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祭りだ!③~人の日記を見るのって面白い~

前回は修行?訓練?特訓?のために一人無人島に行ったエル君。ひと月という長い期間を終え、ついに帰ってきます。彼がその間書き続けた日記にはどんなことが書いてあったのでしょうか?

エル君が島に行くと言ってから約1カ月が経ちました。その間私は依頼に行ったりケーキセットを食べに行ったりして過ごしていました。先日ついにいつも言っている甘味処の会員の階級が上がったみたいです。今の階級だとケーキ単品注文時に1割引きらしいです。うれしいですね。ちなみに次の階級が一番上になるらしく、そうなると全品2割引きとのことです。またエル君におごってもらわなくてはいけないですね。

今日はなんとなく気分でケーキの持ち帰りをしたら一カ月ぶりに見る姿が宿屋にありました。

「エル君久しぶり。帰ってたのね」

「あぁ…エーシェかやっと帰って来れたよ…」

「やつれた?とりあえずお帰り」

「ただいま」

エル君は「久しぶりにベッドで寝れる」とつぶやいて部屋の受付をしていた。とりあえず荷物を持ってあげて部屋まで一緒に行くことにします。部屋に入ると「ベッドだぁ~フカフカだぁ~」と言ってすぐに寝ちゃいました。

「すぐに寝るなんてよほど疲れてたのね。あら?」

エル君の持って行った鞄は出ていったときに比べると少し痛んでしまっていた。鞄の上の方にノートが入っているのが見える。あれはたしか私が出発する前に上げたやつだ。勝ったのは私だからちょっと見てもいいわよね。

『エルドナス無人島日記 1日目』

すごくわかりやすいタイトルね。というか、無人島だったんだ…。

『エドガーさんの指令書通り、魔法を使ったらそれで体力をごっそり持っていかれてしまった感覚があって体がだるい…。とりあえず飲み水とかの確保をしないといけないだろうから森に入って泉か川を見つけることを今日の目標にしようというところまでは良かったんです。近くの森を見てみたのですがまったく見つかる様子がなく、化け物どもにたくさん出会いました。何ここ生態系ぶっ壊れてる…』

初日からなかなか大変なことになっているようね。見ているこっちからすると楽しいのだけど…。自分がもし同じような状況になったらと考えると…嫌だわぁ。というかお風呂のない生活とか考えられないわ。

『2日目 僕の考えが甘かった。昨日は朝取っておいた魚を食べてしのいだけど、足りないものがあると気がついた。塩と水だ。最悪塩と水があれば人は死なないと聞いたことがあるから、まず確保するのは塩と水だ!ということで鍋に海水を入れて水と塩を確保したんだけど、海水を煮詰めすぎると苦くなるの忘れていた…食べれたものじゃない…。今日の食べ物も朝確保した魚しかない。食えないよりはましだから我慢する。明日はお肉食べたい』

エル君って結構物知りよね。海水がしょっぱいことは知っていたけど、塩ってそうやって作られるって聞いたことなかったわ。塩は塩としか認識していなかったからほんとそういうのってどこで覚えてくるのかしら。あと、朝に取れる魚って何かしら…どうやって取っているのかしら…。

『3日目 今日は森の中の探索をした。ヤラスさんの話では蛇と猪と熊がいると言っていたけど、あの森は天国だった…。この島にいる生き物はあの森の奴らの2倍くらいの大きさがある。どういうことだよ…。今日はとりあえず猪と戦った。思いっきり殴っても効かなかったから近くの岩をぶん投げて倒した。今日から肉を食べることができるのはうれしい。昨日から一日置いておいた海水がいい感じに塩になってくれたから干し肉も作ってみた。これで生き抜いていけそう』

エル君って料理とかできたのね。干し肉とか作ったことないわね。女として負けた…なんて思わないわよ。私は作らなくてもいい生活をしてきたのだからそれはそれでしょうがないのよ。ええ、しょうがないの。ここから数日間はあれね熊とか蛇とかと戦った日記ね。ちょっととばしましょう。

『10日目 この辺にいる生き物はだいたい遭遇したらしい。今のところ一番おいしいのは猪だったので、イノシシ肉は備蓄に回していくスタイルで行くことに決めた。今日からは島の中の散策に出ることにした。初日は自分のいる島の南側を見て回ったが特にこれといってという感じだった。でもエドガーさんからの依頼にあったこの島の地図を作るはやっていかないといけない。ところで、地図ってどうやって作ればいいんですか?伊能忠敬さん教えてください』

何でしょう途中で読めない文字が出てきたけど知り合いの人かしら?それより、エドガーさんから受けた依頼って何かしら。とりあえず今のところわかっているのは地図を作ることね。エル君ってこういうこまめにメモしながら何かする系のものって苦手だったと思うんだけど…。

そこからの数日間で島はだいたい回ったみたいね。ずっと地図作りに苦戦しているけど予想通りね。

『15日目 やっと島のだいたいの地図ができた。もう一つの依頼である生き物調査もだいたいできたと思うけど、内容は半分おいしい料理の仕方だけど、問題ないだろう。だってほんとのことだもの。探してみたけどやっぱりこの島には泉や川という物は見当たらなかった。普通ある島選ぶでしょ…。一日に一回は飲み水を作るのが日課になり始めているから問題ないけど…。あと半分。明日からは山に行くことにする』

ノートの後半を見たら生き物のことがまとめてあった。猪は『煮ても焼いても干してもおいしいと書いてあった。急所は眉間のところ。直進してくるので避けて止めを刺すこと』などと書いてあった。熊も味が書いてあったのだが、蛇はさすがに食べる気にならなかったとも書かれていた。だよねー。

『16日目 今日は中心にある元火山に行ってみた。全然生態系が違う。これまで居た動物たちの姿はなく、ほとんどが鳥だった。そしてでかい…。僕と同じくらいの身長があるカラスが居たときはマジでビビった。鳥ってどうやって調理すればいいんだろう…血抜きとかめんどくさいって聞くけど食料は今まで通りでいいか』

ホントにエル君食べることしか考えていないのね。もしくは、それ以外の楽しみがないのかもしれないわね。それにしてもエル君と同じくらいの大きさの鳥っているのね。びっくりだわ。

ここまで見てきたけど、今のところ問題はなさそうね。これで本当に修行になっているのかしら。

『17日目 これまではそれまで苦労することはなかったのだが、今日は本当に疲れた。まず、この台風並みに酷い天候は何なんだ?島の天候は変わりやすいんですか?さっきまで快晴だったかと思ったら急に大雨になる。干し肉が無かったら今日はやばかったかもしれない…。』

『18日目 今日も雨と風がひどい。拠点は大木に括り付けているから問題はないと思っていたのに吹っ飛ばされた…。今日から寝る場所がない。どうしたらいいのだろうか。雨がすごいからどっかの洞穴を探さなくては…』

いきなり話が変わってきたわね。拠点がなくなるって完全に遭難しているじゃない…。だからこのノートしわしわになっているのね。苦労しているわね。でも、強くなっているの精神の方なんじゃないかしら。

『19日目 真夜中に洞穴を見つけた。先客は居たけど今先客は干し肉になってくれて今後の僕の糧になってくれている。この島のくまさんも僕は(味が)好きなので今日からはこの子を食べて生きていくことにしよう。夜には雨脚が弱まってきたので、明日からまた火山を探索することにする』

『20日目 やっと晴れてくれたので、火山を探索していたら火口にめちゃくちゃ大きな巣を見つけた。怪鳥がいるって言ってたけどこのサイズ感おかしくないかと思っていたら上から攻めてこられた。魔力無しで武器なしで戦える相手なのか?とりあえず今日は逃げてきたけど、あいつ以外は全部倒したし、最後の依頼を達成できるかはあいつ次第だから明日も攻めに行こう』

ここまで来てやっとエル君に与えられていた依頼がわかったわね。島の地図作りと島にいる動物の資料を作ること、怪鳥を倒すことの三つかー。大変ね…。さて、怪鳥との戦いはどうなったんでしょうか?

『21日目 また怪鳥に負けた。というか、飛んでる相手にどうやって攻撃すればいいんだろうか…。そう考えながら僕は今日も干し肉をかじって過ごす。』

完全に不貞腐れてるわね。確かにどうやって…というか怪鳥と戦っていたんだったら傷とかもあるかもしれないわね。ちょっと確認しましょう…。

服を着た状態でのエル君には外傷という外傷はないわね…。じゃあ、服の下はどうなのかしら…?確認をして…って寝ている人を脱がすってどうなのかしら?いえ、これは治療目的よ。仕方がないの、仕方がないことなのよ。手を伸ばしてエル君の上着をつかむ。

「え、えーっとエーシェさん?何をなさっているのでしょうか?」

「ひゃっ!え、エル君起きてたの!?」

急に起きるなんて思わないじゃない。なんでこんなタイミングで起きちゃうのこの子は。

「あ!僕の日記!なんで勝手に読んでるの!返してよ!」

エル君がびっくりするくらいの速さで手を動かしてきて日記を奪われた。本当に強くなっているということでいいのかしら?

「えっとね。エル君。あれよ。その日記の中に怪鳥と戦ったってあったから、ケガしてないかなと思って。服の外から見た限りだと何もなかったから、服の下は大丈夫かなと思って」

「そうなの?別にケガとかしてないから大丈夫だよ?」

「え、だって、今日も負けたって書いてあったわよね…」

「負けたって言ってもあれだよ…全く攻撃が当たらなかっただけだよ」

「そうなのよかったわ。じゃあ、残りの話はエル君から直接聞こうかしら」

「そ、そうだね」

「じゃあ、今日は私が奢ってあげるから行きましょ♪久しぶりにちゃんとした料理なんじゃない?」

「確かに!行こうエーシェ!」

いつものお店に行くとターシャちゃんがまた出迎えてくれた。

「あれ?エルお兄ちゃん久しぶりじゃない?髪も伸びているし」

「そうだねー。ちょっと遭難まがいのことしてた」

「??」

ターシャちゃんは頭に?を出しながらもいつもの席に案内してくれた。

「じゃあ、エル君にはいつものやつをお願い。私は軽く食べるくらいでいいからターシャちゃんのおすすめで」

「はーい。エーシェ姉は今日は飲まないの?」

「もー上手なんだからターシャちゃん!ワインもお願いするわね」

「え”…」

「何よ?」

「いや、別に何もないよ~ははは~」

こういう時のエル君は嘘ついているときになのよね。完全に私と目が合わなくなってるんですけど…。

「私のおごりなんだからいいでしょ別に」

「あ、はい」

ここにきて時間も経っているのだが、私たちが利用するのはいつもここだったのでお願いすると専用メニューを出してくれるようになっていた。

私は何でもいいからおつまみにテキトーな物をいつもお願いして、エル君はいつも食べている白米と味噌?を使ったスープと焼き魚の組み合わせだ。故郷の味って言ってるけど、エル君の故郷って近くの山の中だったと思ったんだけどなぁ…。両親の故郷の味ってことかしらね…。

「何はともあれ、お帰りなさいエル君」

「ただいま、エーシェ」

「お待たせしましたー。ごちゅーもんの料理と飲み物でーす」

「ありがとうターシャちゃん。じゃあ、エル君のお帰りなさい記念ということでカンパーイ!」

「カンパーイ!」

「ま、最初は久しぶりのごはんでも食べましょう」

「ああ、久しぶりの白米だ…。味噌汁も…」

ガツガツと食べ始めるエル君。一か月料理という料理ではない生活をしていたのだから仕方がないだろう。さて、私もお魚をおつまみにしながら飲み進めましょうかね…。

(30分後)

「ふー食べた食べた」

「ちょっとは気にして食べてほしかったものね」

エル君は何だかんだとおかわりをしまくってくれたので、なかなかの料金になりそうだった。

「それでー。結局怪鳥とはどうなったのよエル君」

「あーあれね。エーシェは何日目まで読んだの?」

「確か21日目だったはずよ」

「けっこう読んでる…。まぁいいや。えっとその後は怪鳥と何回かやりあったんだけど結局どっちも決定打を与えられなかったんだよねー。一回だけ怪鳥の首に捕まってみたりもしたけどダメだったし。振り落とされた」

「え?」

「あ、大丈夫だよ。木がクッションになってくれたから何とかなったんだよ」

それでも一回死にかけてるじゃない…。

「昨日最後の手段として怪鳥がいない時間帯を狙って巣に潜んで帰ってくるのを待ってみたんだ。そんで、帰ってきたところを狙ってブスっと」

「え、でも武器になる様な物はもっていなかったんじゃ…」

「その辺にあった石と石をぶつけてナイフ作ったんだよね。それならOKということで…」

「遭難生活で強くなったのね…」

「そんでもって怪鳥の一部をかばんに入れて帰ってきたんだよねー。あんまり強くなった実感はないんだけどねー」

「そんなことないぞ」

急に筋肉が現れたわ。びっくりするからやめてほしいわね。

「体力とか筋力も上がっているようだ。ついでに魔力まで上がってるんじゃないか?」

「あ、エドガーさん。そうなんですよ。毎朝やっていた魔力が切れるまで魔法を打つやつあったじゃないですか。あれのおかげで魔力の制御と魔力が増えたんですよねー」

そんな効果があったのね。でも普通魔力が切れるまで魔力を使ったら意識がなくなりそうになるんだけどね。体質かしらね。

「そんな効果があったとは…知らなかったな」

あなたも知らなかったんですね。

「あれは単純にお前に魔法を使わせないための方法だったんだが、結果としては良かったんじゃないか!はっはっは」

楽しそうですね…エドガーさん。

「エル君は明日からまたエドガーさんと稽古をするのかしら?」

「そうだねー。次は技術面も磨いていかないといけないからねー」

「そういうことで、明日からは毎日冒険者組合に来ることだ。いいな」

「はーい」

「私は普通に依頼を受けに行きますね」

「じゃ、今日もお疲れさん!カンパーイ」

エドガーさんも混ざって飲み会が続いた。30分後にはエドガーさんがつぶれてしまうといういつもの流れは変わりがなかった。

「明日からも頑張ってねエル君」

「え、ああ、うん」

さて、明日からはまたあれかな。回復担当かな…。


「祭りだ!③」最後まで読んでいただきありがとうございました。エル君の島での生活を描いてみるのも楽しそうだったのですが、日記形式で負っていくの面白そうだなと思ってエーシェさんに出てきてもらいました。久々のエーシェ回でしたね。最後に使っていた石を砕いて作ったって言っていた石は黒曜石をイメージしているのですが、黒曜石って火山岩だからあの島にはあったということで…。ナイフにできるほどの塊ってあるんですかね?

あ、私事ですが、運動不足解消にジムび通い始めたんですけど、ランニングマシンで走った後って地面が勝手に動く感覚に陥って酔った感覚に近かったんですけど、これが普通ですか?

【次回予告】

まだまだ続きますエル君の修行篇。今度はエドガーさんとの実践訓練です。一か月でどのくらい強くなったのか楽しみですね。

次回「祭りだ!④」お楽しみに!

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