6BET:新キャラ+台風二次災害?=絶体絶命
台風が去り,我が家にも平和が戻った。……戻ったはずだった。
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「ゥワハハハハハ!!!」
これ,前回暴れ回ってた肉球溺愛猫。
「ゥアハハハハハ!!!」
これ,誰?
12,3歳くらいの可愛い女の子。同年代の子と比べても背はかなり小さい。その栗色のショートヘアーはコインと一緒にワイドショーを見て爆笑してた。
ん〜…どうしよ。
朝起きてからずっといたから,今さら『誰ですか?』なんて聞けないしな…。
てか,もうあの子の分の飯作っちゃったしな…。
俺…最近妥協とか流されること多くなっちゃったな…。
悲しいな…。
「お〜い。飯ができ……」
シュババ!!!
「「いただきまぁす!!」」
速っ!!!!
呼び終わる前に食い始めやがった。食欲だけは最上級だな,おぃ。
「おいし〜〜〜♪」
おぉ,そりゃ嬉しい言葉だな。謎の美少女。
「足りね〜〜〜♪」
おぉ,軽く5人前は作ったはずだぞ。バカ猫。
「しっかし,なんでマウスがここにいるんだ?またクロウに怒鳴られるぞ?」
この子マウスっての?てか…やっぱハーフなの?
「ん〜,クロウさんがね,『腐敗が進んだ玉葱みたいなダメ支部長を見てきて』って言われたから来たの!!」
クロウさん………キツっ!!!
「ゥワハハハ!!こりゃ一本取られたな〜。」
どこら辺が!!?おまえに玉葱の要素皆無じゃん。
「あ〜っ!!!!!」
えっ!!!? な,何?
こちらを振り向いて叫ぶチビッコにビビる俺。いきなり過ぎるから…。
「最近,第4支部で噂の奏君だぁ♪」
噂になってるの!!?
ど,どんな噂だろうか……。
「えっと…初めまして。夕凪奏っていうんだけど…」
「知ってるよぉ♪クロウさんが話してたもん。アタシはマウスだよ♪ネズミのハーフなんだぁ。」
ネズミ…ってよりはハムスターって感じだな。髪の色とか。
「こいつもCHCの社員だぞ。」
マジでか!!?
「こんな小さい子働かしちゃマズいだろ?」
「俺様がルールだ!!!」
典型的俺様発言だな。まぁ半分動物だし大丈夫なのかな。
「まぁ,よろしくな。」
「うん!!よろしくなぁ♪」
ハハハ。可愛らしい子だ。
「ねぇ,ねぇ。コイン〜今日は“面白い物”持って来たんだよぉ?」
徐に持参したであろうバックをあさりだすマウス。それを見たコインの表情が一変に曇る。
なんだ?
「(ヤ,ヤバい!!)マ,マウス!!俺様はこれから仕事に行かなきゃいけないんだ。だからその“面白い物”は奏に見てもらってくれ。」
あっ。初めてコインに名前呼ばれた。
「珍しいな。自分から仕事に行くって言い出すなんて。」
「し,仕事が俺様を呼んでいるのさ。」
いつもサボってるやつの言うセリフじゃねぇ。
コインはそそくさと家を後にした。
「う〜!!じゃあ奏に見せてあげる!!はい♪」
これって………!!
マウスが取り出した物は茶色い筒状の物が4〜5本束になり,アナログの時計の付いた小さな機械から赤色やら青色やら黄色やらのコードが伸びそれに繋がっている物…。
「それって………」
「ダイナマイト♪」
まさに爆弾発言!!!!
【痛恨の一撃!!!奏は…】
んなこと気にしてる場合じゃねぇ!!
【………ぐすっ。】
泣いた!!?
………ん!!?
だから気にしてる場合じゃねぇって!!!
ここは間違ってもスイッチを押させないように説得を………。
「スイッチオ〜〜〜〜〜ン♪」
押しちゃったーーーーー!!!!!
チクタクと時計は進み,あたふたする俺の隣で爆笑するマウス。突然絶体絶命じゃねぇかぁぁぁ!!
「『チュドーン』ってなるんだよ♪『チュドーーーン』って♪」
アホか!!
「わ,わかったから。と,とととりあえずそれをこっちに寄越せ!!」
「いいよ〜♪はいっ!!」
よし!!これを…
………。
………。
どうしよーーー!!?
必死に思考を巡らせながら時計の針を確認すると残り5秒前だった。大ピンチ!!!!
「にゃろぉぉぉ!!!」
《4秒前》
瞬時にベランダに移動して窓を開け放つ。
《3秒前》
直ぐ様投げ捨てたかったが辺りには手頃な空き地なんてなかった。
《2秒前》
ならばと空を見上げ,同時に大きく振りかぶる。
《1秒前》
「おらぁぁぁぁぁ!!!」
気合い十分!!全力で真上に遠投。後は野となれ山となれじゃぁぁぁ!!
《0♪》
『チュドーーーーーン!!!!!』
「た〜〜〜まや〜〜〜♪」
ぶっ飛ばすぞ。
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その後,ご近所は騒然となり警察まで来る始末。さらには騒ぎを聞き付けてクロウさんまでやって来た。ケラケラ笑ってたマウスは俺とクロウさんにこってり3時間しぼられた。
さらに後日談だが,マウスは『史上最高のトラブルメーカー』の異名を持ってるらしい。
トラブルメーカーどころじゃねぇ。