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第2話 異世界でも裏方かよ


 異世界転移した!

 よく分からんがそういうことらしい!


 それで通じるよな?


「やったぜ」


 周囲を見回すと森の中だった。

 他には何も見当たらない。学校も住宅街もない。

 というか建物が見当たらない。どこまで見渡しても木だらけ。


 普通は現実世界の森の中で何故か目覚めた、と考えるのが普通だろう。

 だが俺はこの状況だけで瞬時に理解できた。

 俺はトラックに跳ねられて異世界転移しちゃったらしい。きっとそうだ。


 そうであってほしい、という願望も込み込みだったからか、やけにすんなり納得できた。

 こういうときオタク文化に通じていてよかったと思う。あのリア充どもにこれほどの順応性はあるまい。


「しかし神様も説明もなしかよ」

 いきなり放り出されたわ。不親切すぎないか?

 せめて見晴らしのいい草原とかをスタート地点にしてくれればいいのに、なんでこんな森のど真ん中なんだよ。


 いきなりモンスターとエンカウントとかやめてくれよマジで。

 ――そう願っていると、遠くから爆発音が聞こえた。


「うおっ!?」

 え、まさかもうどっかでバトル起こってる!?


 見晴らしがよくないので耳を澄ますと、遠くの方で何やら騒ぎが起こっているような気配を感じ取れた。

「嘘だろおい。こちとら何の準備も出来てねえぞ!」


 急いで状況を確認する。

 トラックに跳ねられた時点での装備でこっちに来たらしい。

 学ランにバッグ。それが俺の持つ全てだった。


 バッグの中身も確認する。

 大したもんは入ってない。

 武器になりそうなものもない。やべー。


「てかそもそも俺は戦えるのか?」

 まさか非戦闘員の村人Aとして転生したんじゃねえだろうな。

 クソ、やっぱ神様ガイドいるって絶対!


 とりあえず自分のステータスが知りたい。

 何か集中すればステータスが分かるとかねえかなあ。

「集中~……集中~……」

 やってみた。


 できた。

「うお、見えた!」

 人間やればできるもんだ。



 名前:北条翔ほうじょう かける

 職業:白魔導士

 レベル:1

 攻撃力:10

 防御力:8

 すばやさ:10

 魔力:15

 習得済みスキル:

 ・攻撃力増加・小(パワーアップ)



「……しょっぱ」

 は? マジふざけんな?

 てっきり魔法剣士とかカッコイイ職業かと思ったのに白魔導士て。

 なんでよりによって支援職なんだよ。

 異世界来てまで裏方とかやってられっか!


 しかもなんだよ『攻撃力増加・小』って。ソシャゲのノーマルキャラが持ってるスキルかよ。チートスキルよこせ!

 レベルもステータスも低いし、マジで本格的にハードモードな異世界に来ちまったのか?


 俺の不安を煽るように、遠くから戦闘音がドンドコ聞こえてくる。

 やばいって……。

 こんな状況で戦闘になったら誰が相手でも瞬殺されちまう。


「どうすんだこれ……」

 とにかく今必要なのは情報だ。

 ぶっちゃけ戦闘力よりも欲しい。武器がない以上に情報の不足が危険すぎる。本当の意味で丸裸も同然だ。

 と、その時。



「きゃああああ! 助けてくださぁい!」



 悲鳴!? しかもこれは女子!

 結構近い。なんかトラブルの予感がする。

 逃げよ。


「いや、待てよ?」

 声の感じでは美少女の気配を感じた。

 これはメインヒロインのフラグが立ったのでは?


 ここで確かめないのはもったいないかもしれない。

 まだ女の子の悲鳴が聞こえただけだ。やばいモンスターに襲われてるとも限らない。もしかしたら落とし穴にでもハマっただけかもしれないしな。


「ちょっとだけ様子見てみるか」

 条件が悪ければそっと引き返せばいいだけだし行ってみるか。


 強そうな敵がいたり、声の主が美少女じゃなければそっとその場を去るとしよう。

 そうさ。俺は現金な奴なんだ。


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