第8話 それ、やめてもいいんですか?
「翔太は他のみんなが良ければって、じゃあ二人はどうかな。」
「二人とほとんど話したこと無いし、ちょっと不安かな。でもやってみたい気はする。」
「裕太は?」
「僕もゲームのサッカーしか知らないから、リアルで生かせるか分からないし。
大体僕ネットの友達しかいないから、リアルでうまくやっていけるか不安だし。」
「そうね、新しいことをするのはみんな不安なの。
でも、挑戦することは楽しいってみんなに知って欲しいの。」
「それって、もう無理って思ったらやめられるんですか。
俺何しても続かないって親からよく言われてるし。
ずっとやってるのはゲームだけ。」
「俺もそう。サッカー以外何も続かないや。
特に勉強。」
「僕も。勉強一応やってるけど、本当は嫌々。
約束したお母さんの手伝いとか、テレビ見ててやってなくて怒られてばっか。」
「みんなの言うことももっともだな。
やってみたはいいけど、ほらやっぱり続かないとか、途中で投げ出したとか言われたら悲しいしな。」
「どうして続かないかわかる?
誰でも押し付けられたり、納得してないことを嫌々続けるのは苦痛なの。
でも自分が納得して、これならできる、やりたいと思った事は続ける事ができるもの。
みんなそう、当たり前。
じゃあこういうのはどう。
あらかじめ約束を紙にまとめるの。
こういうことなら参加したいってことを。
でも、未成年は契約とか出来ないから、みんなで話しあってお互い納得した約束事を、紙に書いた確認書って感じかな。
口約束じゃなくて、ちゃんと紙に書き出してみる。
そして、それだったらやってもいいって内容をみんなで合意し、サインしてから始めるの。」
「俺もそれいいと思うな。
みんないろいろ不安とかあるだろうし、この際、ぶっちゃけ希望を言ったらいいんじゃないか。
それに、紙に書いてあれば、先生それ違いますよ、とか気楽に指摘できるし。
大体、口約束だと俺ほとんど忘れるしな。
はっはっはー。」
「じゃあ、1番目はやっぱりこれかな。
やめたくなったら、いつでもやめてよし。
誰も責めません。
むしろ、新しいことにチャレンジした君を尊敬します、ってね。
私小学校の時うさぎ係になったの。
正直やる前は嫌だった。
めんどくさいし、汚なそうだし。
でも、私の大好きな先生が言ったの。
やってみて嫌だったらすぐ言ってね、やめても全然大丈夫よ。
やってみただけで偉いの。
でも法子ちゃんきっと好きだと思うわ。
動物大好きだからって。
そして、私、卒業までずっとうさぎ係やったの。
うさぎ大好きだし、何より素敵な友達がいたから。」
「それなら、俺できるかも。」
「僕も。」
「僕もできる気がしてきた。」
「よーし、ちょっと紙持ってくる。
この際みんな、やりたいこと、不安なこと、やりたくないこと、洗いざらいぶちまけてみようぜ。
実は、俺もみんなにやって欲しいことあるんだ。
うっひひひ。楽しみ、楽しみ。」
「すごい、北原先生のその根拠のない前向きさ、私大好きです。」
「ええっ、広田先生、北原先生のこと大好きなの。」
「もももももう、裕太くん、何てこと言い出すんだすかあ、、、大好きって、、そういうことじゃないけん、、ってば、。
まんず、オイラびっくりしたっす。」
裕太の思いがけないズボシな突っ込みに、人生最大級の動揺を見せる法子だった。




