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性格以外完璧な美少女が一人の男に恋をしたら  作者: 黒兎
第1章 美少女との出会い
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11話 お家訪問1

遼くんの家に行くことになったので、紫雲さんには1度、帰ってもらうことにする。電話で伝えると、了解しました、帰る時に言ってくださればこの間お送りしましたのでお家の場所は知っていますからそこへ迎えに行きますとのこと。

「紫雲さんには1度帰ってもらうことにしましたから心配しなくて大丈夫ですわよ。」

「おう、そうか。わかった。ならゆっくりしても大丈夫そうだな。」

いつもの帰り道、分かれ道をいつもと違う方向へ曲がる。私はあまり外出しないので周りの風景が少し違うことに新鮮さを覚える。でも、それよりもこれからの事が気になってそれどころではなかった。

「んー。少し歩くが、大丈夫か?」

「大丈夫ですわよ。どれくらいかは分かりませんけど。」

だいたい体感的に30分くらいかしら。それくらい歩いてようやく着きました。

「遠いですわね。いつもこの距離を歩いてますの?」

「ああ。別に苦じゃないしな。部活入ってないから良い運動ではあると思ってるよ。」

遼くんが平然としているのをみて正直驚く。彼はもっと体力ないように思ってましたから。

遼くんの家を見ると、周りと同じ感じの、普通の一軒家だった。2階があり、おそらくですけど感じ的に遼くんの部屋な気がします。

遼くんが家の鍵を開ける。入っていいぞと許可をもらったので、中へ入ると、遼くんのお母様?がこちらへ歩いてきた。

「遼、お帰り〜。あら?えーっと。」

側にいる私を見つけて、少し考える。恐らく来客の約束があったか思い出してるんでしょう。勿論約束なんてしてませんから、私から話を切り出す。

「あ、えっと。遼くんとお付き合いさせてもらっております早乙女彩と申します。突然の訪問ですみません。」

私が頭を下げて挨拶とお詫びを言うと、遼くんのお母様が固まってしまいました。どうしたのでしょう……。



「ちょっとあなた〜!遼が彼女を連れてきたわよ〜!」

突然、叫び、奥の部屋へ走っていった。

「ちょ、か、母さん!」

遼くんのお父様までこちらへ来ました。ほうこれは、と、遼くんのお父様が私をじっと見つめて、呟き頷いた。

「ま、とりあえず上がりなさい。」

「はい。」

遼くんのお父様に居間へ案内される。そこには机の上に、今から料理するであろう食材が置かれていた。

「もう、連れてくると先に言ってくれてたら四人分用意したのに。あ、でも確か。」

何か思いついたのか、遼くんのお母様はキッチンへ走ってい来ました。

「さ、ここへ座って。」

「はい。」

椅子へ座り、改めてお父様と顔を合わせる。じっと見られると緊張しますね。

「ふむ。中々の美人じゃないか。遼には勿体無いレベルだな。」

「え、と。その。」

何かを言いたいのですが、緊張して言葉が出てきません。どうしましょう。今までこんなに緊張する事なんて無かったのですが。

こう、私のお父様みたいな、男の人特有の圧力というか何というか。そういうのが感じれて……。

「そんなに緊張しなくていいよ。父さん、威圧が凄いけど今更威厳出してどうするのさ。彩が緊張して可哀想だからいつもの感じにしてくれよ。」

遼君が私が緊張しているのを察してか、手助けしてくれた。え、今更?

私が疑問に思っていると、遼君のお父様が突然やわらかい雰囲気になり、すっと圧が今までのが厳格だったかのように消え去りました。


「ははは!それもそうか。」

突然の笑い声に私はびっくりしました。いつもの感じって。まさか、今までのは厳格なふりをしていただけで、こちらが素ということでしょうか。

「すまない、少し真面目にし過ぎたようだ。もっと楽にしてくれて構わないよ。」

「え、あ、はい。わかりました。」

どうやらそのようです。何故わざわざ私の前だけそんなことしたのでしょう。理由はよくわかりませんが、とりあえず緊張する必要がなくなって安心しました。


「しっかし、どうしてこんな美人が遼の彼女になったのやら。遼ってそんなにモテるのか?」

急に話し方が変わったので、いつもの感じ、と言うのはこの事だとわかりました。よかったです。こう、最初はいつもさっきみたいな重い雰囲気なのかと思いましたから。

「んなわけ。俺はそんなにモテないどころか彼女できたの初めてだよ。」

遼君は少し照れながらやれやれといった感じで返す。私からしたら別にモテなさそうには見えないのですが。

「運がいいなぁ。こんな子に。」

私の顔を見ながら嬉しそうに言う。美人とは言われ慣れているのでもうお世辞みたいなものだと思っている。いちいち反応していたらきりがないとわかったので。

「よし、出来たっと!あなたー!遼ー!ご飯出来たから運んでー!」

遼くんのお母様の声が聞こえると、二人はキッチンへ入っていった。私も手伝いたいのですが、どうすればいいのか分かりませんし、大人しく待つことにします。

机の上に次々と料理が並んで行き、途中で四人分なのに気づく。人数的に私のまで作ってくれたみたいです。

「あの、これ。」

私が明らかに私用として用意された分を見ながらつぶやく。

「ちょうど冷蔵庫にもう一人の分あったのよ。だから食べてって!」

それを見て、遠慮していることに気づいたのか、慌てて大げさにフォローしてくれた。

「ありがとうございます。」

せっかくなので、素直にお礼を言う。

「で、えーっと、早乙女さん、でいいのかしら?どちらが告白したの〜?」

そんなことよりも恋愛話のほうに興味津々なのか無理やり話を繋いで聞きに来る。

「え、と。私ですわ。」

どうせばれるので素直にいう。事実、おそらく想像されている形とは違えど私から言ったのは確かだ。

「やっぱり。遼から告白して成功するわけないくらい美人だからそうだと思ったわ。」

「その言い方酷くないか!?」

遼くんが流石にショックを受けたのか、抗議する。しかし、遼くんのお母様は華麗にスルーして話題を変えました。

「今気づいたのだけど早乙女って確かこの辺りの大富豪の苗字だったような。雰囲気もお嬢様だし。えーと、まさか?」

そのまさかなんですが、どう反応したらいいのでしょう。はいそうですと言っていいのかしら。

「ああ、そのまさかの彩はお嬢様だよ。桜ヶ丘は格差が凄いが、その中でもトップクラスのお嬢様。」

悩んでいると、遼くんがあっさり答えた。隠す理由もないですしまぁいいのですけど。ただ、それでだいたいの人間は態度が変わるのであまり言わないようにしてる。こう、よそよそしくなるのです。権威を前にした人って感じです。

「ほんとどうして遼の彼女なのかしら。格が違うじゃない。」

「いや、もうすこし自分の息子を評価してくれよ。流石に酷くないか!」

遼くんの2度目の扱いの酷さへの抗議。これもスルーされる。流石に遼くんが可哀想に思えてきましたわ。


「相手から惚れてるのならそのまま捕まえちゃいなさいよ。2度とそんないい相手できないわよ。」

捕まえるって、まさか、あの、そう言う意味では……。考えすぎですわよね。

「捕まえるって!んなこと高校生で考えるのはおかしいって!」

「いい相手すぎると思うんだけどなぁ。ね、あなた。」

「そうだな。遼、そのまま卒業まで付き合って20歳くらいで結婚したらどうだ。」

「父さんまで!恥ずかしいからやめてくれ!」

これ以上遼君を弄るのもと思ったのかお二人がそこでやめる。

「はっはっは。冗談だ!」

「ふふふ、まぁ恋愛を楽しみなさい。」

結婚、やっぱり捕まえるってそう言う意味ですよね。私と遼くんが結婚……。あう。恥ずかしい想像をしてしまいました。

(何想像しているのですか!遼くんの御両親も冗談だと言ってるじゃありませんの!)

慌てて頭の中の妄想をかき消す。

「遼、お相手は満更でもなさそうな反応してるわよ〜?」

遼くんのお母様に表情を見られる。どうして女の人には気づかれちゃうのかしら。

「ああ、もう!とりあえず食って終わったし、俺の部屋へ案内する。彩、いこう。」

遼君が逃げるように私の腕を引っ張りながら出ていこうとする。

「え、ええ。」

私もこれ以上居ると恥ずかしい話になりそうですし、私も急いで部屋を出る。

「遼、しっかりな。幻滅されないように頑張るんだぞ!」

「羽目外してやっちゃわないようにね〜!気をつけなさいよー!」

後ろから凄く生々しい注意が聞こえた気がしますが聞こえないふりをしておきましょう。ええ、何も聞こえてませんわ。

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