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プロローグ:ワールド・エンドA

 私は今、巨大なガラス窓を通して、何もない地平線を呆然と眺めている。

 大地は灰色一色で、見えるものと言えば石と岩だけ。水や緑は欠片も見えない。

 地平線から上――空は漆黒で、月と星が見える。


「ああ、月があった」

 私の心に、わずかな安堵が芽生えた。月だけは、見慣れたあの月だった。

 月を半分だけ照らしている光は、私の目の前の大地を明るくしている光と同じ場所からきているのだろう。

 つまり太陽。

 ――当然だ。

 今までの経験から、この変化には時間の変動と場所の変動を伴わないことは知っている。

 昨日の続きが今日であり、今日の続きは明日なのだ。

 それは変わらない。


 そして私自身。

 私は、私を見下ろした。

 見慣れない服を着ている。スーツに似ているが、身体へのフィット感や、ボタンやファスナーといった着脱に使用する部品が違っている。

 素材は、……なんだろう。人工的な繊維であろうとは思う。ストッキングのように、引っ張ると伸びるけれど、もっと厚みがあって、当然透けていない。

 右の二の腕に、痛みを感じた。袖の下には怪我がある。その怪我の存在も、私は覚えている。

 ガラスに映る私を見た。

 髪型も、顔も、瞳の色も、私だ。

 昨日の続きであり、明日も続いていくであろう、私そのものの存在がそこにある。


「こんなところに居たのね」

 不意に、背後から聞き慣れない声がして、私は振り向いた。

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