2BET:食事+自己紹介=居候
ん〜,なんですかこの状況は?
「もぐもぐ……味濃くね?」
うっせぇよ,頭蓋内空洞男が。今食ってる餃子でも詰めてやろうか。
目の前には俺が作った飯を次々に悔い散らかしていく変人が一人。
俺はせっせと飯をこしらえてます。
3日分の食糧が…。理不尽だ…。
「後2皿追加ね,大将。」
誰が大将だぁぁぁ!!
しっかし,今更だがこいつはなんなんだ。突然住むとか,人間じゃないとか分けわかんね。やっぱ飯目当ての詐欺師?
詐欺師にしては微妙な上に地味。
「えっと…ちょっと聞いていい?」
「んっ?ひ〜ほぉ。はんへふぉひぃへぇ。」
………
「食べ終わってからでいいっス。」
「ふぉい!!」
うぉわっ!!
ごはん粒ぶっ飛ばしてんじゃねぇよ!!
───それから1時間後───
「ぷはぁ〜〜〜。食った,食った。俺様は満腹になっちまったぜ。ゥワハハハハ。」
ほぉ,それはよかったな。お陰で冷蔵庫は空腹になっちまったよ。米まで食い尽しやがって……ぐすんっ。
「コホン。んでは早速…」
「昼寝するかな。」
なぬっ!!?
「ぶっ殺すぞてめぇぇぇぇぇ!!!」
「ひっ!! わ,わかりました。聞きます,聞きます。」
はぁー,はぁー。
疲れる。こいつと話してると疲れるぞ。
「まず,あんたは何者なんだ?」
「俺様は猫のハーフで,名前はコイン。CHCの第4支部・支部長だ。」
はーふ?
しーえいちしー?
「短編小説“Cat Hands Corporation”を読んでくれれば分かると思うぞ。」
「宣伝ですか?」
「宣伝です。」
なんて図々しいやつだ!!
っと,それは置いといて。
「猫のハーフって…どゆこと?」
「だから短編小説の“Cat Hands……」
「フライパンでひっ叩くぞ?」
「ハーフってのは人間と動物,二つの姿を持ってる種族のことだ。突然変異か,はたまた人工的に産み出されたのか誰もはわからねぇ。俺様ですらわからん。映画とかに出てくるバンパイアや狼男,人魚や鬼なんてのはその大半がハーフだな。んで俺様は猫のハーフってわけよ。」
………?
「ハーフが集まって作った請け負い会社“Cat Hands Corporation”,通称CHCの第4支部の支部長が俺様。他にも5人程いるけどな。」
………??
「グレイトでロマンチックな上にどうしようもないハンサムな俺様は副支部長のクロウに半殺しにされた挙げ句に道端に転がされてたとこにおまえが来て助けてくれたわけだ。」
………???
「そしてここが気に入ったから住んでやろうと決めたわけだよ。」
何ぬかしてんのこの輩は?
「それはよかったですね。お帰りください。」
付き合ってられるか。
「おやすみ♪」
当然のように寝るんじゃねぇぇぇ!!
───さらに1時間後───
「ぐ〜…ぐ〜…」
諦めました。
あれから怒鳴りつけ,殴りつけ,前髪を少し燃やしてみたが,なんのリアクションもしなかった。
「はぁ……まっいいか。どうせ一人暮らしだから文句言うやつもいねぇだろし。」
ぶつくさ言いながら洗い物をしていると,突然…
ボンッ!!
なんつって横たわっていた変人,コインが爆発した。部屋中真っ白♪
煙が晴れるとそこは…
「な,な,な……」
コインは姿を消し,代わりに黒猫が1匹横たわっていた。
「………は?」
変人は?黒猫?マジック?
「むにゃ……止めてくださいよ〜……えへへ……」
寝言言ってるし。
となるとさっき言ってた“ハーフ”やら“CHC”やらの話は本当なのか?
目の前には変身したと思われる黒猫が寝言言ってるしな。
「……そんなに……あっ……」
なんなんだ!!?どんな夢だ?
「……いや,そんな……」
まさか…ノクターンノベル行きになってしまうのか!!?
「……カルボナーラ……」
大丈夫みたいです。