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鬼の刻印  作者: 出口響
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2 火倉神社夏祭り

土曜日の18時。


奈月は、白地に牡丹の花をあしらった浴衣を着て、待ち合わせの火倉駅に来ていた。



(…可笑しくないかな、これ)



火倉駅の改札から火倉神社方面へ流れていく人をみて、時折数人がちらちらと奈月の方に視線を向けているのが目につく。中には、小鬼や尾が二股に分かれている猫も。


(…なんか、視線が…浴衣、変かなぁ)












「奈月っ!お待たせ!可愛いじゃん、浴衣姿。ね、孝くん」


突然後ろから声をかけられ、身体が跳ねる。




「…びっくりした。綾かぁ。浴衣姿可愛いね。…あ、孝くんもこんばんは。ごめんね、せっかく2人で来れたのに私が邪魔するみたいに来ちゃって」

「いいよ、僕も3人で来たかったし。奈月ちゃん、浴衣似合ってるよ。可愛い」



孝に誉められ、顔が熱くなる。

孝は綾と腕を絡ませながら、にこやかに笑った。




「ちょっと、私の奈月を口説かないでよね」

「ごめん、ごめん。つい。…混んできたみたいだよ。神社の方に行こう?」



孝に勧められ、流れるように神社の方に歩き出す。


(お似合いの二人だなぁ)


浴衣で歩く後ろ姿の綾と孝をぼうっと見つめて歩く。すると2人と奈月の間には、人が流れ込み2人は人影から頭しか見えなくなってしまいそうになる。


(…迷子になりそうだなぁ。…でも、邪魔しないですみそう。後でスマホかけようかな)





…迷子。そういえば、あの時も迷子になったなぁ。



おばあちゃんと温泉に旅行に行った時、周辺に川と竹林しかなくてコンビニや小さな町の商店さえなかった。


でも、満天の星空に飛ぶホタルが綺麗で追いかけてたら竹林に迷い混んでた。

ホタルさえ来ないような、暗闇に入り込んでしまって、鈴虫の声もカエルの声も聞こえなくて泣いてしまったんだっけ。










でも、どこからともなく行灯を持った浴衣を着た男の子が来ておばあちゃんが来るまで慰めてくれたっけ。

…別れるとき、わんわん泣いた気がする。




なんか、恥ずかしいことまで思い出した…



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