第31話 ももちゃん
「藤田先生、ももちゃん、ももこさんのことなんです。
最近、学校来てないみたいですが。」
「はい、実は私もほとほと困っていまして。
何回か、自宅に伺って、お父さん、お母さんとも話をしているんですが。
彼女、部屋に閉じこもってる時間が多くて、実のところ直接お話出来ていないんです。」
「秋の運動会で、クラス対抗リレーで、彼女アンカーでごぼう抜きして、うちのクラスが優勝したじゃないですか。」
「はい、凄かったです。ももちゃん大活躍でしたね。」
「それが、どうも、一部の男子、特に2人の子が気にいらなかったみたいで。」
「と言うと。」
「体力オバケ、とか、お前絶対女じゃないとか、全然かわいくないとか、もっと具体的にブスとか、そんなこと言ったらしいんです。」
「それは、、ひど過ぎます。」
「はい、私の指導不足です。
男の子達には、厳しく注意しました。
2人とも、今はすごく反省しています。
どうも、女の子に活躍されたのが悔しかったみたいです。
ほんとは、自分がリレーに出たかったんでしょう。」
「それと、うちのクラスの女子はおしゃれ好きが多くて、ももちゃんも最近は可愛い子になりたかったみたいで。」
「女の子はみんなそうですよ。」
「はい、その辺は、私も理解しきれない部分もあって。
うちの家はやんちゃ坊主二人で、女の子の気持ちは、いまひとつ。
こんなの、全く理由になりませんが。」
「そんなことがあって、ももちゃん、ショックが大きくて学校行けなくなっちゃったんです。」
「そうですか、ももちゃん、クラスのために一生懸命走ったのに、、可哀想です、。」
「私も、なんとかしないと思っていても、いい方法が見つからず、打開策がなくて、ほんとに困っていました。
仲のいい女の子が励ましに行ってくれたんですが、どうも、ももちゃん、学校が怖くて、男の子が怖くて、登校する勇気がなくなってるみたいなんです。」
「そうですか、よくわかります。
私、ももちゃんにお手紙書いて来たんです。
授業出なくていいから、良かったら、お母さんと一緒にひよこの練習見に来ない、って。
幼稚園のお友達の翔太くんもいるよって。」
「わかりました。
早速、今日帰りに届けに行きます。」
「えっ、今日じゃなくても。」
「いえ、じっとしていても、何も変わりません。
私も、この間のひよこの試合見たんです。
びっくりして、すごく、感動しました。
ももちゃんには、なんとか元気になって学校に来て欲しい。
ひよこが、彼女の気持ちに何か変化を与えるきっかけになったら、、今日、必ずお届けします。」
「ところで、少し気になることがあります。
私の取り越し苦労だと思いますが。
ひよこのチームは男の子が多い印象ですが、ももちゃん、大丈夫でしょうか?
また、傷つくようなことがあったら、取り返しがつかないと思いまして。
すみません、そんなことは無いと思いますが。」
「はい、ご心配はもっともです。
ひよこの女の子は、今は2人だけです。
でも、大丈夫ですよ。
コーチの北原先生が、言ってますから。
自分がされて嬉しいことをし、自分がされて嫌なことはしない。
このサッカーで勝っていくって。
それに、ひよこの男の子達、ちぃ、かな、二人の先輩をほんとに尊敬してるんです。
僕も、ちぃちゃん、かなちゃんみたくなれるよう、もっと頑張ろうって。
だから、きっと、絶対、大丈夫です。」
「ははっ、心配いらないですね。
この間の試合の女の子二人、すごく元気で楽しそうだった。
ももちゃんも、あんな笑顔に戻ってくれたら。」
「はい、私も、そう願っています。」




