表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

榊さんはツンツンしてデレデレして情緒不安定

お久しぶりでございます。

実に半年ちょっとぶりの更新になります。

また誤植まみれになる哀れな姿をお楽しみください。

夕刻の頃。


眩しさを訴える眼を細くして一人の女性を見つめる。


その人は問うのだ。


面談の時間がないかと。


話す。

話し合う。

俺と。


なんの因果で?


俺が今返すべき答えは話す事は無いと言う無慈悲な答えだ。


しかし、普段から人を見る目を育んでいるからなのか、大方の予測が出来る。


彼女は、顔は笑っていても、目は、笑っていない。


死んだ眼をしている。


どっかで見た事のある、闇すら慄く深い黒色にそっくりだ。


「いいですよ」


「ちょっ、青娥!」


無意識の間に堪能していた楽しい時間に水を差された事に腹を立てるように柚音が右袖を引っ張って俺を引き止める。


そう、俺は止まりたかった。


止まってその誘いを断るべきだった。


どうも上手くいかないもんだ。


意志ではなく、本能が、行くべきだと言うのだ。


悲痛な事に俺はその本能に逆らえなかった。


きっと、そこで見た紫苑の顔が俺をそこまで動かす原因になったのだろう。


許しを請いたいとでも言う様な申し訳なさを孕んだ顔を見て、騒ついたと言うか、居ても立っても居られなかったと


言うか、兎に角俺は止まらなかった。


掌を気にしていたのか、弱々しく袖を握っていたそれを振り払って___。


「今日は帰れ。また付き合ってやるから」


そうとだけ言って俺は闇を見据える。


適度な距離を保ち、面談の体制を整える。


とは言うものの、立ち話の時点で面談などと呼べる代物ではないが。


まず初めになんと切り出すべきか、悩むものの何一つとして切り出し方が思いつかない。

勿論、そんな俺に志波先生が沈黙を破る。


「この前のアンケートの結果、見せてもらったよ」


「…そういやアンケートについて面談とか、一人ずつやってましたね」


そう言って、志波先生は革のハンドバッグからクリアファイルに綴じられた俺のアンケート調査表を公に晒す。

まあ周りには知人しかいないなら安心だけど。


「…あの、その話って今しなくちゃいけないんですかね?」


「今ほど理想的な状況が無いから今なんだよ」


「そっすか…」


気を紛らわす様な話だが、殆ど紛れる事が無かった。いつになっても口を開かず、自責の念に駆られている様な表情が解けない紫苑と、手を払われ、唖然と立ち尽くしている柚音、いつもと明らかに何か違う声だけゆるふわ志波先

生、そして俺、この状況が理想的とはどう言う事なのか。


張り詰めた空気の中に瘴気が忍び寄っている様な嫌な予感を感じる。


目の前のその人が言いたい事って___。


「…友達、いないの?」


「…いませんよ」


「榊さんと友達なんじゃないの?」


「…ただの付き添いです」


「ふーん、そっか…」


動揺。


不自然な会話の間にそれは現れる。


「君って、澪優梨乃さんに大怪我させちゃったんだってね」


「それと面談になんの関係がある」


志波先生に声を重ねる勢いで口走った。


二人の少女がその醜い光景に反応しなかった訳がない。


だが、そんな事に気付く余裕さえ、俺には無かった。


きっとそれは確信したからだ。


この魔物が、俺たちを潰しにきていると言う事に。


焦りは冷や汗となって背筋と肝を冷やす。

一触即発と言うよりは一人で勝手にビビってるだけの様な、無意味な粋がりのようにも感じる。


「そんな怖い声出さないでよ、私はただ君とお話がしたいだけなんだから」


「だったら帰ってもいいですか?」


間髪を入れない返答に、諦めがついてくれると良いのだが、現実はそうも上手くいかないのだ。


「そうやって逃げるんだ」


「…なんの話ですか?あなたに俺の過去に塩を捻じ込む必要なんか無いでしょう」


後光故に逆光で見えにくくなっている志波先生を振り返る様に見る。

動悸が荒くなり、呼吸すらしづらくなる。


「なんでそんな君にでも四人も友達がいるんだろうね」


「こいつらは友達なんかじゃ無い!」


焦る。


早口に口走った暴言に、二人が反応しない訳も無い。

だが、その程度の変化にすら気づかなかった。


ハッとして、紫苑も柚音も顔を上げる。


「ひっどいこと言うなぁ…」


「うるせぇ、面談する気が無いなら早く解放して…___」


違和感。


今彼女は四人の友達と言った。


紫苑と柚音を除いてそんな奴がいるとすれば、優梨乃と莢斗くらいだ。


果たしてコイツが他学年の生徒の名前を知っているかと言われると、就任して時期も間もないコイツにそんな時間が

あったとは思えない。


「あ、そうそう___」


志波先生は俺が考察する間も無く、次の話題を振ってくる。


「君は生徒会長から凄く目を付けられてるよね、それって君が彼女と事故について関係があるからとか…___」


「ッ!…ち、違う!」


駆けたら止まらなくなる。

考えていた事が整理出来る前に解答を出せと焦らす。


「君が怪我させちゃった澪さんは彼女の大切な人だったとか___」


「違う!」


「それで人殺しである自分から人を遠ざけようと___」


「違うぅっ…!」


「そうやって現実を見て見ぬ振りして、お友達と仲良くやってるのかな?」


「ふざけた話はやめろ!大体なんでお前がそんな事知って…___」


ふと気付いた。


紫苑が彼女と一緒にいる理由なんてそれしか無い。

逆に言えば彼女が俺の諸事情をああもぺらぺらと話せたのは彼女が居たからこそなのだ。


「紫苑…?」


「うっ…」


図星と言わんばかりに紫苑はキュッと目を瞑る。


何かを覚悟する様に震えさえしてた。


「お、おい!紫苑に何吹き込んだ!」


八つ当たりじみた憤怒を志波先生にぶつける。

しかし、シラを切るようにあしらわれる。


「まさか、吹き込まれたのは私の方ですよ」


「っ…どういう意味だ!」


すると突如、紫苑はその場に伏せる様にしてしゃがみ込む。


口元がもごもご動いている。


俺には何となく分かる。


ごめんなさいと連呼するのだろう。

真っ青な顔からそれ以外の言葉を連想するのが難しい。


そんな醜い姿に見かねて縮こまる彼女の元へ近寄る俺に水を差すのは勿論の事、先生なのだった。


「へぇ、心配なんだ」


「当たり前だろ!」


「人殺しなのに?」


「っ…!?」


止まる脚、それはそこから先は進む事は無かった。


ただ、自らの意志さえもがそれを止めていた事に気づくと、俺は紫苑を見る事すら出来なくなった。


脱力し、その場にへたり込む。


そして魔女の囁きが聞こえる。


「そう、君は人殺しなんだから」


胸糞悪ささえ覚えるその浮いたセリフに自分を殴り殺したくなる衝動さえ湧く。


でも、その通りだ。


冷静になれ。


俺は人殺しだ。

むやみに人と関わっていい人じゃ無い。


もしかすると人ですら無いかもしれない下手物如きが、こんな高嶺の花々に触れる事など、あっても良いのかと、改めて考えてみれば、やはりその答えは一目瞭然だ。


「俺は…」


「はいよく出来ました!」


不敵に、不気味に、高らかに、しかしその高揚を抑えてクスクスと目の前の魔物が笑う。


改めてその存在の不気味さ、危険さを自覚する。


残念な事にその猛攻はまだ続く。


「君は本心じゃ友達が欲しいんだもんね…だから勝手な理由をこじつけて皆と一緒に遊んでたんだよね?」


「ち…違…___」


「榊さんも舞崎さんも、君が払いのけようと思えば払いのけれた人たちなのにね」


憔悴。


手すら伸ばす気になれない。


自分の立場の再認識、記憶の混濁。


全てが疲れとなってどっと押し寄せる。


それこそ、津波が街という街を飲み込んでいくかの様に、波は疲れとなって押し寄せ、俺はそれにいい様に飲み込まれ、身動きが取れなくなる。


皆を助けるつもりはなかった。


優梨乃の差し金であったり不可抗力であったり、周りにいる様々な人たちを助けたのには変わりない。

しかし、それも全て間違いで、俺がすべきことでは無かったのならば、俺は果たして、こいつらに何をしていたのだろう。


「お前は…俺に何が言いたかった?」


雑巾を絞って出てきた微かな水滴の様な、儚い声で俺は最後に彼女に問ってみた。


「じゃあ、先生から特別にヒント、あげる___」



君が殺したのは優梨乃さんじゃなくて、私のお兄さんだよ。



__________



静寂。


風がそれに呼応する様に吹く。


背筋を擽り、悪寒すら感じさせてくれるその雰囲気はまさに、場が凍り付いたと言うに相応しい沈黙に包まれた。

俺は記憶が戻るきっかけじみた発言を聞いたと言うのに何にも思い出せない。


紫苑は平伏し硬直したままだった。


柚音は___。


ぎゅっ。


柔らかな手の感触。


何かが俺に触れ、そして背中の服布を摑む。


ブリキの人形を無理やり動かした様に俺の首は感触があった方へ自然と向く。


「あの、こいつに何があったかなんて知らないけど、ちょっと教師って感じの会話じゃないと思うんですけど」


「柚音…」


触れられた手は自然と怪我をした手を握る為にスルスルと俺の身体をなぞった。


身体を密着させるが如き接近で、まるで私はあなたとこれだけ友だちであるとでも示している様にも見えた。


目の前の魔女にだけではない。


紫苑にもだ。


勿論その証拠に、彼女は紫苑にだって呼びかけた。


「アンタ、こいつと友だちなんでしょ?いつまで座って泣いてんの!」


「っ…!」


「私は決めたから。たとえこいつが人殺しでも、私はこいつの友達であるって!」


やめろ。


そうとしか思えなかった。


俺が惨めだとか、お前らが迷惑被るとか、人殺しだとかそう言う話じゃない。


俺にはきっと、資格なんて無いのだ。

こいつらと友達になる資格が。


さっき俺が踏みとどまったのが何よりの証拠だ。


俺は紫苑を見捨てたのだ。

だから___。


「志波先生、今日はもう帰りますので、お話ならまた後日してください、それじゃ」


そう言って、柚音は俺と紫苑にほら立ってと促してから重い足取りで移動を始めた。

当の志波先生本人は何も気に留める事無く、あっそうとだけ言って闇に消えて行った。



__________



陽は沈み、夜が目覚める。

俺は精神的に疲れ切った身体を癒すべく、家の風呂に入ってる___。


「…筈だった」


「何ぶつぶつ言ってるの、変態」


返す言葉は無いよ。


でもなんか腹立つな。


いや、そんな事より、まあこの場所と、俺が柚音と会話している事から大体お察し頂けるだろうが、今俺は、自宅の


風呂では無く、榊家の浴室に柚音と二人で入っている。

勿論皆様が想像するあんなことやこんな事にはなっておらず、しっかり水着を着用の元である。


ところで何故こうなったのかと言う理由は…もうめんどくさいから誰にも言わないし聞いて欲しくない。

まあ一言言うなら、柚音んとこのおばさんと紫苑が結託したと考えればだいぶ答えに近付けるだろう。


っつか…___。


「ち、近いな…」


「じゃあ出れば?」


「お、おう」


その短いやり取りの末に浴槽から出ると、半泣きの表情で柚音はこちらを見るのだ。


相変わらず、そこにインパクトは無い。


紫苑の方が断然上だ、っとまあそれはいいとして。


俺はその表情につられ、思い切った選択が出来ない。


そして再び浴槽に戻ると言う騒動を幾度となく繰り返している。


「あのな、言いたい事があるならきっぱり言ってくれないか?」


「だ、だって…」


風呂に入るもっと前から、言うなれば俺らがあの人と話した公園からここに帰ってくるその時まで、こいつは何か物言いたげな忙しさがあった様な気もする。


妙にそわそわしていると言うか、もじもじしたい気持ちを隠すようにそれがずっと表に現れている。


まあ、言わんとする事は何となく想像出来る。

実際のところ、俺も何かを隠していると言うか、もじもじしたい気分ではあるのだ。


だが、きっとそれを問われるのが怖いのかもしれない。


寧ろ、話を切り出せずにいる柚音に安心すら覚えている。


だが、先にそのバランスを崩すのは案の定柚音だった。


「あ、あのさ、青娥はどうして…わ、わわ…私を一人にしないって言ってくれたの?」


「はっ!?」


直球すぎた質問に動揺を隠せず、思わず湯船に波を立てる程に吃驚した。

衝撃で浴槽に波が立つ。


「い、いやぁ…別に深い意味は無いけど…」


「けど?」


その先の言葉は出なかった。


いや、きっと出ない訳じゃない。


言えないのかもしれない。

言いたくても、言う資格が無い。

俺にはそう思える。


「その…」


ああ焦れったいな俺。


気持ち悪い。

かっこ悪い。

チキン野郎。


いくら誹謗中傷したって足りない。


俺は自分で認めてしまった。


自分にはこいつらと関わる資格が無いと認めてしまったのだ。


「ねぇ」


「は、はぃ!」


突如迫り来るシャンプーの匂い。

そりゃまあ風呂だからシャンプーやボディーソープの香りは嫌でもするものだが、そんなほのかに香る様なものじゃなくて、もっと物理的な何か俺の目の前に覆いかぶさる様な___。


「なんでそんなに息苦しそうなの?」


「は…?」


「はって、さっきからだんまりしてるし、大丈夫?」


「べべ、別にそんな事ねぇし…」


顔が赫らむ。


キモい。

でもしょうがないじゃん。

目の前にスク水系女子がいるんだぞ。


たとえ俺が人の事を遠ざけたいって思ってても、こんな密閉された空間じゃそれも叶う筈がない。


「バカ、近いって!」


「なんか無理してない?」


「む、無理なんか…っつかお前今日なんかおかしいぞ?」


迫る。


胸じゃなくて体。


恥ずかしいなんてもんじゃない。


鼓動が早まる。


これは何のラブコメだ?

それとも罰ゲームか?


「あいつに変なこと言われて渋ってるとか」


負けだなこりゃ。


「図、図星です…」


解放を求めて素直に言ってしまった。

隠してたらもっと寄って来そうだし。


「あ、あのな…俺は___」


「御託はいらない」


現状は変わらなかった。

あくまでもこれは説教らしい。


「私、別に気にしてないから」


「はぁ?なんだよ急に」


こいつの説教とか何言われるか解ったものじゃない。

だいたい怒鳴られたり、変にきれられたりして面倒な事になるだけだ。


「アンタは…き、君は私の幼馴染で、昔から仲が良くて、それで、気が弱いくせにいつも私を守ってくれて___」


「ちょおちょちょちょちょ!何の話だいきなり!」


猛攻は止まらない。

って言うかこいつは言い出したら止まらない奴だったな元々。


「つ、つまり、…ああもう何なの恥ずかしい!」


「いやそれお前のせい!ただでさえ昔みたいに風呂入ってるのに!」


「煩い!とにかく、君はあいつの言う事なんか気にしなくていいから!そ、そんなに友達が欲しかったら…___」



_____「わ、私が…わ、わあわわわ、私じゃ、ダメかな…?」



頰が赫らむ。


今度は俺じゃないからキモいじゃなくて可愛い。

って言う俺がキモい。

風呂の暖かい室温なんかのせいじゃない。


さて、可愛さに見惚れるのも良いが、俺はとっととこいつの質問に答えないとマズそうだ。

こいつも、どっかのツインテリボンみたいに純情な目をしている。


きっと、俺はこの目を持つ者を拒む事が出来ない。

そこでフィードバックするのが今日の夕方の出来事だ。

きっと俺は、そんな理由でもあれば、人を好きになっても良いと、そう思っている甘い節があるのだろう。


なろうと思えば誰だって鬼になれる。

やろうと思えば誰だって、誰でも撥ね除ける事が出来る。


俺には人を好きになる資格が無い。


そう思うまでは良い。


その後がどうしても踏み切れないのは、俺がどこかしら助けを請っているからなのか?


果たして、そんなのが生きてて良いのか?


だが____。


「だ、ダメじゃ無いけどさ…」


「へっ?」


「っつか、幼馴染でこうやって風呂入ってるあたり、俺らだいぶ友達じゃねえか!なっ?」


うん、突き詰めるとそうだよね。


本当、おばさんも紫苑もふざけやがって…。


良い歳した高校生が男女二人で浴槽に水着で入るって…。

しかも諭される様に柚音は乗り気だったし…___。


「ばっ、バカじゃ無いの!?べべ、別に入りたくて入ってるんじゃ無いんだから!た、ただ折り入った話がしたかっただけで、水着もスクール水着しか無くて…き、君の為じゃないし!私はしょげてる君なんか見たくないからわざわざこうやって!」


「ハイハイ、しょげてる俺を見たくないからスク水如きが誘ってやろうってんですねありがとうございます。分かったからもう離れてくれ、これ以上は誤解を生む距離感だ」


「はぁっ…!?ほ、本当に分かってるの!?べ、別に君が好きとか誘ってるとかそう言うのじゃないから!本当だから!」


そのポンコツなダダ漏れ具合はもう取り返しつかないと思います柚音さん。


ほんとハイスピードに露骨なツンデレありがとうございました。


しかしまあ、俺もこいつにここまで言われてしまうと、やはりコレが言い訳だとしても、皆の事を見捨てるなんて出

来ないし、友達じゃないとか言い切れないのかも知れない。


昔の俺は顔だけでビビられて友達が出来なかった。


それ故にどこかで友達が欲しいとか、思ってた節はある筈だった。


だから今だって、どこかできっと願ってる筈だ。


俺は、気休め程度でも、きっとこいつみたいな友達が欲しかったって。


だが、本当にそれは正しいのか?


俺は資格など無くとも、こいつらに触れても、この気持ちを掴んでいても良いのだろうか?


「あのさ、昔の事、気になってるなら一人で背負わないでよ」


上目使いの柚音がつっけんどんな表情で心配する様。

それに自然と体が後ろに後退する。


「で、でも、コレは俺の問題で___」


「君は優梨乃に頼まれたからって嫌な顔なんかしないで私の問題を勝手に解決してくれた。だから、私にも、君の重

荷を背負わせてよ」


真剣な眼差し。


表情は硬くても分かる。


コレが長年付き合って来た証拠なのだろうか。

なんか、腑に落ちない。


でも、確かに___。


「君が断っても勝手に背負うから。きっと、紫苑だってそう思ってる筈だし」


「お前…___」


「なんか変わったな」


確かに、コイツは俺みたいになろうとして、立派に人を守ろうとしてくれている。


優しい子だ。

それが俺がコイツに対して今も昔も抱いてる、コイツの第二印象だ。


「うぅ、煩い!気、君が私をこんな風にしたんだろ!」


「なんだそりゃ…」


「責任取れよバカ!!」


「理不尽すぎだろ!なんだそれ」


今抱いているコイツの第一印象はツンデレで、昔のそれは泣き虫だ。


現に、コイツは俺の前でしか泣かないらしい。


強くなったんだか弱くなったんだか、今だって、目元を赤くしながら若干泣いているっぽい。

湯船の水で涙が判別出来ないけどなんと無く分かってしまうのは、やっぱり長年の付き合いのせいなのかも知れない。


「ほんと…そう言うところ、好きなんだから…」


「なんか言ったか?」


「な、ななななな、何でもない!」


「あっそ…」


だからかも知れない。


俺だって、お前のそう言う優しい所を見て…お前みたいな優しい人になろうとしていたのかも知れない。


_____


「うふふ、何にも変わらないのねあの子たち、おばさんちょっと泣けてきちゃった。ね?紫音ちゃん」


「えっ…あぁ、はい…」


「どうしたの?あんまり顔色良くないわよ?」


数秒の静寂の後、私が口にしてしまった言葉は、本意だったんでしょうか。




「私は、比野青娥と仲良くする資格があるんでしょうか?」



__________



ああなんか話が現実味ないし重たいし、ってでも創作だし良いか。

まるで夢でも見るかのような俺得作品を書くSieg004です。

果たしてこの作品楽しんでもらえているのでしょうか。

なんか凄く不安だけどむしろそれが当たり前なんですよねって事をこれを書き始めて再び思う事が出来ました。

今はそんな事よりこの作品の最終的なオチをどうしようかと悩んでおります。

これ結構悩むんですよね。

どう言うエンドでも、悲しい方がいいのかほっこりする方がいいのか、考えるとキリがないです。

まあ中には特殊なエンドを求める人もいたり、って言うかそもそもテメェの作品なんざ見るに耐えなすぎてオチまで持って言って欲しかねえよとか思ってくれていただいている読者の方がいたりいなかったり…。

そんな人たちは、Sieg004の事は嫌いでも、比野くん(以下略称)の事だけは嫌いにならないでください!

逆にここまで読んでくださっている、恐らくは時間を大幅に無駄にしている読者の皆様、本当に有難うございます。

と言うわけで、当作品の第3章の幕開け、どうぞこうご期待くださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ