どっちが好きですか?
「えー、現在4月15日、時刻は15:12、場所は小体育館の前、どうぞー!」
「何を言っているのかわかりませんが、さっさと覚悟を決めて中に入りましょう、白茅さん。」
「お、おう...」
現在は15:12...っていうのは言ったな。要するに、俺と咲穂子は小体育館の前──卓球部の活動場所の前にいる。
「白茅さん、まさか怖気付いたわけではないですよね?...よね?」
「別に怖気付いてるわけじゃねーし?あとその口調はやめておいたほうがいいよね!」
よし、ここは覚悟を決めて目の前にあるドアを開けるしかない!だってこれを乗り切ったら彼女が──
「おーっす!!!ちーがぁやぁー!!」
「オオッふ!」
背後からの野太い声のせいで、おもいッきり自分の顔をドアに突っ込んでしまった。イッテェ...
「こんにちは、”慈本寺”先輩。」
「ういーっす、今日も美形だねぇ、柊利ちゃん!」
「先輩のその筋肉の奇形には勝てませんよ。」
「そうかぁ?」
俺の目の前でマッスルポーズをキメ始めた。この
ムキムキな男は慈本寺武臣、こんな脳筋だが我が卓球部の部長である。
「ちょ、ここでマッスルフルコースはきついですよ!慈本寺先輩イ!」
「なんだぁ、白茅!全然部活こなくて俺のフルコースを全てみていないくせに何を言うかー!!」
「うぅ〜〜!ずみませんがら飛びつき十字固めはやめでぇぇ〜〜!」
「まあ、白茅が自ら部活に来るだけでも頑張ったところだな!さっさと小体育館入るぞ!ちがやぁ、柊利ちゃん!」
こんなゴリラでも人情があるところが、言葉には出さないが俺は尊敬している。
まあ、中学生時代からの付き合いというのもあるがな。
「白茅さん」
「ん?どうした改まって」
咲穂子は澄んだ綺麗な瞳でこっちを見てくる。
「”あなたは部活も...私もすきですか?”」
「〜〜ッッ!?」
え、これは君が好きだよ♡とか言うのか!?口説くのか!?口説いちゃうんか!?
「え、これってど、どういう──」
「.....覚えてないんですね。」
「なにを──」
「さぁ、戻りましょう。私たちの部活へ」
咲穂子は俺の手を強引に引っ張り俺達は小体育館へ入っていった。
結局、それ以降は何も答えてくれず、さっきの発言は謎に包まれてしまった。
まあ、いっかな。
美島の自己紹介は次回に遅らせていただきます...