第7話 勝利へのプロジェクト
「広田先生おはようございます。しかし、まだまだ暑いね。」
「あっ、はい、吉田先生おはようございます。」
今日も法子は学校に向かって歩いていた。
「あれっ、また足が進まない。
なんで、私の靴だけアスファルトにくっ着くの。
えい、どうして、もう、誰か助けてっ。」
その時一人の男の子が立ち止まり、法子にそっと手を差し出した。
法子が彼の手に触れると、何故か足がすぅ~と軽くなった。
「あれっ、くっつかない。
ふう、助かった、、、ありがとう、翔太くん。」
〜法子、朝だよ、朝だよ。
〜バシッ〜
「ふっまた変な夢。
でも、翔太くん助けてくれて嬉しかったよ。
ありがと。」
そして放課後、法子は北原先生とお話ルームにいた。
今日、法子が考えた奇策を3人の男の子に提案するのだ。
このプランには北原先生の協力が必須なので、事前に説明し同席してもらっている。
「ちょっと不安になってきました。」
「大丈夫ですよ。
根拠はないけどうまく行く気がします。」
「北原先生にも、いろいろご負担をかけてすみません。」
「そんなこと全然ないですよ。
いつでも、新しいことにチャレンジするのは楽しいです。」
「あ、来たわ。」
開けてあるドアから、3人の男の子が部屋に入ってきた。
「みんな来てくれてありがとう。
今日、みんなに集まってもらったのは、私と北原先生から大切なお願いがあるの。
まずは、北原先生から説明するわ。」
「みんなに、俺からたってのお願いがある。
翔太は知っているが、ひよこサッカークラブは一ヶ月後に大鷹サッカークラブと練習試合を控えている。
大鷹は、ひよこがこれまで一度も勝ったことがない強豪クラブだ。
コーチの俺が言うのもツライが、正直今回も勝つのは厳しいだろう。
ボロ負けするかも知れん。
そこで、、無理なお願いだが、その試合、君たち3人が協力してひよこサッカークラブを勝利に導いて欲しい。
翔太のサッカースキルは俺も良く知っている。
そして、来て貰った2人には、それぞれ違う能力があると広田先生から聞いている。
翔太はサッカーの技術、啓太は戦略的思考とそれを生かした作戦や戦術、裕太はサッカーゲームで磨いた選手の能力の最適化だ。
俺も広田先生も、それをチームに活かして欲しいと思っている。」
「それでね、3人には試合までの一ヶ月の間、勝利に向けた一つのチームになって活動して欲しいの。
大鷹は強いチーム。
ひよこはまず敵わない相手。
だからこそ、やりがいがあるプロジェクトなの。
みんなで、やってみない!」
裕太が口を開いた。
「翔太くんがいれば勝てるんじゃない。
いつも、バンバン点取ってるし。」
「翔太くん、どう?」
「、、、厳しいと思う。
俺が10点取れば勝てるかも知れないけど、、
サッカーは一人じゃ勝てない、、、と思う。
でも、俺みんなで戦うとかよくわからない、、。
俺だって、今のサッカーは頭使わなきゃ勝てないのは分かってる。
でも、俺バカだし。」
「翔太くんはバカじゃないよ。
グラウンドでサッカーしてるの見てたら、相手のパスコースを読んでカットしたり、フェイクしてドリブルで何人も抜いたりしてる。バカじゃ絶対出来ないよ。
僕、ヨーロッパサッカーとか好きだから分かるんだ。考えてなきゃあんなこと絶対出来ない。
でも翔太くん、どちらかと言えば感覚系だけど。」
「さすが啓太、良く見てるな。
翔太はバカじゃない。
ただ、もう一段階上らなきゃいけない階段があるだけだ。
俺はこのプロジェクトが、翔太が階段を上がるきっかけになると思っている。
それにな、
大鷹は、今までのひよこしか知らない。
つまり油断がある。
啓太には、そこをつくようなダイナミックな作戦を考えて欲しいんだ。」
「僕、ゲームしかやってないから、実際のサッカーはわからないよ。」
「じゃあ、一緒にサッカーやってみようぜ。
面白いぞ。何なら分析官やコーチングでもいい。
それに、最近ではサッカーゲームからヒントや発想を得て、実際のサッカーに活かしている監督もいる。
時代は変わっているんだ。
それに、裕太はゲームでは無敵だって聞いてるぞ。
選手の能力を最大限に生かすのが凄いってな。」
「、、、俺、みんなが良ければやってもいいよ。
でも、チームとか難しいし、人と何話していいかわかんないんだ。でも、サッカーの話ならできる、、と思う。」
「僕もだよ。サッカーゲームの話しか出来ないよ。」
「僕もだ。みんなからガリ勉て言われてるし。
でも、ヨーロッパのサッカーとか戦術とか研究するの好きなんだ。」
「それでいいんだよ。自分の強みを生かせば。
それに共通点はあるぞ、、サッカーだ。
おっと、もう一つ共通点がある。
これはびっくり、凄いぞ。
翔太、啓太、裕太、
それにな、、、ふふふ、
何を隠そう、俺は豪太だ。
はははは!」
「それ、マジ凄いや。」
「びっくりしたな。本当だ。」
「あのう、私も、、広田なんですが、、」
「先生、それは違う、た、ですよ。
先生がのり太なら良かったんですが、、、
のり太は厳しいかあ、女性には、残念ですね!」
「のり太先生、変だよ。」
「のりたま先生みたいだ。」
「のりたま先生、なんか似合うかも。」
「うんっ、それいいな、のりたま。
のりたま先生!おはようございます。
なんちゃって、ハハハハハハ!」
「、、、はい。のりたま大好きです。」
まじめに、のり太への改名が出来ないか考えている法子だった。




