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祭りだ!①~夫婦喧嘩はスライムも喰わん~

初依頼を終えてから少し時間が経ちました。

前回は悪ふざけが過ぎる次回予告でしたが、まったく関係のない内容になっております。

新章前編の①です。

僕がこの村に来てから半月が経った。僕は今宿屋で正座をさせられています。

ちょっと現実逃避をするためにこれまでの期間を振り返ってみましょう!

一角熊を討伐して以来エリーさんに紹介されていた依頼をひとつづつ数日おきにこなしていくという日々が続いた。

鹿の討伐は二人で行ったけど帰るの討伐の時はなぜかエーシェは来てくれなかった。ソロプレイは初めてになったのだが、エーシェが来なかった理由がすぐに分かることになったのだった。

カエルくんたちは割と大きいし、近づくとなんとも言えない匂いがするのだ。青臭いというかなんというかよくわかんないけど臭いのだ……。討伐完了の報告で必要なのはカエルの体の一部を持ち帰ることという条件だったので弓で倒しまくった。

そこまでは良かったんですよ?ええ。

部位を切り取ろうと剣を刺したらさっきまでの匂いに加えて体液の匂いって言ったらいいのかな、血の匂いと色んなのが混ざってその日は晩御飯がしんどかった。エーシェさん来なくて正解でした。

ちなみに依頼から帰ったところでエーシェにあったんだけど、開口一番に「エル君臭い」とだけ言ってきて部屋に入ってしまった。さすがにこれは心に傷を負ってしまいましたよ。酷い話ですよねほんとに。

そんな悲しい話もありつつ、依頼に行かない日は自分の力を高められるよう訓練を続けるのでした。

でも、実家にいた時のように対人で訓練をすることが出来なかったので、一人でやることに限界を感じた僕はエドガーさんに相談しに行ったりしました。

相談内容を聞いてエドガーさんは二つ返事で「じゃあ、俺が見てやる」と言ってくれたのでお願いをすることにしました。何故かその時エリーさんが目を合わせてくれなかったのか分からなかったんですが、すぐに分かることになったのでした…。

エドガーさんとの訓練の日。気がついたら次の日になってました。そして、体のあちこちが痛いのです。でも、記憶がありません。そして思い出そうとすると体が震えだします。何故でしょうか?

記憶を取り戻すため僕はえーシェに話を聞きに行くと、エーシェ顔を青ざめさせながらゆっくりと重い口を開いてくれました。

「エル君は昨日エドガーさんに訓練してもらってくる!と元気に出ていったところまでは覚えてる?」

「うん」

「それから少しして、あなたはエドガーさんに担がれて宿に戻ってきたのよ」

「それで?」

「エドガーさんは『すまんやりすぎた。回復魔法使ってやってくれ』って言ってエル君を私に預けてきたのよ」

えっと、つまり僕エドガーさんにボッコボコにされてたってことでOKかな?

「およそ訓練でつくような怪我ではなかったわよあれ……」

「うわぁ……」

きっと自己防衛のために記憶を失ったんだな僕……。いらない記憶もあるよね……。

「エドガーさんは強いからとはいえ、あそこまでボコボコになってる人を見るのは初めてだったわよ」

「今後は…気を付けます…」

そんなこともあったけど、今日も僕は元気にやっています。

そういえば武器もちょっと変わりました。父さんにもらった剣ですが自分も感じていた通り思いっきり振るにはまだ筋力が足りないとエドガーさんにも言われました。なので、ここ最近討伐していた鹿や熊の素材を集めて武器屋さんへ特注の物をお願いしました。武器を新調するとワクワクしますね。

そしてさらに熊さんとの戦いで剣で敵の攻撃を受けるのしんどいってことがわかったので盾も購入してみました!ちょうど胸と腹が隠れるくらいの背負えるサイズです。それで防具屋でいろいろと見ていたら鎧ではなくいい感じのコートが売っていたので買っちゃいました。てへぺろ☆

そんなこんなで僕は散財をし続けていたので、依頼で稼いだ分なんてとっくに底をつきそうになっているわけです。なのでエーシェを誘って今日を生きるために依頼に向かおうと決めた今日の朝。

「うーん。今日は動きたくない日なの。また明日にしましょ」

と断られてしまうのでした。困ったなぁ。今日の宿代は何とかなるんだけど、夕食代がないんだよなと思った僕は単騎で熊さん討伐に行ってきたのでした。それはもうサクッと行ってサクッと倒しておりゃーって感じでまた熊を持って帰ってきたんですよ。

そしたら村の中でエーシェにエンカウントしてしまいましてすごく長くて重たーい溜息をついてから低い声で「解体が終わったら私の部屋に来なさい」というのです。ほんとに怖くないですか?

冒険者組合まで行ってエドガーさんに熊を押し付けて速攻で宿屋に戻った僕でした。僕は紳士なのでノックをしてからガチャッと開けるとなんとそこには…。着替え途中のエーシェさんがいらっしゃったのでした。ノックはしたけど返事を確認する前に開けてしまったのがよくなかったですね。

「で…出てけぇぇぇええええええええええええ!」

と叫ばれてしまったので一度部屋の外に出ることに。ドアに寄りかかって待っていると何の前触れもなくドアを開けるので僕は後ろに転んでしまったのです。なんてひどい人でしょう。

そしてその後は首根っこをつかまれて部屋の中に引きずり込まれました。君どこにそんな力隠し持ってたの?あ、あれか【筋力強化ボデラーソ】使ったのかな?

と、いうことで今に至ります。ちなみにこの部屋に引きずり込まれて数時間が経過しております。その間僕はずっとエーシェさんのお叱りを受けている状態です。ちなみに足は痺れすぎてもうよくわからなくなりました。

この数時間に及ぶ説教の内容は3つ。

1つ、勝手に単騎の依頼を受けないこと。誘ったけどまったりしたいって言ってたのはどこの誰だろう?

2つ、お金が手に入ったからと言って調子に乗って使いすぎないこと。すいません反省しています。

3つ、女の子の部屋に入るときはノックの返事を確認してから入ること。すみませんこれも反省はしています。

エーシェさんはよくもまあそんなにしゃべれますねってくらい僕に対して説教をしていたのでさすがに疲れが見え始めましたね。

「ごめんなさい。反省はしています。僕のためにこんなに怒ってくれてありがとうございます。そこでなのですが、先ほどの熊のお金が入っているはずなので、お詫びのしるしとしてお茶でもいかがでしょうか」

僕の知っているエーシェの機嫌を取る方法は一つしかない。それはケーキに頼ること。前に寝坊をかましたときに連れていかれた店のケーキを与えることでエーシェさんのご機嫌は回復するのです。

「そう。反省はしているのね。じゃあ、連れて行ってもらいましょうか」

あの、エーシェさん。声に抑揚がないんですけど…ついでに目に光もないんですけど…怖いっす。

甘味処に到着し、席までエスコートさせていたく。人をエスコートした経験なんてないからよくわかんないけど僕はそのつもりでした。

ほどなくして店員さんがやってきたので注文をすることに。

「私はこのティーセットの至福をお願いします」

待ってくれ、この店のティーセットはいくつか種類があるのだが至福は上から極み・至福・安らぎ・おまかせとある中で2番目に高いやつじゃないか!この前はやすらぎだったのに…でも、まぁ、極みを頼まなかっただけ優しさが残っていると考えればいい方なんでしょうけど…。

「エル君は何かいる?」

「えっとこのお茶お願いします」

お茶でも結構するんですけどねこの店。

「前から思ってたんだけど、この店って結構な高級店じゃないかな?」

「あら?知らなかったの?ここのお店は王都の姉妹店で王都の本店は王宮にもケーキを出したことがあって有名なのよ?」

何その情報知らなかったんですけど…王宮にケーキ出すとか国の中でも選ばれし店じゃん。お店の格付けで星がいくつか輝いてそうなお店なんですね。なんでこの村にあるの?

「それで?なんで一人で依頼なんて行ったのよ。聞いた気もするけど」

「えっと、お金に困ってまして…」

「はぁ…。エル君に押し付けられたとはいえ私がリーダーなんだから今後依頼を受けるときは私の許可を取ってからにしてよね」

「はい…」

完全に上司に怒られてる時と一緒なのなんか面白い。どこの世界でも報連相は大事なんですね。はい。

「で、お金は何とかなりそうなの?」

「熊を狩ってきたので当分は何とかなるかと」

「そう。もし、困ったら助けてあげることもできるんだから相談してよね。あ、セットこっちです」

最後の最後で店員さんが注文したものを持ってきたのでなんか締まらない感じになっちゃったけど、今後はお金が借りれるということですね。ラッキー?

「私たちは二人でチームを組んでるんだから片方が居なくなるだけでも大変なの。わかってるかしら?」

そうは言ってるけれども視線はずっとケーキに刺さっているエーシェさん。ほんとにケーキ好きだね。

「そしたらまた僕みたいなやつが現れるよきっと」

「…そんな人いないわよ」

なんかたまにエーシェさんのダークサイド化が進むんですけど何がトリガーなのかよくわからないんですよね。

「そんなことないよ。エーシェかわいいから」

ちなみにこれが僕の精一杯のエーシェへの誉め言葉でした。それを聞いたエーシェはケーキの上に乗っていたフルーツに思いっきりフォークを刺すんですよ。僕びっくりしちゃいました。こわいこわい。

「なんでそんな流れになったのかしら?」

「いや、なんとなく?」

「急に何言いだすかと思ったら…はぁ」

その後も何やらブツブツとつぶやいていたけど、あんまりよく聞き取れなかった。聞き取れなくて聞き返すと切れられるのが今までの流れなので聞き返さないことにしてお茶をすする。あ、お茶美味しい。

「それと、今日見たことは全部忘れることわかったわね」

「はい。柄のことは忘れます」

「エル君あの一瞬でそこまで見てたの…」

いや、だって僕だって男の子ですし?そういう時だけ周辺視野の広さとか瞬間的な記憶力とかめちゃくちゃよくなることありますよね男子諸君。あの時の映像はとても保存状態が良い状態で脳内フォルダの中に保存されてます。フリルの付いていたところとか…。

「サイテー。忘れてって言ってるのに。サイテー」

あの…声の抑揚と目の光消すのやめてください。マジで怖いっす。

目線が怖かったので、目をそらしてお茶をすする。ああ、お茶美味しいな。なくなっちゃったよ。もう逃げられない。

「そういえば、エル君が熊を抱えてくる前にエドガーさんに会ったんだけど、二人で時間を合わせてきてほしいって言ってたの今思い出したわ。なんで今まで忘れていたのかしらね?」

「そうなんだ。じゃあ、この後行こうか」

そういえば、熊を置いてきた時にかなり急いで帰ったからあまり話せてないけど、エドガーさんが何か言っていたような気もしなくもない。

「さ、じゃあ行きましょうか」

ケーキを食べ終わって上機嫌なったエーシェさんは僕に伝票を押し付けて入口へ向かっていく。予想通りお会計は僕の財布の中にあるお金だけでは足りない。

お金が足りないことに気が付いてアワアワしている僕を見て不敵に笑みを浮かべながらエーシェが近づいてくる。何?今それどころじゃないんだけど。

エーシェは僕と比べると身長が結構小さいので耳打ちをするときも背伸びをしないと届かないのだが、わざわざ近づいてきて背伸びをするのだった。

「ごちそーさまでした」

え、それだけ?ちょっと、え、助けてくれるんじゃないの?さっき言ってたじゃん!

結局口座のほうに請求してもらうことにした。とほほ。

外に出るとドアのちょっと左のところでエーシェは今日一番の笑顔で待っててくれた。くっそーさっきの背伸びもそうだけど動作がかわいいところあるんだよなぁ。

「ほら、行くわよエル君」

どうやら僕らがお店の中に居た時間で夕立が降っていたようで、石畳が濡れていた。

「あ、虹出てるじゃん」

「ほんとだ。ちょうど冒険者組合のほうに出てるからどっちが先に虹に追いつくか競争ね」

「えー滑って危ないよ?」

「だいじょーぶよ」

ケラケラ笑いながら走っていくエーシェを追いかけていく。よかった機嫌を戻してくれていたみたいで…。

冒険者組合に着くとちょうどエドガーさんが出迎えてくれた。

「お、来たな。さっきは慌てているようだったが何かあったのか?」

「えーと…その、いろいろとありまして」

「どうせまたお前がエーシェを怒らせただけだろ?」

「はい…その通りです」

「はっはっは。夫婦喧嘩はスライムも食わんぞ」

「「夫婦じゃないんですけど」」

この世界だと犬じゃなくてスライムなんだね。確かに雑食のあいつらが食わないなら通じやすそうだ。

「そ、そうかすまんかった。それで、話があるんだが奥の部屋に来てもらってもいいか?」

そういってカウンターの奥の扉を開けたところにある応接室らしきところに連れていかれた。らしきところというのはこの部屋もなかなか年季の入った部屋だったからである。予算足りないのかな?

「それで、僕らに話って何ですか?」

「お前らがここにやってきて半月くらいか?この村にはある祭りが開かれるんだが、そこに冒険者組合から参加者を毎年出していてな。それで、今年はエルドナスに出てもらえないかと思ってな」

エドガーさんから直々に言われるとなんか嫌な予感がするんですけど…気のせい?

「祭りだ!①」最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

書きながらちょこちょこと変えてみたりしたので少しわかりにくくなっているのですが…。

エル君が部屋に引きずり込まれたところまではこの半月のエル君たちの様子をエル君が思い出しているだけのお話でして、後半からは時間が戻ってくるというなんともまぁわかりにくい書き方をしたものですよ。すみませんでした。

ケーキを食べることとエル君をいじることが好きなエーシェさんは怒ったり笑ったり大変ですね。それに対してエル君は考え事ばかり…。なんなんでしょうねこの二人。最近はもともとの予定していたストーリー通りにエル君が行動してくれないことがあるんで困ってます。なんか脇道にそれたほうが面白いこと起こすんですよね。

さてさて、後書きも長くなってしまいましたが、これはお祭り篇の前半①ということでお祭り篇は大きく2つのパートに分れる予定になっています。予定では、お祭り篇だけでこれまでの話数と同じくらいになってしまう可能性があるのでよろしくお願いします。では、いつもの行ってみましょう!

【次回予告】

喧嘩の原因を作り、喧嘩を甘味ケーキの力で何とかしたエル君はエドガーさんに祭りに参加してみないかと言われる。この村に来て半月、祭りの話なんて聞いたことが無いのですがどうしてでしょうか?え、それはそういう仕様です?あーはいはい。わかりました。大人の都合ってやつですね。

エル君たちが参加する祭りとはどんなものなのか?次回「祭りだ!②」お楽しみに!

※不定期連載幕間②もあるかもよ

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