旅立ち!目指せ冒険者!②~迷ってるときって同じ道通るよね~
辺境の地で生まれ成人の儀を終えた少年はエリーゼの村に到着した。村をちょっと出歩いただけなのに女の子に会うのは主人公補正ということで許してください。そして、どっちかがヒロイン予定です。あと、作者はロリコンではありません。
半日重い荷物を抱えて歩いてくるのはさすがに疲れてしまった…。
転生してから初めての長距離移動をしてみたが精神的な疲れが思ったよりも溜まったいるな。ひっさびさの感覚で忘れてたけど肉体的な疲れよりも精神的な疲れのほうがしんどい。
さすがに今日は冒険者の登録するのあんまり気が乗らなぁ…。精神的な疲れを回復させる方法は一つ!ボケーと過ごしてみることにしましょう!ビバ!スローライフ!(え?ビバって古いの?よくわかんないで使ってました)
ぐぅぅぅぅ~とお腹の虫さんは絶好調のようですね。落ち着いたらお腹が減っていることを思い出したようです。
8Gで休むことができる宿屋ということで、さすがにご飯まではついていないのでご飯関連は外食をすることになる。
と、いうことで宿屋の店主に聞いてみることにしましょう。手持ちは残り1000Gもないと考えるとあんまり無駄遣いはできない。
「あの、主人。この近くで安い!早い!うまい!的なご飯が食べれるところってありますか?」
「なんじゃそりゃ?そうだなぁ。王都ではやりの飯屋がこっちにもできたって聞いたな。安いって噂だぞ」
「そうなんですか。ありがとうございます!探してみますね」
宿屋を出て町の散策と一緒にさっき教えてもらった店ってのを探してみよう。
村に入ってまっすぐ伸びるのが中央通りで、そこからすぐに右に入ると宿屋通りになっている。この村を訪れる人の大半は冒険者のため宿屋業というのも盛んらしい。手前の店はきれいな外装でおくに行けば行けばよく言えば歴史を感じるものに変わってくる。
僕が今宿泊している宿は宿屋通りの一番奥の店だ。中央通りを挟んで向かいの通りが通称食べ物通り。名前の通り飲食店が立ち並んでいる通りでだが、今回のお店は王都からのチェーン店的なやつらしいからおそらくこの村の中心部にあるという噴水のあたりにあるのだろう…が!
「最終的にそこに入ればいいから別に他を見てからでも遅くないよね!」
まずは食べ物通りに行ってみましょうか。初めての村巡りです!
宿屋の立ち並ぶ通りを抜けて食べ物通りに歩いてみる。左右に立ち並ぶ飲食店からいい匂いが漂ってくる。あっちからは肉を焼いたにおいでこっちからは香辛料の効いたツンとした香りがする。
やっぱりここに来るべきではなかったのかもしれない。お腹の虫さんの調子は絶好調だ。もうこの辺で済ませちゃってもいいんじゃないかな?空腹は最高のスパイスって言いますよねー。たぶん今食べれば何でもおいしいんじゃないかな!そうだよね!たぶんそうだよね!
「おにーさーん!ご飯食べても行かない?うちのごはんおいしいよー!」
その声の方を向くとちっちゃな女の子が居た。あれ、お兄さんなんて呼ばれたの何年ぶりだろう?
「安い?」
「ん-?普通かな?」
「正直だから行くね!」
「やったー!」
可愛らしく両手をあげて喜んでくれる幼女。癒されるぅ…。選んで正解かもしれない。見た目は10歳に満たないくらいだろうか。ちょっとたれ眼なのがまたそのかわいらしさを押し上げていた。あ、言っておきますけど僕はそういう趣味ではないですからね?違いますからね。
幼いからというのはあるが、こういう時に嘘をつかないのって大事だよね!生前は正直すぎるって仕事で怒られたこともあったなー客商売で誠実なのは大事だけど、それがいい時もあれば悪い時もあるから使い分けろと…使い分けって便利な言葉だよね。
女の子についていくと食べ物通りの奥の方の店に連れていかれた。この村は基本的に奥に行けば安くなるっぽいからお値段的には安心してもいいのかもしれないなー。
「ついたよお兄ちゃん!」
素晴らしい外観ですねー。絶対に一人では入らないであろう雰囲気があるお店ですねー。常連客がたくさんいそうなお店ですね。
「おかーさーん!お客さんだよー!」
「ターシャ!あんたまた外に行っていたのかい?危ないって言ったろ?」
「ごめんなさい…。でも、お兄さんいい人そうだったから!」
「いい人そうって言っても悪い人もいるんだから気をつけなさいっていつも言ってるでしょ?」
「はーい」
「お兄さんは…悪い人じゃないはずだよ。たぶん」
「悪いね兄ちゃん。そんな自信なさそうに悪い人じゃないって言ってる奴は悪いやつじゃないから大丈夫だね」
どんな判断基準なんだろうか。もしかしてこれってあれですか気に入らないやつは飯も出さない的な奴ですかね。でも、OKってことでいいんでしょうか。これでごはんにはありつけるんでしょうかね?
「テキトーな場所に座ってくれていいよ。この時間は客が少ないからすぐ出せると思うよ」
カウンターに座ってメニューを見てみると居酒屋みたいなメニューが多い。卵焼きやあらあげとかご飯や酒が進みそうなメニューが多いな。
「おにーさん何にしますか?」
「じゃあ、ターシャちゃんのおすすめでお願いしようかな」
「えっと、じゃあオムライスとかどう?」
「お!じゃあそれでお願い」
「はーい。わかりましたー!少々お待ちくださーい!」
テトテトと厨房の方へ走っていく。実家の方では周りに家がなかったから自分より下の世代の子供とかかわることなんてなかったからこっちに来てからはかなり新鮮な感じだ。精神の方は30オーバーなのでほほえましいなーくらいの感想しか出てこないのが年取ったもんだなーと思っちゃうけど。
厨房の奥からは調理の音が聞こえてくる。久々にこういうにぎやかな感じの音を聞いたな。いいなー。前世はよくお世話になっていた熱めな中華なお店の厨房からの音に似ていて懐かしい。
「ほいよお待ち。特製オムライスだよ!」
目の前にはターシャちゃんがおすすめしてくれたオムライスが届いた。ふわふわに作ったオムレツをご飯の上で割ってトロトロに作られたおしゃれなカフェとか出てきそうなものだった。意外だ…。
「いただきます!」
「それなーに?」
「これはね僕の住んでいたところに伝わっているおまじないみたいなものかな?食材に感謝してご飯を食べているんだっていうことを思い出すためのおまじないって感じかなー」
「へぇー」
異国(日本)の文化に対して不思議そうに見つめるターシャちゃん。そんなに見つめられると食べづらいんですけどー…。
そんな視線を感じつつオムライスをつつくことにする。ほかほかと上がる湯気が内側を開けるとさらに湧き出してきた。ホカホカのご飯てそれだけでいいよね。
トマトの香りが付いたご飯とふわふわの卵が色合いがまず素晴らしい。
一口ほおばってみると香りが鼻から抜けていく。塩味もちょうどよくおいしい!トロトロになっている卵と混ざってさらにおいしい。少しだけかかっていたコショウがまた香りがよく…。うん。食レポ終了。俺には無理だ。今後も最低限の食レポだけにしますねー。はい。
「うん。とってもおいしいよ!」
「ほんとに!やったー!」
また両手をあげて喜んでくれる。世の中にこんないい子っているんすかね?僕の心がすさんでいるだけなんでしょうか?あれ、おかしいな目から汗?そんなばかなぁ。
感想を伝えに行ってくれたのか僕の感想を聞くとまたテトテトと厨房に移動していった。移動するときまでかわいいってなんだろうねー。子猫とかそう言う分類とおなじなのかな。
こういう雰囲気のお店ってあれだね。夏になるとずっと甲子園中継流していたり夕方になると相撲中継流してたりって感じするんだけど、さすがにテレビなんてものはないよねー。なんか物足りなさがある。いや、飯はうまいんですよ。マジで。ほんとですよ?
そんな考え事をモグモグしながら食べてたらいつの間にか食べ終わっていた。いやー余は満足ですぞ。
「ごちそうさまでしたー。お会計お願いしまーす!」
「はいよ。ありがとねー。30Gだよ」
物価というのがよくわからなかったけど、あの宿屋が破格なのはよくわかった。オムライス一つで30Gなんだからあそこの宿屋よく経営が持ってるな…。
お腹も満たされたので、次は違う場所に行ってみることにする。ありがとーうと店を出るときも手を振ってくれるターシャちゃん。また来よう。
村の入り口の門からまっすぐ移動をすると中央広場があり、そこには噴水といくつかの店が並んでいた。宿を出るときに聞いた王都ではやりの飲食店というのも見つけた。サンドイッチのテイクアウト専門店って感じだな。さっきは普通にご飯出てきたんだけどやはり主流はパンなのだな。
おそらく、気候的にも稲作よりも麦作の方が適しているのだろう。そんなに雨量がある土地でもないから水田を作るのは難しいのだろう。
それ以外の店は先ほどの食べ物通りなどに比べると華やかな外装の店が多く並ぶ。ぶっちゃけ金がないからここのお店たちに用はないんですけどねー。
中央通りを門から進んで2本目の通りを右側に進むと商店通りなっていた。武器屋に防具屋、薬屋などなどと冒険に必要そうなものから日用雑貨まで商店街のような雰囲気がある通りだった。
今日はまだ準備をするような状態ではないからお店には入らないことにする。お金ないからただの冷やかしになっちゃうからねー。
村の入り口から半分程度はなんとなく回った気がするので、今日の散歩を終了にして、宿に帰ることにする。今日は早めに寝て明日の冒険者の登録に備えることにしましょう。
宿屋のベッドに横になると意外とすぐ眠りにつくことができてしまった。意外と疲れがたまってたんだなぁ。
ちゅんちゅんっ!
朝です。僕眠りが深いほうなので途中で起きたりとかしないんですよね。トイレに行った記憶とかもないくらい深いんですよね。気が付くと朝が来ている感覚。ほかの皆さんはどうなんでしょうか?
そんなことは置いておいて、今日は冒険者の登録をする日だから準備をしなくては!
荷物が多すぎても邪魔になるので持っていくのは最低限の物にする。昨日宿屋の主人についでに聞いたところ冒険者の登録に際して実技試験もあるみたいなので、武器も携帯していく。そういえ父さんも同じようなこと言っていたような気がしますねー。
家を出る前に餞別として父さんからもらった剣を腰に差し、背中に弓をかける。この二つだけは父からも使っていいんじゃね?って言われた二つ。できることやってサクッと合格にしてもらえたらいいんだけど…。ま、なんとかなってほしいものですね。家を出て2日目で路頭に迷うなんて嫌だからね。ほんとに嫌ですよ…前世でもそんなことなかったのに。
さて、ということで~張り切っていってみましょう!!
…あれれ~?この道さっき来ましたっけ?
おかしいですねー。さっき通った中央通りに戻ってしまった。おかしいですね僕にそういったスキルが転生特典として備わってるんですかね?スキル【迷い人】みたいなのあるんでしょうか?あ、あれだ!前世ではスマホとか使って道みてたから迷わなかったのか。そう考えるとやばいな…。行けるのか…僕…?
もうちょっと探してみようか。昨日のうちに手前まで行っておけばよかったな。
(10分後)
先ほどと同じ道が見えますね…なんででしょうかね?
(さらに10分後)
先ほどと同じ道が見えますね…。(n回連続)
一旦諦めて噴水のところまで戻ってきた。落ち着こうと思って何回も何回も同じところに戻ってきたのにイライラしてきた…。
「どこなんだよ冒険者組合って!全然たどり着けないんだけど!!」
しまった!思ってたことが口から出てしまった。叫んでも現状なんか一つも変わんないんですけどね。
「あの、あなたも冒険者組合に用があるの?」
話しかけてきたのは先日合った少女くらいの背丈の少女が話しかけてきた。
「お嬢ちゃんどうしたのかな?もしかして、冒険者組合までの道のりを教えてくれるのかな?」
「お嬢さんって…私も冒険者登録に行こうとしていたの!何?案内もいらないってことでいいのね?」
「いいえ、お願いします」
おいおいおいおい待ってくれよお嬢さん(アメリカンな感じで読んでください)。冒険者の登録って15歳以上って聞いたんだが?この子も登録をしに行くと言っていたってことは最低でも15歳以上ってことだろ?嘘だろ?昨日の子と大して変わりないじゃないかよ!
どうなってるんだ異世界って!ああ、そうか!この子は妖精俗的な何かで成長が著しく遅いだけなんだろうね!そういうことにしておきましょう!女性に年齢を聞くのは失礼だからね!うん!
「あんた名前なんて言うの?」
「僕はエルドナス。ルーファス=エルドナスっていいます」
「そ、私はエーシェルドよ。呼びにくいと思うからエーシェって呼んで」
「あ、じゃあ僕はエルで!家族からもそう呼ばれてたから」
「わかったわ。エル君ね。いいわね家族から愛称で呼ばれていたなんて」
エーシェさんは闇属性をお持ちの方のようですね。詮索をすればするだけその闇に引きずり込まれそうなのでやめにしておきましょう。
「で?行くんでしょ冒険者組合」
「そうなんですよ!かれこれ30分くらい迷ってるんじゃないかなってくらい道に迷い続けちゃってて」
「ここから5分もかからないはずなんだけど…。どれだけ方向音痴なのよ…」
「いやぁ…」
そんなに褒めなくてもいいんですよ?これたぶん僕の転生特典なんで!ユニークスキルってやつじゃないですかね?そう考えるとなんだか誇れるな【迷い人】
「ほめてないわよ」
「なぜわかったぁ!?」
「顔に全部書いてあるわよ。それと年もそんなに変わらないみたいだから敬語なんていらないわよ」
「ありがとー!敬語って使ってると肩こっちゃうんだよねー」
「あからさますぎるんけど…。まぁいいわ。行くわよ」
「はーい!」
エーシェに連れられて5分で着いちゃいました。(彼女の歩くペースに合わせてです。本来ならば3分くらいで着いちゃうねこれ)
ほんとにすぐに着いちゃうんですねー。ウケる。
さて、本番ですかね?この扉の先が決戦の場ですね。
「旅立ち!目指せ冒険者!②」最後まで読んでいただいてありがとうございました!もう一度だけ…僕はロリコンじゃないですからね!
ごほんっ!そんなわけでまだ始まったばかりです!前まではストックを貯めずに書いていたので途中で詰まってしまったんですけど、今回はそこそこストックを貯めてあるので大丈夫だと信じたいんですよねー。
(おかしいなぁ。予定では試験の半分が終わっているはずだったのに…あれれ…)
【次回予告】
ついに始まる冒険者登録試験!試験で待っている試験官とはどのような人物なのか!飛び交う魔法!入れ替わる武器!?躍動する筋肉!?結局ヒロインは誰なのか?次回旅立ち!目指せ冒険者!③お楽しみに!