プロローグ
今は放課後。
今はもう夕方の6時だというのに夕日の光が入り込む体育館。
今は「俺」が卓球をしている。
「俺」が真剣に、楽しく卓球をしている。
『ほほほほう、なかなか良き回転をかけてきますね!さすが我ら卓球部の副部長でっっす!!』
自分の居残り練習に「俺」を巻き込みなぜか異常にハイテンションな少女は、我ら風間中学校卓球部の部長であり、たまに厨二病を患う「美島 優理」である。
「それはどうも!これにはなぁ手首のスナップが重要なんだよっっ!」
そして、なぜかこっちもハイテンションで打ち返すこの「俺」「白茅 明日春」だ。
「ハァ...ケホッ...流石ですね明日春くん!」
「ゼェ...ゼェ...発音良く英語で呼ぶのやめてもらいたいんですけど!?」
口も進むがラリーも進む、それに応じてピンポンが卓球の台に当たる音が共鳴してくる感じがした。
本当にそれが心地よかった。
だが、その心地をもう感じることはないだろう。
これは、記憶(思い出)なのだから。
『ペチッペチッ』
「むぅ...やめぇろぉ...」
『ベチッベチッ』
「俺の安眠...の邪魔をしないでくれ...」
『バチンッッ!!!』
「ぎぃやぁぁぁぁぃ!」
「やっと私の甘やかで蕩けてしまいそうなモーニングコールに気づいてくれましたか、白茅さん。」
俺に甘やかな[?]モーニングコールをした目の前の美少女は優理ではない。彼女はーーーー
「痛って...どうしたんだ?サキホ...シ...えっと...」
「咲穂子 柊利ですよ。朝のホームルームにも名前を言った気がするんですが...。」
「まあ、そんなことはどうだっていいです。結局午前中は逃げられましたが今度こそ聞かせてもらいますよ。昨日の答えを!」
咲穂子は2人の吐息が交わるほどの距離に縮めてきた。やべぇ、起きて早々心臓ばくばくだよ。
「ご、午前中って言ったって今もまだ午前中だろ?ま、まだ決断は早いんじゃないかな。」
「へぇ...そうですか今あなたが横を向けば窓があります。窓に映る景色はなんでしょうね。青空だといいですね。でも夕日ですよ。午後ですよ。回りの人はみんな帰りましたよ。」
「睡魔って怖いな...」
結果、なんとか言い逃れはできたが明日の放課後までには決めなさいと期限をつけられてしまった。
なんでこんなことになってしまったのだろう。根本的には昨日の放課後っていうのが明白なんですけどね...。
6ヵ月ぶりくらいの投稿です!ぜひ暖かい目で見守っていただけると幸いです。