第28話 超高速ひよこ返し
「今日は、みんなに相談したいことがあって集まってもらった。
キャプテンのかなにも、来てもらっている。
かな、いつもありがとう、感謝してるぞ。
大鷹に勝ったことで、実は、年明け2月に練習試合の要望が来ている。
かなりの強豪チームだ。
俺は、春の市大会に向けて無理のない範囲で練習試合をしたいとは思っていた。
とは言っても、正直、寒い時期に強すぎる相手との試合は避けたい気持ちもある。
そんな訳で、みんなの素直な意見を聞かせて欲しいんだ。」
「強豪って、どこですか?」
「うん、かなも知ってるチーム、そう、あの荒鷲サッカークラブだ。」
「えっ、今までひよこなんて見向きもしなかったのに。」
「そう、ひよこが大鷹に勝ったのを聞いて気が変わったのかもな。
市大会前に、ひよこがどうやって大鷹に勝ったのか見ておきたいのかも知れん。」
「ええっ、荒鷲サッカークラブって、そんなに強いんですか?」
「広田先生、荒鷲は市大会優勝複数回を誇る市のトップチームです。
大鷹はツインタワーはいるけど、基本的にはパスサッカー、早い球回しでゲームを支配してくるチーム。
一方、荒鷲は、むちゃくちゃ固いディフェンスからの、名前の通り荒々しい高速カウンターが持ち味のチーム。
大鷹とは、全く別の強さを持っています。」
「かなは、どう思う。」
「はい、正直、今のひよこの戦力ではかなり厳しいですね。
ボロ負けして、みんなが自信を失わないか心配です。
でも、ちぃちゃんの卒業前にもう一試合出来るのは嬉しいし、、かなり悩みます。」
「そうだなあ。
市大会を前にして、自信を失うのはマイナスだしな。
荒鷲は断って、無理の無い相手を探してやる方が無難かもな。」
「翔太、孝太、裕太、どう思う。」
「僕は、荒鷲のサッカー見てないから判断しづらいです。」
「僕も孝太と同じかな。荒鷲を知らないと何とも言えないです。」
「翔太は?」
「俺は、みんなが良ければ、やってみたい、、って思う。
大鷹の試合終わった後、まだひよこプロジェクト続けたいって言ったのは、春の市大会で、このみんなで優勝したいと思ったから。
あの時、ひよこの力を合わせれば優勝できるって思った。
本気で、市大会の優勝を目指すなら、荒鷲から逃げていたら駄目だと思う。
それに、、俺は、荒鷲が、絶対ひよこが勝てない相手だとは思わない。」
「翔太、、、わかったよ。
私も、荒鷲と試合してみたい。
市大会で、毎年初戦敗退のひよこ。
失うものなんて、何も無かったこと忘れてた。
そこにあるチャンスはつかまないと。
北原先生、私も、荒鷲と試合したいです。」
「2人がやる気なら、僕も賛成です。」
「僕も賛成。むしろ、やってみたいです。」
「マジかっ、!
みんな、俺っ、、嬉しいよ。
ほんとは、俺も、やってみたかったんだ。
よし、荒鷲の動画や情報はすぐ用意する。
なんか、燃えてきたなあ。」
「広田先生、市大会優勝に向けたひよこプロジェクト、スタートしましょう!」
「はい、もちろんです!」
「ところで先生、私、荒鷲に勝つための秘密兵器を、秋の運動会で見つけたんですが。」
「うん?
かな、そんな子うちの学校にいたかなあ。」
「4年生の女の子、むちゃくちゃ足が早いんです。
サッカー経験は分かりませんが、運動能力は抜群です。
あの子をひよこに迎える事が出来れば、堅守速攻で鳴らす荒鷲に対抗する強力な武器になります。
彼女のスピードがあれば、
荒鷲の速攻を超える、、そう、、
超高速ひよこ返し、ができると思います。」
「超高速ひよこ返し、っっっ!!」
その力強い響きに、かつてない、激しいひよこ震いが止まらない法子であった。




