エル君ファイト!

武術祭から一週間ほどの時間がたった。

後夜祭でエリーから提示された依頼は北の森に生息している新種の魔物の調査だった。

これまで一つ山を越えた先の森に生息しているはずの生き物が数種類こちらがわの森でも目撃情報が上がっているため調査をしてほしいというものだった。

数日間の間森に移動をして調査をしてみた結果もともとは居なかった色違いの熊と鹿を発見また討伐し持ち帰ることができた。

調査の依頼を終えた頃に大会の賞金が入金されており、確認すると同時にエーシェにいつもの甘味処に連れて行かれた。

その日はなんとなく気分が乗っていたので、二人でケーキセットを頼むことにした。

「せっかくだし、二人で【極】頼んでみようよ」

「そうやってすぐに散財するんだから。頼みましょう」

極みのケーキを食べられると合ってエーシェも乗り気だった。

その後の会計を見てビビったのは内緒です。

あらかた依頼も終えることができたので今後の目標について二人で相談した結果…。

「エドガーさん!僕らでも家って買えますか?」

僕らは今日冒険者組合に来ていた。

「お前はいつも唐突なんだよな…家がほしいってどうしたんだよ急に」

頭をかきながらも僕らの話を聞いてくれる優しいエドガーさん。そういうところ好きっすよ。

「二人で話してこの村を本格的に拠点として活動していこうという話にまとまったんです。なのでいつまでも宿屋ぐらしなのはどうなのかということでいっそのこと家を買ってしまうのはどうだろうって」

僕らの話を聞いていたエリーさんが横からひょこっと顔を出してくる。

「やっとここを拠点に活動してくれる冒険者が出てくれましたよお父さん!」

「そうだな!お前ら最大限の協力をしてやるからやっぱりやめますとか言うんじゃねーぞ!」

もともとこの村は平和そのものだが、北側に森がありそこに大型の生き物も多く生息しているため依頼に困ることは無い。それにきっとこのまま僕らが出ていっても今後また新しい冒険者が来るのはいつになるのかわからないので、後輩ができるまではここを拠点に使用という話に落ち着いたのだ。

「ち・な・み・にエーシェさん」

ちょいちょいとエーシェがエリーさんに手招きされて呼び出される。

何やらこそこそと話しているかと思ったら…

「またエリーはそんな事ばっかり言って!二人で一緒に活動しているから一緒に居たほうが楽って話になったのよ!」

エーシェがまた怒ってる。何言ったんだあの人…。

「それで、買うってことは借りるじゃなくて購入ってことでいいんだな?」

「そうですね。この前の賞金もあることですしいっそのこと買ってしまおうってなったんですよ」

「高いぞ?」

「え…いくらくらいっすか」

「そんなんピンきりに決まってんだろ。予算を伝えてそれで収まるようにとでも言っておけば大丈夫だろう。業者はこの先にいるから俺からの紹介って言ってくれればちょっと安くしてくれるはずだ」

「わかりました!ありがとうございます!」

「で、挙式はいつだ?」

ん?んん?んんん?

「なんのことですか?」

「そりゃおめー男女二人で一緒のところに住むってことはそういうことなんじゃねーのか?」

「違いますよ?」

「本気かよ。今のうちにおめー囲っとけ。あいつはちゃんとしてるからオメーにぴったりだからよ」

エーシェがさっき怒ってたのはこれか…。親子で思考回路が一緒なのか…。

「エーシェ行くよー。ここにいると変な話ばかりされそうだし」

「変な話って…」

おじさんがしょぼくれるなよ。もともとガタイがいいんだからちっちゃくなってるつもりかもしれないけど十分でかいから!

冒険者組合を後にして紹介された業者の店を目指す。

「エーシェさっきのエリーの話って?」

「なんでも無いわ」

「多分同じ話をエドガーさんからされたよ」

すっごいスピードでこっちを向いてきたエーシェの顔はあれですねすごい勢いでこっちを向いたから遠心力で顔の表面に血流が集まって赤くなっていたんですよね。そうですよね。

「なんて言われたか一緒に言ってみようか…せーの」

「「挙式はいつ?」」

「やっぱりかー」

「ほんとに何を考えているんでしょうねあの親子は」

「「ないわー」」

最近本当に言葉がかぶるようになってきたというのは実際のところある。

まぁ、一ヶ月のブランクがあるとはいえ数ヶ月一緒にいることのほうが多かったから当然といえば当然なのだが。

「いいところが見つかるといいね」

「そうね。あ、それと…」

移動しながらエーシェと予算についての話をすることになった。どうせ僕のことだから今持っている金額のほぼ全額を提示しようとしていたのがバレていたらしい。高くとも200万くらいの中古のところにするようにと釘を刺された。

確かに…熊の依頼を受けて熊をほぼ傷つけずに持って帰ってきたとしても10万もいかないと考えると200万って大金だもんな。

「いらっしゃいませ~」

業者の店につくなり元気のいい挨拶が飛んできた。どこの世界も挨拶って大事だよな。うんうん。

「すみません。エドガーさんからの紹介で家を探しているんですけど」

「あら?よく見たらこの前の武術祭の優勝者のエルドナスさんじゃないですか!エドガーさんの紹介とかじゃなくてももうこの村にあなたのことを知らない人は居ないと思いますよ」

え、僕そんな有名人になってたの?知らなかった…。なんだろうこのむず痒い感じ。

「本日は何をお探しですか?賃貸ですか?購入ですか?」

すっごいいい笑顔…昔仕事していたときこんなまぶしい笑顔できてなかったと思うよ僕。

「こ、購入で…」

立地や予算の要望を伝えて、職員の人が資料を取りに行くときにやっと一息がつけた。

「こういうのって息が詰まるって言うのかな」

「なれないことするとだめね。私も疲れてきたわ」

普段は依頼をこなして報告して宿に帰るだけの生活をここ数ヶ月やっててそれが普通になったからエドガーさん親子以外と話すのって実は疲れるんだな。

「おまたせしましたー!ご指定の条件に合う物件が2件ありましたー!いかがされますか?」

「中を見てから決めたいんですけど、大丈夫ですか?」

受付のお姉さんとエーシェからの視線が刺さる。え?何?僕今何か変なこと言った?

「め、珍しいご注文なので少々お待ちいただいてもいいでしょうか?」

ぴゅーっとお姉さんは裏に入っていってしまった。珍しい注文なのか…。

「普通は中を見て決めないの?」

「私も初めてだからよくわからないけど、そのようね。それよりもなんで中を見ようと思ったの?資料に書いてあるじゃない」

エーシェが指をさす方にはお姉さんが置いていった物件の書類が置いてある。確かにこれで間取りとかはわかる。

だが、書面上の話と実際に見てみるのでは違うのだ。前世で何度か引っ越しを経験してきた僕がもう一度言おう…書面上の話と実際に見てみるのでは違うのだ。

あと、物件内の写真で判断するのも違ったりするから注意が必要だぞ☆

「実際に見てみないと隣の家との距離とか実際の使い勝手はわからないだろ?だから書面だけじゃなくて実際に見るのも大事かなって」

「エル君って時々すごく細かいわよね。そんなこと思いつきもしなかったわよ」

これがこの世界の常識なのかぁ…。別に見るだけで減るものは無いと思うんだけどなぁ。

「おまたせしましたー。許可が出ましたのでついてきていただいても大丈夫ですか?」

「お願いしまーす」

一軒目の物件は…悪くはなかった。

扉を開けると開けたリビングがあり、奥にいくつかの扉があった。その先には別の部屋やトイレ風呂などがあった。うん。平屋の割にいいと思うよ。うん。

「次、お願いします」

「わかりましたー!」

次の家に移動をしている途中でエーシェが小さく聞いてきた。

「エル君何か気に入らない点があったの?私はいい感じだと思ったんだけど」

「うーん。村の中心部からけっこう外れちゃってるのとかいろいろとあるんだけど…」

「だけど?」

「さっき見落としていたんだ…あそこトイレと風呂が一緒だった…。あれは生活する上で結構困る」

「それ…書面でもわかることじゃない?」

「でも、あの距離は予想してなかっただろ?」

「確かに、ちょっと書いてある距離より遠いように感じたわね」

「こういうのって分速80メートルを基準にして距離を測っているらしいから初めてだと遠く感じるんだよね。遠いなと感じたんだったら実際僕らはいつも外から戻ってきて冒険者組合に寄ってから家に帰るんだからその距離が煩わしくなっちゃうと思うんだよね」

あれ?説明している途中でエーシェとの距離を感じ始めたぞ?

「ごめんエーシェ。どうしたの?」

「エル君がいつになく真面目でびっくりしただけよ。あと距離の基準とかよく知ってるわね」

「ははは…聞かんでくれ」

何度か引っ越しをしていた頃にこの距離の基準ってどこから来とんのや!って思って調べたことがあったんだよね。その時のことを覚えていたんだけど…あれ、そもそもこの世界の長さの単位ってメートルであってるのか?

「エーシェ…身長いくつだっけ?」

肘が飛んできた。割とちょうどよくみぞおちにクリーンヒットしやがる…。

「何よ急に!」

「えっと…さっき話した距離の基準とかが伝わらなかったのかなと思って」

「メートルでしょ?知ってるわよ。でもこの国では使っていない珍しい単位だって聞いたけどなんで知ってるんだろうって思ったくらいよ」

今までの生活で気にしたことはなかったけど、メートル法がこっちの世界にもあるんだ。知らなかった。

「で、エーシェいくつなの?」

「18歳よ」

「いやいや、話の流れ的に違うじゃん。はいごめんなさい杖を構えるのは違うと思うんですけど!?」

杖を構えてもう少しで詠唱を始めそうな所まで来ているの…目がマジなんですけど!?ねえここで魔法なんて使ったら大火事ですよ!?

「お二人さまー?着きましたけど?」

「あ、ハイ。すいません」

建物の外観はさっき見た家よりも年季が入っているように感じた。木造二階建てで壁には土が使われていた。そこに蔦が伝っていて雰囲気としてもいい感じ。

中に入ってみると一階は広いリビングとなっていて左側にキッチンがあった。右奥の階段手前にあるのがトイレでその手前が風呂場となっていた。さっきより作りが僕好みですね。

右奥の階段をのぼると二階には廊下を挟んで4つの部屋があった。一つ一つの部屋は特に狭いとも思わなかった。あと!最後に見た裏側の庭がいい感じだった!もうこれ決定じゃん!

「ここで!」

「判断早いわね」

「ありがとうございまーす!では、契約書の方に署名をお願いしまーす!」

めんどくさい契約書を何枚か記入してついに僕達は家を手に入れたのであった。

「ありがとうございましたー!何かありましたらお店の方にお願いしまーす」

お姉さんは契約が終わると書類を持ってすぐに居なくなってしまった。

え、もうここ使っていいの?そのへんザルすぎん!?

「ま、とりあえず目標達成ということですかね?家手に入ったし」

「そうね。でも…このままじゃまだ暮らせないわね」

そうなんですよねー。家具は一つも無いからね!このままだと床に寝ることになりますもんね!!

「今日はもう疲れちゃったから宿に帰って休もうか…」

「そうね。まだここでは寝れないものね」

いつもと違うことをして疲れてしまった二人はそのまま宿屋へ直行。

家を手に入れた最初の日も宿屋に泊まるという奇妙なこの二人。まぁ今までずっとお世話になっていた場所ですからね。

それから一週間は割とすぐに過ぎていった。

あれやこれやと必要なものを買い集め家に運んでいく。そうしているうちに日が暮れてを繰り返していた。

そんなある日、住所も教えてないのにエドガーさんが急にやってきた。

「エドガーさん!?なんでうち知ってるんですか?」

「今お茶入れるのでちょっと待っててください!」

「お前らにあの業者紹介したのは俺なんだから俺が住所知ってても当然よな」

なんて横暴な人なんだろうか…。

エーシェがお茶を入れてくれてやっと僕も落ち着くことができたので、エドガーさんが突撃してきた理由を聞くことに。

「エドガーさん今日はどうしたんですか?」

「お前らがちゃんとやってるのか心配になったのと…」

ああ、優しいなぁなんて思ってみたり。

「お前ら最近依頼受けてないだろ?組合の方に来てくれないから話があってもできないんだよ」

「「あ…」」

確かにここ数日準備やらで一切依頼を受けていなかったことを思い出す。

「すみません。ちょっと立て込んでて…」

「いや、それはいいんだが、お前らに依頼がある」

ほらきた…絶対変なやつだって。前回もこうやって話してたら武術祭出ることになったんじゃん。

「どんな依頼なんですか?」

エーシェも真面目ね。僕今喉のところまで「やだやだやだやだ〜」ってでかけてるよ?

「今回は俺からお前らへの直接依頼で山脈を超えたところに最近出没しているドラゴンの討伐もしくは無力化だ」

…ん?

スーハー…ん?

「ドラゴン?」

エーシェの方を見る。

「ドラゴンですって」

エーシェも目をパチクリさせてる。二人でもう一回聞いてみる。

「「ドラゴン!?」」

「そうだ。ドラゴンだ」

拝啓

父さん母さんお元気ですか。

そういえば手紙を書くのは久しぶりな気がしますね。

近況報告としては、武術祭とかいうお祭りに出場して優勝することができました。

あと、エーシェと家を買ったのでここ最近は忙しい日々を過ごしています。

最後に、この手紙が最後にならないことを祈っているのですが…僕はどうやらドラゴンと対決することになりそうです。

お二人はぜひドラゴンなんかとは関わらずに元気で居ていただきたいと思っています。

エルドナス

【直接依頼来る!①〜エル君家を買う〜】最後までお読みいただきありがとうございました。

きっとこんな簡単に家って決めないですよね(笑)

僕は賃貸を選ぶときこんな感じなんですけど、これ購入ですからね。しかも一軒家。

くぅ〜羨ましいぜ!まぁ、物語なんでね。エルくんには今のうちにいい思いをしてもらわないと…ね。

さてさて第二部第一話ということになったのですが、今回は日常回という立ち位置です。ドラゴンが出てくるまでもう少し日常回が続きますがそろそろエル君が転生者ってエーシェが感づきそうですね。

【次回予告】

エーシェ「ドラゴンですって」

エルドナス「ドラゴンだってね。どーするよ。新技考えなきゃ」

エーシェ「どうしてそうなるのかしら?」

作「また変なこと思いつきでやるんでしょどーせ」

エルドナス「3.14159265359…」

■■■「わー!エル君が壊れた!?」

作「あ、お前また出てきたな?エル君が壊れてるのはもともとだから安心しなさい」

エーシェ「え、えーっと?次回【直接依頼来る!②〜昔取ったなんちゃらって言うよね〜】お楽しみに!」

三人?「「「締めちゃった!?」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ