つまらない僕は、やっと夕食を食べる。
近くのバス停からバスに乗り、南福岡駅まで向かい、南福岡駅から約三十分かけて香椎駅で降り、そこから乗り換えて約十分かけて長者原駅で降りる。
そこから徒歩十分離れたところに先程の通話相手「茅間愛彩」の居る孤児院へと向かう。
「愛彩さーん!飯食いに来たんだけどー。」
玄関の扉を開けるのと同時に渚月は、大声を出した。
「シーッ!コラ、なっちゃん!みんな寝てるんだから静かにして!」
渚月の大声に反応した愛彩が、慌てて渚月を叱った。
「あ、そうだった。ごめん。」
「謝ればよし。おいで、ご飯できてる。」
茅間渚月は、幼い頃に両親を無くしている。
そんな彼を預かったのは、孤児院を持つ渚月の母方の祖母だった。
少し前までは、孤児院に渚月と祖母と叔母の愛彩3人で直接生活していたのだが、今は、孤児院より少し離れたアパートに渚月と祖母が住み始め、孤児院は愛彩と愛彩の紹介で働いている「今岡 義継」の2人に頑張ってもらっている。
そして今日は、祖母はバスツワーで京都に行っているため、久しぶりに孤児院に来いと愛彩から呼ばれていたのだ。
「今日は、なんで春日市なんか遠くに行ってたの?」
渚月が座るダイニングテーブルに料理を盛った皿を起きながら愛彩が渚月に問いかけた。
「いや、担任に頼まれたんだ。休んでる人にプリントを届けに行って欲しいって。」
(まぁ、休んでる人っていうか入学式からきてない時点で登校拒否の人って言った方が正しいんだろうけど。)
「もっと春日市に近い人居たんじゃないかな?なんで、渚月なんだろね。」
「席が隣だかららしい。」
(あぁ、理不尽な理由だなぁー)
少し拗ねた顔でテーブルに並べられた料理に向け両手を合わせて一礼する。
「そっかぁ、大変だったね。」
「それなりにね。お、これ美味しい。」
並べられた料理の1つの味噌汁を飲みながら渚月は、返答する。
「愛彩さん。先に寝ていいよ電気とかちゃんと消して帰るから。」
「そっか、じゃあ遠慮なく寝させてもらうね。」
孤児院とは、忙しいもので子供たちの朝食などその他諸々で朝が早いので渚月が愛彩を心配し先に寝てもらうと思ったのだ。
以前暮らして居たため、電気の消し忘れなどは心配ないので、愛彩は後のことは渚月に任せ寝室へ向かう。
(愛彩さんが、あの調子だと多分。義継さんのアタックは、まだ無しか…。)
愛彩の紹介で来た義継は、大学で愛彩に一目惚れしてから愛彩を追いかけるようにこの孤児院に来たのだが、全く決心がつかず、もう五年間も経つ。
勿論、愛彩は義継の一途な想いに気づいており辛抱強く待ち続けている。
「ご馳走様でした。」
両手を合わせて一礼し、食器を片付け、部屋の電気を消し、窓や戸の開け閉めを確認し、渚月は孤児院を後にした。