小指には紅い糸を
人間は運命の赤い糸があるという。
なら、それはいつからあるの?
それは、七歳になった時に現れる。
人には、赤い糸があるという。
運命の人と繋がっているその糸は、生まれながらにしてあるのではない。
七歳の誕生日を迎えた時、現れるのである。
「さーてと、今日は来るのか?」
僕は、神社の前にいる狛犬、となるべく今はまだ修行中の犬です。
吽形お兄ちゃんのようになるべく、修行をしているけれど、まだまだ僕にはなれない。
そんな僕の趣味は、この神社に来る人間たちを見ること。
その中でも楽しいのは……。
「この子も、無事七歳となりました。いつも見守っていてくれてありがとうございます」
「ありがとーございます!」
「さぁ、行きましょ」
「うん!」
「七五三のお参りは、また今度だけど、今日でお誕生日だからね。ちゃんと神様にお礼を言わないとね」
「うん!」
あの子、七歳なんだ。
あの子の小指をよーく見ていると、薄い赤い糸が見えてきた。
出てきた、ついて行こう。
七歳の誕生日、そして生まれた時間になると、こうやって赤い糸がしゅるしゅると伸びていく。
この赤い糸について行くのが、僕の趣味。
どこに行くのかなー?
僕は神様のお遣いとなる身、普通の人間には見えない。
たまに見える人間もいるけど。
ん? ここは、病院?
糸はどこに行くの〜?
……ここは、新生児室?
たくさんの産まれたての命がある。
赤い糸は宙に浮いたまま、漂ってる。
そっか、まだ繋がれないんだね。
この子たちの誰かが、七歳になった時、きっと繋がれるよ。
大丈夫、赤い糸はきっと繋がる。
それまで、切れないでいて。
さーてと、早く帰らないとみんなに怒られちゃう。
#いいねされた数だけ書く予定なんてひとつもない小説のタイトルを言う というタグより。
「小指には紅い糸を」でした。
運命の赤い糸は、いつどうやって生まれるんでしょうね?
このお話は、七歳で赤い糸が生まれます。
なぜ、七歳かというと、昔は七歳までは子供は神の子とされていたので、その神様から離れる時に、神様からの贈り物として赤い糸を貰っていたら? というように考えました^^*
この狛犬の修行をしている子は、帰ったらきっと兄弟子たちに怒られてると思います笑
神社の狛犬はシフト制だったら、面白いのに。
なーんて、思って狛犬になれるのも修行が必要だったら、可愛いな。