1話 帝都での再会
のんびり更新していきます。
よかったら読んでください。
僕はトロン、9歳だけど、もう少しで10歳。
これでもレルバングル騎士伯の長男です。
自覚ないけどね。
なぜって、僕が現在住んでいる、ビウェン魔導帝国の帝都アルサシナには6歳になったすぐに来た。
旅の途中、偶然通りかかった帝国の統治する魔法石鉱山で大事故に遭遇し巻き込まれたが、僕の祖父と祖母により解決したことと、祖父タロクは鍛冶師として有名、祖母ノリョーラは魔法具士と魔導魔法士として有名であったため、騎士の称号を与えられて貴族となった。
そんなタロクも去年、病で亡くなった。父と母は僕が4歳の時に魔物に襲われて死んでしまったと聞いている。
だから今はノリョーラと僕の二人暮らし。
今日は1年に1度のお城で皇帝陛下にご挨拶と依頼されていた魔法具を献上する日です。
この帝国にはすごい魔法具を作る人がいっぱいいるけど、僕のノリョーラはその中でも2番目にすごいらしい。僕には全く分からないけど。
ノリョーラが皇帝陛下とお話ししている間、僕はすごく暇だからお城の練習場で、ノリョーラから教わっている魔導魔法の練習をしていた。
この世界には魔導魔法、精霊魔法、聖導魔法、邪導魔法の4つだといわれている。
魔導魔法は魔導力に火風水土の属性を付与し人や魔物、建物や自然物を破壊するが、威力があっても火の魔導魔法によって木が燃えたりはしない。
人や魔物、自然物にも属性があるので相性が作用する。
あと擦り傷などのケガを回復させたり、空間を操ったり、声に出さずに会話したり色々とできる。
精霊魔法は、精霊の力を借りて自然現象を起こす、例えれば精霊魔法なら木を燃やすことができる。
聖導魔法は擦り傷から病気まで治療できる。
精霊魔法士によってどこまで治せるかが違ってくる。
あとゾンビやレイスといったモノを浄化したりもできる。
邪導魔法は死体をゾンビに作り替えたり、魔導魔法はその中で僕が今使えるのは初級ではあるが魔導魔法と精霊魔法。
聖導魔法と邪導魔法は適性があるのかわからない。
師事を受けたことがないからまったくわからない。
僕は魔導魔法の訓練をしているが魔法の制御がうまくいかない。
なんかみんなよりも魔法の威力が弱い。
ノリョーラからは訓練で自分の中にある魔導力を一気に放出する訓練を地道にしないといけないって言われてる。
そのうちみんなぐらいの威力になればいいなと思ってる。
魔導力自体は多い方らしいので結構な時間を訓練場で過ごしたけど、まだ少し時間があるからお城で一番好きな場所で時間を潰すことにした。
普段は全く人が来ないって部屋で、精霊の部屋ってところ、落ち着くんだ。
でも去年は同じ年のかわいい女の子が隠れてて、ずっとお話しちゃった。
どこかの貴族の女の子だろうと思う。
貴族は毎年同じ日時で謁見するから今年もいないかなと少し期待して向かった。
「今年はいないか・・・」僕は小声で呟いてしまった。
期待してたけど、いる確率はすごく少ないから。
ま、ここでも落ち着いて魔導魔法の練習をしようと空間魔法を展開しようと精神を落ち着かせていると、去年も会ったかわいい女の子がすごい速さでやってきて物陰に隠れた。
僕はびっくりした、次の瞬間に
「こちらにお嬢様が来ませんでしたか?」とメイドさん達に聞かれ、僕が
「来ましたよ。」と答えよとしたとき、『来ていないって答えて』とその女の子から会話の魔導魔法が飛んできた。
「き・・来ていませんよ。」と少し慌てて答えたから挙動不審ぽかったけど、メイドさん達も焦っているらしく気づかずに走って行ってしまった。
「話を合わせてくれてありがとうございます、って去年もここで私とお話ししてくれた方ですね。」と、かわいい少女は僕のことを覚えていてくれたらしい。
すごくうれしい。
「はい、今年もお会いできて嬉しいです。僕はトロン9歳、4年前から帝国で騎士の爵位を頂いた家の長男です。今はおばあちゃんと二人暮らしで魔導魔法の練習と、鍛冶と魔法具を作る勉強してます。」
「私はシーユスラトロンさんより1歳上で、えーと私も騎士伯の家で長女です。魔導魔法でケガを回復させたり、聖導魔法で治療や除霊をしたりしてます。」・・・私、家柄は嘘言ってます。
私に気づいてないようなので。【また前みたいにお話しして、今回はお友達になってほしいな。本当はこの帝国の第一皇女で封印の聖女と言われているなんて言ったら絶対に驚いて逃げちゃいますよね、ちょっと気が弱そうですしね。】と思った。
シーユスラは髪が長いが縛っていない、顔は少し幼い感じだが知的な美少女で、身長は僕とあまり変わらないが、年齢の割に?胸は大きい。
そして優しいので、すごくモテるだろうと僕は思いつつも、一目ぼれに近い感じの好意を持っていた。
1年越しの自己紹介が終わり、それから1時間ほどお互いの近状、修行や魔法について話していると、僕はふと気づき、
「この部屋って精霊達の力を少し感じるけど、呼べるのかな?」
「呼べると思いますよ、精霊の部屋って言われてますし、私は精霊魔法はできないので呼べませんが、トロンさんは精霊魔法が使えるのですか?」
「僕は以前住んでいた町の近くに精霊達が住んでいたので友達がいるんです。レーシーって言いますが、森の中で薬草を一緒に探してくれたりする友達なんです。」
「精霊様とお友達でいらっしゃるんですね、すごいです。私も精霊様とお友達になりたいです。」
「精霊と会うには運ですからね、会えるといいですね。冒険者になって探しに行くのもありですね。」
「私が冒険者になるのは難しいでしょうね、戦闘には向いていませんし・・・。」
「でも、聖導魔法の治療や除霊ができるならパーティーに欠かせないですよ。もし、僕が冒険者になってパーティー組むときは誘ってもいいですか?」
「誘って頂くのは構いませんが・・・。」とシーユスラは返答に困っていると、トロンはノリョーラから会話用魔法具で家に帰る連絡を受けた。
「うーん、おばあちゃんの謁見は終わってしまったから帰らないといけないです。もしよかったらこの町に住んでいるので、また会えたらうれしいな。これ、会話できる魔法具、もしよかったら連絡ください。シーユスラさんは忙しそうだからシーユスラさんの都合がつくときに連絡ください、僕待ってますね。」
と僕は魔法具を無理やり渡し、
「今日ここで再会できて凄く嬉しかった。シーユスラさん、またね。」
と顔を少し赤らめて言って、そして城門の方走りだした。シーユスラは顔を赤らめたトロンを見て動揺し、別れを告げられないまま目で見送っていると、メイド達に見つかり部屋へ連れ戻されていった。
誤字などありましたら教えてもらえると嬉しいです。