第34話 女の子だけのお話
ちぃ、かな、ももの3人は、ジャングルジムの上で低学年生の練習を見ている。
いつもは孝太と裕太の定位置だが、2人はグラウンドで北原先生や翔太と話しながら、何やら選手に指示を出している。
「ももちゃん、ショートカット似合うよ。
かわいい!私もしようかな。」
ちぃがももを見て言った。
「孝太くんと裕太くんに、代表サッカー選手のももこさんの話を聞いて、家に帰って動画を見て、即ファンになっちゃって。
お母さんに、私、絶対後悔しないからって言って切ってもらったんです。」
「そうなんだ。
お母さんカット上手だね。」
「はい!ずっとお母さんに切ってもらってます。
サッカーしやすいし、気に入ってます。」
「ほんと、あのももこさん、凄いよ、すべてが。」
「私も、同じように両足使えたらいいな、って思って練習始めてるんです。」
「それいいね!私ももっと練習しよ。」
「かなちゃん、もう両足使えるじゃない。」
「まだまだ、全然だよ。
そうかぁ、ももにも推しが出来たんだね。」
「はいっ!」
「私、明日から授業出ようと思ってます。」
「えぇ~、それ、広田先生に言わないと。
心配してたし。」
「広田先生!」
「なになに、恋ばな?」
「全くぅ、違いますよ。
ももが、明日から授業出るって。」
「えっ、大丈夫?
ゆっくり、ゆったりでいいのよ。」
「大丈夫です。
もう、男の子から何言われても、全然気にならなくなったから。」
「えぇ~、良かった、、どうして。」
「翔太くんが、、俺はそう思わない、って言ってくれたから。」
「翔太くんの一言で?」
「翔太くん、嘘とかお世辞とか言わない、絶対言えない人だから、ずっと前から。
その翔太くんが、そう思わないなら、他の男の子から何を言われても気にならないんです。
だから、もう、大丈夫です。」
「確かに、翔太くん、ぶすっとしてるけど、嘘とか絶対言わないよね。
お世辞なんて到底無理だし。」
「まあ、あいつ、天然だから、自覚ないと思うけど。」
「あっ、噂をすれば。」
翔太がのそのそ近づいてきた。
かなが言った。
「翔太、もも、明日から授業出るって。」
「そうか、早かったな。」
「うん。ありがと。」
「もも、がんばれよ。
そろそろ、練習やるぞ!」
翔太は、何事も無かったように戻って行った。
「あれ、さすがに無愛想過ぎないか。
先生、どう思います?」
「かなちゃん、それがいいのよ。
いらないこと言う男より、ずっといいわ。
ねっ、ももちゃん!」
「はい、、。」
ももちゃんは、ちょっと頬を赤らめながら、恥ずかしそうにうなずいたのだった。




