川咲さんは、喋らない。
「こ、心の声って……な、なんだ?」
(心の声は、心の声だよ!)
美玖は、焦るように言った。
「心の声?そんなもの聞こえるわけないだろ。」
なんだこいつ。
さっきから、普通に話してるはずだ。
いきなり、心の声とか……意味が……わから……な…。
待て。
江藤さんは今まで口を動かしていたか?
いや、動かしていない……。
(君、独り言多すぎ。あと、君が考えてる通り私一言も喋ってないよ。)
「心の声が聞こえるって……考えてることが聞こえんのか?」
(そう)
美玖は当たり前のような顔をした。
「そんな人いるんだ……。」
渚月は、あまり反応せずに上を見上げていった。
(君、バカなの?それとも感情を表に出さないの?)
美玖は、不思議そうにこちらを向いて言った。
「いや、感情を出さないんじゃなくて出せないんだ。てか、バカは悪口だ。直接相手に問いかける言葉じゃない。」
渚月は美玖の質問に対して丁寧に答えた。
(う、うるさい…。それより、心の声を聞いたことないの?)
「しつこいなぁ…ないよ。」
(なのに私の声は聞こえるの?)
美玖は、首を傾げて聞いてきた。
「だな。」
(よし、ついてきて。)
そう言って、美玖は俺の手を引っ張った。
「ちょ!ちょっと!」
渚月はそう言ってその手を振り払った。
(なんで拒むの?)
美玖は首を傾げた
「いや、何処へ行くつもりなんだ?そして、何をするんだ?」
(この異常事態を解決しなきゃいけないと思う。)
と、思うって。
(明日も学校が…。)
と思い時計を見ると、8時を過ぎようとしていた。
(学校なんて私、大っ嫌い!!!!!)
あ、そうだった聞こえるんだったな。心の声…。
「いや、お前の好き嫌いは聞いてねーよ。」
(第一に!学校なんか行ってなんの役に立つの?)
「社会に出た時役に立つだろ…。」
(……い…いいから、ついてきて!)
(ほかにいいわけ思いつかないのし、予定もすることもないからついて行こうかな。異常事態なのは確かだから。)
(聞こえてるから)
(…あ……はい。)