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赤い糸にむすばれて  作者: 登夢
7/8

同夢

夕食の後、ソファーにいると、紗耶香が「生理終わった」と嬉しそうに報告に来た。明日は休日なので、ゆっくりと紗耶香を可愛がってやれる。


床に就くと、紗耶香が嬉しそうに抱きついてくる。いつものように胡坐の中に座らせて後ろから抱きしめることから始めた。この日、紗耶香ははじめて女の喜びを知ったみたい。紗耶香はもうぐったりして動かない。心地よい疲労。重なったまま眠りに落ちてゆく。


夜中に目が覚めた。紗耶香は寝息を立てて眠っている。腕の中に入れると無意識にしがみついてくる。布団をかけて、そのまま、また、眠りに落ちた。


夢を見た。そこがどこかはわからない。紗耶香と愛し合っている。座った僕が、紗耶香を脚の間に入れて抱きしめている。紗耶香もしがみ付いている。2人はすごく嬉しそう。快感が2人を突き抜ける。


その快感で目が覚めた。紗耶香が抱きついているが、安らかな優しい満ち足りた顔をして眠ったままで動かない。不思議な夢に思いを巡らせていると、また眠りに落ちた。


「起きてください」の声で目が覚める。紗耶香はもう着替えている。しまった、寝ている間に紗耶香が先に起きてしまった。今日は休みなのに。


「お腹がすいて目が覚めたの。朝ごはん食べよう」という。紗耶香はいつもと違って元気活発だ。折角の休みだから早起きして散歩しようという。

「紗耶香、元気過ぎる。今日は休日。ゆっくり寝てようよ」と言っても、散歩に行こうと聞かない。


しぶしぶ起きて朝食。いつもより紗耶香は食欲があるみたい。テーブルにトースト、ハムエッグ、サラダ、ポタージュスープ、フルーツの盛り合わせが準備されていた。2人でそれを平らげたが、半分は紗耶香が食べた。


「食欲があるね」というと「すごくお腹がすいたの。でも食べ過ぎると太るのが心配」


「だったら、運動したらいいよ。はじめは散歩」


「だから、散歩しよう」


「分かった、散歩に行こう。それに、腕立て伏せと腹筋をやれば、いつでもできるから」


「そうする」


「それに運動ならジョギングをするといい。多摩川に遊歩道があるから」


「じゃあ、散歩は多摩川の遊歩道に連れてって下さい」


朝食後、2人で部屋を掃除してから、手をつないで、多摩川の遊歩道に散歩に出かけた。


「東京にもこんな遊歩道があるんだ。気に入ったわ、家からも近いのでジョギングに丁度いいわ」


もう、ジョギングをする気になっている。


「それはよかった。でも無理しないで」


「分かってます」


「ところで、昨晩のことなんだけど。もう少し時間がかかるものと思っていたけど、紗耶香はいったんだよね。」


「はずかしい。はじめは気持ちよくて、頭の中が真っ白になって、身体に電気が走ったみたいになって、力が抜けて、その繰り返し。訳が分からなくなって、あとは覚えていない、そのまま眠ったみたいで。でも夢を見たの。あれは夢だと思う」


「どんな夢?」


「どこか知らないところで、私たち2人が愛し合っているの。とても優しく抱いてくれて嬉しかった。2人が一つになって、その快感で私は気を失ったの。ふと、目覚めると、昌弘さんが私を抱いて眠っていてくれたので、嬉しくなってしがみ付いて、そのまま、また眠ってしまって。朝になると、とてもお腹がすいて目が覚めたの。目覚めた時、気持ちがとても明るくなって、身体になんというか力が満ちてくるというか、そんな感じがしたの」


「不思議なことだけど、僕も同じような夢をみたんだ。どこか知らないところで紗耶香と愛し合っている夢を。きっと同じ夢だ」


「2人が同じ夢を見ていたなんて素敵、うれしい」と手を握ってくる。


父親が前住職から聞いた紗耶香姫の話、きっとそうだ。紗耶香は悲運の姫君の、自分はいい名づけの生まれ変わり。夢の中でお互いの魂が愛し合うことができたんだ。きっとそうだ。紗耶香が生気のスイッチが入ったみたいに活発になったから。


紗耶香の21歳に死ぬという呪いが解けたかもしれない。それなら本当によいのだが。でも、このことは、今は紗耶香に話すのをやめようと思った


せっかくなので、足を延ばして、二子橋を渡って二子玉川へショッピング。紗耶香にジョギング用のトレーナーとシューズを買ってプレゼントした。紗耶香は帰りも歩こうといったが、こちらがすこし疲れたので、電車で高津駅まで行って、駅から歩いて、途中コンビニで買い物をしてマンションへ戻った。


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