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性格以外完璧な美少女が一人の男に恋をしたら  作者: 黒兎
第1章 美少女との出会い
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5話 趣味と料理と

次の日、6月3日(水)

私はいつもの朝を迎える。私の朝はまず、着替えから始まる。今着ている服を脱ぎ、桜ヶ丘の制服を着ます。最近暑くなってきたので夏服です。夏服だと胸、結構目立つし視線が集まりそうです。男子はバレないようにこっそり見てるつもりでしょうけど気づいてますからねと言いたくなります。シャツを着て、チェックのスカートを着る。実はこのチェックのスカートは結構気に入っている。最後にリボンをつけて、


「うん、完成です♪」


いつもの朝、いつもの制服。何も変わっていないはずなのにいつもと違う不思議な感じ。それは私がお弁当を自ら作っているからでしょうか。料理なんてしないので四苦八苦してると、通りかかった沙耶さんがそばに来た。

「あら、珍しいですね、どうされたのですか?」

「へ?あ、いえ、これは、その……」

「彼へ作ってあげるのですか?」

「えーと、その。」

ええ、まさにその通りです。ですが、その、何か恥ずかしくて。

「ほら、そこ。手を丸めないと危ないですよ。」

「あ、は、はい。」

「ほら、油を。はい、そうそう。きちんと焼けるまで待って。」

いつの間にか沙耶さんに色々教えてもらいながら作っていた。おかげでそれなりには作れたと思うのですが……。

「うん、大丈夫だと思いますよ。頑張ってきてくださいね。」

「え?何を?」

と聞いてから何となく気づいた。何を頑張ってくるのか。それを理解してから少し顔が熱くなる。

「だってこれ、二人分でしょう。ってことは渡すのですから。」

「わかった!わかったから!これ以上言わないで!」

沙耶の言葉を無理やり遮る。沙耶はくすくす笑いながらも、きちんと学校行く準備をしてくれていた。

時計を見ると7時15分。

学校の予鈴には十分早いが家を出る。


「行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」


お母様がいつものように私に返事をした。沙耶はニコニコこちらを見ながら手を振っている。全く、あの顔は何か企んでいる顔なのですが。警戒しておいたほうがよさそうですね。


「こちらに車を準備しております。どうぞお乗りください。」


紫雲さんが必ず登下校の運転をしてくれる。相変わらず準備がいいですわね。


学校に着きました。今は7時50分。予鈴は8時20分なので少し早い。外を見るとランニングをしている、恐らく部活の朝練でしょう。私は部活に一応所属していますけど、文化系なので朝は別に活動する必要はありません。運動は、得意ではあるのですが、部活で時間を取られるのは嫌なのです。私が所属している部活はその辺りかなり緩いので良い。今日は放課後佐藤くんを誘って部活に行こうかと思ってますので、また後で詳しく話しますね。

ただ朝練している人達を眺めるのも飽きたので教室内に視線を戻す。


少し人が増えて来た。ふと目があった子が居たので暇潰しに話しかける。それは偶然にもこの間気にして名前を覚えた井口大輔くんだった。


「えっと、井口くん……でしたわよね。」

「おう。早乙女さんが人の名前を覚えてるなんて珍しいじゃないか。ま、俺の変な意味での有名度を考えれば覚えてしまうか。」

「えぇ。井口くんって佐藤くんと仲良いのですか?」


この間授業中に気になったこと、佐藤くんの交友関係。ある程度は把握したい。


「おう。小学校からの付き合いでな。あの頃からずっと変わってねぇ感じだよ。俺はいつからかな。あいつにロリコンロリコン言われるようになったのは。」

「5歳以上年下じゃないと恋愛対象から外れるんでしたっけ?」


人伝いに聞いた朧げな記憶を辿り、思い出したこと。これは合っているはずです。


「おう。勿論早乙女さんは美人だと思うがな。だがしかぁし!やはり巨乳より貧乳!大きいより小さい!小さきものは美しきかな!これだけは譲れない!だから早乙女さんでも恋愛対象外だっ!」

「は、はぁ……。」


なんだかスイッチを入れてしまったみたいなので騒いでいる井口くんに適当に相槌を打っていると、こちらへ人が近づいて来ました。


「おう彩。約束通り少し早めに来たぞ。」


それは佐藤くんでした。良いところに来ましたわ。


「あ、佐藤くん。井口くんの相手してあげてくださいな。」


佐藤くんに丸投げする。付き合い長いみたいですし、対処方法も知ってるでしょう。

井口くんをじっと見て何か察した感じで呆れた顔しつつ、頷いた。


「なぁ遼!お前も小さい方が可愛いだろ!?」

「あぁ、成る程……彩、大輔に幼女についてでも話しただろ。少しでも幼女が話題に触れたらこいつはこうなるんだ。」


つまり井口くんにそういう系の話題は少しでも触れちゃいけないって事ですのね。どれだけ年下の女の子に執着心あるのよ。趣味は人それぞれですからいいんですが……私もここまでとは言いませんが自分の趣味に素直になれたらなと少し羨ましく思った。


「ま、こんなやつだけどさ。俺の親友だから悪く思わないでくれな?」

「え、えぇ。」


予鈴がなり、担任が来て私たちは席に座る。各人の名前を呼んで出席を取っていく。

その間隣の佐藤くんが気になってちらちら見ていたら向こうに気づかれてしまった。ニコっと笑いかけてきたが、私は顔を背けた。

「はい、今日も全員いるわね。いいことです。では、今日も1日、頑張りましょう。」


朝のホームルームが終了して、1限が始まった。


1限目は数学。相変わらず佐藤くんがかなり戸惑っているようで私が手取り足取り教えてあげた。理解力はいいのか私が教えたらすぐにわかってくれる。これだけ理解力あるのに何で先生の説明で理解できないのかって聞くと、先生の教え方よりも私の教え方の方が分かりやすいそうです。よくわかりませんが。


2限目、体育。水泳が今日から始まる。私がスクール水着でプールサイドに行くと、露骨なくらい私に視線が刺さる。男の子たちがじっと見ているのは気づいています。男子の視線を独り占めしているので少し優越感がある。男子はエロい視線ですけど女子からはその視線を理解しているので悔しそうに私を見ている。羨望と嫉妬が入り混じった視線。


「やっぱ早乙女さんスク水だと半端ねぇぞ。」


男子たちが騒がしくなったのを先生が苦笑いで止める。先生も男なので仕方ないのがわかってるって感じの止め方です。

一方女子は、男子に対する軽蔑の言葉の言い合いが始まっている。


「うわ、あいつみてよ。デレデレして。気持ち悪い。」

「ほんとよねー。性欲に忠実ですって感じ。」


実は去年も似たような感じになって居たので最早これは恒例の事となっています。

私が泳ぐたびに男子がじっとこちらをみているのを感じながら授業は終了した。


昼休み

約束通りに私は佐藤くんに手作りのお弁当を持ってきた。それなりに良いと思いますけど。


「約束通り作って来ましたわよ。さあ、食べてくださいな。」

「おう、んむ。ん、美味い!」


喜んでくれているのを見て私はホッとする。


「メイドに教えてもらい、頑張って作ったので。」

そう、しばらく料理を教えてもらっていたのです。どうせなら美味しく食べてもらいたいですし。

「そうか。彩が俺の為に練習して作って来てくれたってだけで嬉しいよ。」

「ふ、ふん。別に佐藤くんの為じゃなくて、どうせなら美味しく作ろうと思っただけよ。」

「はは、そうか。ありがとな。」


彼の嬉しそうに食事している姿を見て、今度は自分の力で作ってみたいなと思った。


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