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私は邪竜じゃありません! 転生して二代目水竜になりましたが先代は邪竜と呼ばれていました  作者: 彩帆
第七章

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希望の光を願え

「恐ろしいな、これが人間の力かよ……」


 空中でロアードを拾うなり、風竜はそんなことを口にした。


「ロアードよ! 邪竜はやったのか!」

「まだ分からん……! 確かめに行くぞ!」


 ヒノカの言葉にロアードは汗を拭いながら答えた。

 全力の一撃だった。今だに呼吸は荒く落ち着かない。

 あの一撃で倒せていることを願うばかりだった。


 ロアードたちは邪竜が堕ちた地点まで降りた。

 そこは島の頂上より少し下、今は岸辺に成り果てた山の中腹部分だった。


「皆様!」


 ちょうどロアードたちが降りた時に、ファリンとリュシエンを背に乗せたミレットが山頂から合流した。


「……ふふ、ははははは!!」


 ――その時だ。

 倒れていた邪竜から笑い声が上がった。


「面白い力だ……ここまで私を追い詰めるとは」

「チッ……まだ殺せていなかったか!」

「ああ。……しかし、私は邪竜であり、そして水竜でもあるのだ」


 ゆっくりと邪竜レヴァリスは起き上がる。

 白い光を纏った傷口は治ることなく残っていた。

 決してロアードの一撃が効かなかった訳ではない。

 だが、レヴァリスとは……邪竜であり水竜なのだ。


「水竜の座にいる限り……私はまだ死なぬ」


 そう、命が二つあるようなものだ。

 邪竜として敗れてもなお、生き残っているのはそういうことだ。


「――いいや、お前はもうその座は明け渡しただろ」

「何を言っている……」

「他でもないお前自身が、二代目の水竜に……リアンに明け渡したと言っている!」


 ロアードはレヴァリスの前に進み出た。


「ははは!! 何をいうかと思えば、それか。……二代目の水竜など存在しない、それは私が付いた嘘だ! リアンなどもう何処にもいないではないか!」

「――そんなことはない!」


 再び光を見た。

 それは諦めぬ人の瞳に輝く、強い意志の光を。


「そうだ、二代目の水竜はお前だ! 水竜に相応しいのは、お前しかいないんだ――リアン!!」


 ロアードは魂の底から力を込めて、その名を呼んだ。


「……そうじゃ。妾と同じ二代目同士じゃろう? せっかく友となったのに、お主はこれで終わりとするのか、リアンよ! まだお主とやりたいことはたくさんあるのじゃ!」


 ヒノカも友に語りかけるように、その名を呼んだ。


「リアン……あんたには礼の一つを言わなきゃいけないんだ。……出来れば面と向かって言いたい」


 風竜も風に乗せるように、その名を呼んだ。


「私が言えたことではありませんが、ファリンを悲しませないというのは嘘だったのですか? ……約束は守ってください、リアン様」


 リュシエンが懇願するように、その名を呼んだ。


「……ガウガ! ガウガウ!」

「ええ、そうですね、ミレット様。……お姉様と一緒に、色んなところに行ってみたいですね」


 ミレットの言葉に、ファリンは頷きながら……。


「だから、帰って来てください。あの時のように――リアンお姉様!!」


 百花の髪飾りを手に、その名を呼んで願う。

 一雫の涙が、花弁に落ちた――その時だった。


「……!?」


 跳ねた涙が光を帯びて、宙を舞った。

 それは一雫から、水塊に。どんどんと大きくなっていく。

 光り輝く水はやがて、竜の形を象った。


「これは……」


 驚くレヴァリスの前に、新たなの竜が現れた。

 雲が晴れ、光が差し込む。

 瞬く星の光を瞳に宿し、後光を浴びて輝く鱗は白に近い綺麗な色をしており、虹色にすら見えた。

 水掻きがありヒレのような尻尾があるところは、レヴァリスに似ているが、身体は丸みを帯びている。


「まさか……お前は……」

「改めて、自己紹介をした方がいいかな?」


 それは白亜の翼を広げる。キラキラと輝く水飛沫が舞った。


「私の名前はリアン。――新しい水竜。二代目の水竜だ」


 ――二代目の水竜が世界に現れた。

 この事実により、レヴァリスの身体が崩壊していく。水竜の座は、今より二代目に移ったのだ。

 邪竜としては敗れ、もはや水竜でもない。

 故に待っているのは――。


「死ぬのか……私が……」

「良かったじゃないか、君の願い通りだ」

「嫌だ……死にたくない……」


 レヴァリスは懇願するように、リアンを見上げていた。


「死にたいだなんて嘘なんだ……助けてくれ……」

「君は、その願いを何度も聞いてきたはずだ。でも、君はそれを無視して、多くの人を殺してきたでしょ?」


 リアンは消えていくレヴァリスを見下ろした。


「それが死というものだよ、レヴァリス」


 リアンに死を突きつけられて、レヴァリスは消えていく。願いの通りだというのに、心底悔しそうな表情を最後まで浮かべていた。




「リアンー! 本当に本当にリアンなのじゃー!?」

「わっ! ヒノカっ!?」


 後ろから突撃してくるようにヒノカが突っ込んできた。

 そのままヒノカに押し倒されるように、二人は倒れ込んだ。


「ずいぶんと水竜の姿とは違うが、嬢ちゃんなんだよな?」

「リアンで合ってるよ。姿が違うのは、そりゃそうでしょ。先代と私は違うんだから」


 今までの水竜の姿は、レヴァリスの姿を借り受けていただけだ。そっくりというより、そのままだったわけだ。


「君たちが私の名前を呼んでくれたから、私はこの世界に二代目の水竜として、帰って来れたんだよ」


 今のリアンは二代目水竜として新たに生まれたので、その水竜としての姿はまったく先代とは異なっていた。


「ということは、リアン様は正真正銘の二代目の水竜になった、ということでしょうか?」

「たぶん、そうだね。君たちがそう願ってくれたから」


 人の願いを、世界は聞き届ける。

 強い願いであれば、どんなことでも叶う。

 ここには覚醒者のロアードもいた。彼の願いも合わされば、奇跡だって起こる。


「俺はお前が一番相応しいと思っただけだ。……俺たちを信じてくれた、お前をな」

「君も立派な英雄になれたようだね」


 邪竜殺しの英雄。彼はその二つ名を、真実とした。


「ガウガウ!!」

「本当に良かったです……本当に……」


 ミレットと共にファリンはリアンを見上げた。


「お帰りなさい、リアンお姉様!」

「……うん、ただいま」


 リアンのその言葉に、皆は笑顔を返した。


「ところで、服はないかな? 人型になりたいんだけど……」

「こんな事もあろうかと、ちゃんと用意してありますよ」

「さすがリュシエンお兄ちゃん!」

「だから……あなたのお兄ちゃんではないですよ」

「ええー、そろそろ認めてくれたっていいじゃん!」

「ダメです、それだけは絶対に認めません!」

「もう、お兄様ったら」


 そんなリアンとリュシエンのいつものやり取りを、ファリンは嬉しそうに眺めていた。



 ◇◇◇



 邪竜復活騒動はこうして幕を閉じた。

 邪竜レヴァリスは英雄ロアードと、そして火竜と風竜によって倒されたのだ。

 人の英雄だけでなく、四大元竜の二柱の力も合わせて討ち倒されたことで、人々は邪竜の復活を恐れることをしなかった。

 そして、リアンが二代目の跡をきちんと引き継いだ。水竜の座もリアンに渡ったことで、杞憂はなくなったのだ。


 邪竜の残した爪痕は各地に残ってしまったが、それでも人々は前を向いていた。


「ロアード、あなたにやって貰いたい仕事があるのだけど?」

「また、英雄関係か?」


 バルミア公国の執務室にて。

 復興中のカーディナルの指揮で忙しいはずのエルゼリーナに、呼び出されたロアードは少し眉を寄せた。


「英雄ロアードの名は使いやすいもの。それに人々を勇気づけることだってできる」

「……最近、俺を便利屋か何かだと思ってないか?」

「そんなことないわよ。……あなたが無事に戻って来てくれて本当に良かったと思ってるもの。あなたの存在が、私たちに希望を抱かせるのは本当のことよ」


 エルゼリーナは首に下げた英雄ペンダントを撫でた。これはロアードに送られたものだ。


「……英雄になれたのは俺一人の力ではない、か。火竜や風竜……それからエルゼたちの力があってこそ……」


 ロアードは背負った魔剣の重みを感じる。

 人の期待と想いを彼は背負っていた。


「英雄と名乗ることが恩返しとなるならば、便利屋でもなんでもやろう。それで俺はなにをすれば良い?」

「さすが、英雄ね」


 そして、英雄ロアードは女王エルゼリーナと共に、邪竜の被害を受けた人々を手助けする活動を続けた。

 彼の存在は人々に希望を与えた。



 ◇◇◇



 中央大陸の東。

 そこにヒカグラの国がある。

 かの国は火竜の加護を失い、悪化した国内の情勢もあって滅びを辿るかに見えた。

 しかし、現在、バルミア公国を始めとし周辺諸国から物作りの生産を請け負うようになった。

 元より高い技術力を有していたヒカグラの国は観光業を止め、この道に舵を切り始めた。

 それはこの国の未来を灯す火である。


 その日、ヒカグラの西では小さな祭りが開かれていた。

 火竜が来る以前からある小さな祭りであった。

 人々はその祭りを楽しんでいた。例年であれば国の現状に憂いているしか出来なかった。


「わはははっ!」

「待てー!」


 元気な子供たちの声すらしなかった。

 しかし今年は賑やかな声がする。


「わっ!」


 走り回っていた男の子が、目の前人物にぶつかった。


「ご、ごめんなさい」

「少年よ、怪我はないようじゃな。まったく……次は気をつけるのじゃぞ」


 男の子がぶつかったのは、狐の面を被った少女だった。

 男の子を見送って、少女は祭りを出歩く。

 歩くたびに結った黒髪に刺した朱珠のかんざしがしゃらりと揺れる。


「……やはりリアンたちも呼ぶべきじゃったか? しかし、この前会ったばかりじゃからのぅ……」


 狐の面の少女は扇子を片手に、悩んでいた。


「まぁ、また祭りは開かれよう。……この国にはたくさん祭りがあるのじゃからな」


 きっと今日のように、楽しい祭りがこれから増えていくのだから。

 これから先、いくらでも、楽しむことができるはずだ。

 そうして狐の面の少女は……火竜ヒノカはコッソリと祭りを楽しんだのだった。



 ◇◇◇



 場末の酒場で、一人の男が酒を傾けていた。

 ララハ諸島にある一つの酒場だ。

 客の入りがあまりないのは、先日の邪竜による影響だ。

 大津波が起こったことで、一つの島が沈み、周辺の島々にも影響が出ていたのだ。


「……本当、好き勝手してからいきやがってよ……」


 杯を空にするまで飲んでから、男は独り言を呟く。

 茶髪の髪を適当に結び、草臥れたコートを着る男は……風竜であった。


「……呪いか」


『ファリン、彼のことを許せませんか? あなたが復讐を望むなら……私は彼を殺します』


 あの時の、親友の真剣な眼差しを今でも思い出す。

 親友とその妹の両親が死んだ原因が風竜自身に合った。

 あの日、岸辺でその話の続きをした時、彼は真っ先にそう言った。


『……お兄様。わたしがそんなことを望むと思いますか?』


 しかしそんな兄の姿に……妹は少し呆れたように答えた。


『確かに、お父様とお母様は風竜様のせいで死んだのかもしれません。……許せないと言えば嘘になります。でも、だからってそれは望みません……。お兄様の親友を殺してなんて、わたしが望みますか?』


 妹もまた真剣な眼差しを、兄に返した。


『……だから、彼をどうするかはお兄様が決めてください。わたしに聞くのではなく、お兄様自身が決めてください。だって、お兄様の親友なのでしょう?』

『……分かりました』


 親友は目を瞑り、再び開くと風竜を見た。


『そんな顔をしないでください……。あなたらしくない』

『……リュシエン』

『何者にも捉われない、自由奔放な竜、それがあなたでしょう? たかがエルフのことなど気にかけないでください。今までだってあなたは、エルフたちに疫病を撒き散らして殺したことを、気にもしなかったでしょうに。それなのに、今更気にするんですか、虫が良過ぎますよ』

『……ああ! そうだよ!! オレは身勝手だ! 自分の死のために、多くを殺してきたさ! ……だけど一人くらい、最後に一人くらい、親友と呼んだ奴のために、そう思うのすらいけないのかよ……オレが……風竜だからかよ……』


 風竜は力無く顔を下に向けた。

 親友と呼んだ人にさえ、自由の象徴として見られている。

 己に課せられた運命から、その自由の座からは結局逃げられないのかと、痛感する。


『あなたには失望しました……だから、復讐のためにも殺してあげますよ。……ですが、風竜たるあなたを直接殺すほどの力など、私にはありません……ええ、ですから――』


 親友は風竜の破れた服の胸元を掴み、無理矢理、顔を上に向かせた。


『次に私が死ぬことがあれば……その時はあなたを呪い、道連れにします。風竜の座からあなたを引き摺り下ろして、あの世に連れていってあげますよ』


 風竜は深緑の瞳を見た。

 深淵の底のような暗さを持つそれは、確かに覚悟と復讐、そして殺意が混じっているが……。


『それのどこが呪いなんだ……今までと何も変わってないじゃないか……』

『何言ってるんですか、これは私の呪いですよ。自由の象徴たる風竜が、ただ一人に捉われて連れて行かれるんです。この世界にとっては、よくないでしょう?』


 親友は少し悪い笑みをしていた。

 ……かつて共に、海賊として暴れ回っていた時の顔にそっくりだった。


「本当、何が呪いなんだよ、馬鹿野郎……」

「ああー! やっと見つけたですぜ!」


 酒場に大きな声が響き、それは真っ直ぐ風竜のテーブルにやってきた。


「船長! アルバーノ船長! 一体今までどこぶらぶら歩いていたんでやすか!!」

「な、なんであんたがここに……というか生きてたのかよ……」


 その人物はアルバーノ海賊団の船員の一人だった。


「勝手に殺すなんて酷いですぜ、船長。……まぁ、あの津波で船はバラバラになっちまったし、船員も何人かほんとに死んじやいましたけど……」

「そうだったのか……」

「でも、残った奴らでまた海賊団しようぜって話が上がってるんですぜ! それで俺、船長のこと探してたんでやすよ!!」


 船員は腕を組みながら話した。


「いやー、俺はやっぱり運がいいでやす! 空腹のまま海に流れてたところを船長たちに拾ってもらったり、あの大津波から生き延びたり、今日だってあの存在感が薄い船長を見つけ出せたんでやすから!」


 そんな運がいい船員を、風竜はしばらくじっと見ていた。


「どうしやした? あ、船長になりたくないっていうなら無理には言わないですぜ! そうなったら俺が船長になるんで!」

「あんたが船長? 無理だな」

「そんなことはないはずですぜ!!」

「無理だ無理、なぜなら"アルバーノ"が船長じゃなきゃ意味がないからな」


 風竜は席を立ち、三角帽子を深く被った。


「それって、また船長やってくれるってことでやすか!!」

「当たり前だろ?」

「やったー、さすがアルバーノ船長!」


 風竜は……アルバーノ船長は後ろをついてくる船員をチラリと見た。


「おい、今日から"フェリクス"って名乗れ」

「え、なんででやすか?」

「知らないのかよ。幸運のフェリクスって海賊がいたことを。あの伝説のアルバーノの副船長だったんだぞ?」

「そうなんでやすか? 全然知らないでやすね? 船長みたいに影薄い海賊だったんですかね? そんな無名の海賊の名前を名乗れって言うんでやすか……嫌でやすよー。それに俺には立派な名前があるんでー」

「……あーあ、名乗れば副船長にしてやったのに」

「まったく仕方ないでやすね! この俺、フェリクスが、副船長になってやりやすよ!!」

「……コイツに名を貸したのは間違いだったか?」


 そんな調子のいい"フェリクス"と共に、"アルバーノ"船長は、酒場を後にしたのだった。



 ◇◇◇



「うん、今日も紅茶がおいしいよ」

「お褒めに預かり光栄です、リアン様」


 リュシエンの淹れた紅茶を飲みながら、リアンは一息付いた。

 邪竜騒動が少し落ち着いて、世界は平穏を取り戻しつつあった。

 この宿を借りているサントヴィレの街の人々もそうであった。


「最近はゆっくりお茶を楽しむ余裕ができて、いいですね」

「そうだね、ファリン。……ただ、邪竜が消えたとはいえ、先代が遺したものはまだ世界に遺っている」


 レヴァリスが邪竜と呼ばれるようになった所業の数々までが消えたわけではない。

 今もこの世界の何処かではそれによって苦しむ人々がいることだろう。


「まだまだ二代目としてやるべきことはありそうだ……」

「お姉様! もちろんわたしも微力ながら手伝います!」

「がう!」


 意気揚々と語るファリンと、小虎のミレットが返事をする。……ミレットは半分遠くに行けることを喜んでいそうだった。


「……私も、お手伝い致しますよ。あなたのおかげで命拾いしましたから」

「ええ! リアンお姉様のおかげで、お兄様が助かりましたからね! 本当にありがとうございました!」

「あれはアルバーノおじさんとファリンのおかげでもあると思うけどね」


 リアンはアルバーノからも、この件について直接礼を言われたものだ。

 ファリンは今日もあの世界樹の花の髪飾りを付けていた。あれ以降、世界樹の声は聞こえていないという。


「結局私は何もできなかったけど……君たちが無事でよかったよ」


 リアンはただ信じただけだ。

 彼らなら大丈夫であると。

 その信用を彼らは裏切ることなく、邪竜を討ち倒してくれた。


「そういえば、買い出しに行くんじゃなかった?」

「ああ、そうでした! 夕飯の材料を買いに行かなければ」

「私も付いて行きます。お姉様はどうされますか?」

「私は留守番してるから、行ってきなよ」


 リュシエンとファリン、そしてミレットは買い出しのために外に出た。

 それを見送って、リアンは再び椅子に座った。


 ゆったりとした時間が流れる。

 窓の外からは通りすがりの鳥の声が聞こえ、穏やかな午後を彩る。


「――まさか、君はこれで終わりだなんて思わないよね?」


 突然、リアンは言葉を発した。

 部屋にはリアン以外に誰もいない。

 なのにリアンは声を


「誰もいないなんて、嘘だ。君はまだ、そこにいるでしょ?」


 ……カップとソーサーが打ち合う音がした。


「さぁ、今こそ明らかにしようか。君がついたもう一つの(、、、、、)嘘について(、、、、、)

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