第25話 ひよこの謎
「翔太くん。
あれ、どうやるの?ボール上げるやつ、教えて。」
「あれね、よし、ちょっとやってみようか。」
「広田先生、お願い、ちょっと来て!」
「なになに、練習相手、ふん、翔太くん、いいよ。
こんどは、負けないわよ!
かかってきなさい。」
翔太は、興味しんしんな低学年の子供達にシャペウを教え始めた。
孝太と裕太は、何やらいろいろ難しい話をしながら見守っている。
帰り支度が済んだ大鷹のコーチや選手が通りかかった。
「北原先生、今日はいい勉強になりました。
ありがとうございます。」
「本田先生、こちらこそありがとうございました。
凄くいいチームと試合させてもらって、ほんと感謝してます。」
「ところで、ずっと先生の近くにいた2人の男の子は?
選手じゃないみたいですが。」
「あっ、あの2人ですね。
2人には、分析、戦術、作戦、システム、選手の育成、とにかくいろいろやってもらってます。
今日勝てたのも、あの2人のおかげです。」
「えっ、小学生に、、ですか、。」
「はい、小学生でも関係ないですよ。」
「そうなんですか、、、驚きました。」
「で、あの黄色いジャージの女性は?
フィジカルコーチとかですか。」
「あの人は、隣のクラスの担任の先生です。」
「えっ、ただの先生ですか?」
「ただの先生というか、メンタル担当っていうか、癒し枠っていうか、おもしろい人っていうか、勝利の女神っていうか、とにかく、ひよこにとって欠かせない人です。」
「はあ、、、いろいろ参考になります。。。」
翔太に、帰りがけの大鷹の10番が声を掛けた。
「お前、しかしアホみたくサッカー好きだなあ。
名前は?」
「翔太!」
「俺は竜太!」
「またな。ゴールして泣くなよ、竜太!」
「翔太、お前って、全く、。
後3分くれたら、ぶち抜けたのに、って悔しかっただけだよ。」
「俺もそう思ってたよ。竜太。」
「ふん、じゃあな。今日は楽しかったよ。」
「ああ、楽しかった。またやろうぜ。」
「ええ〜。また、太なのっ。どうしてえっ、っ、。」
熱狂が冷めたグラウンドに、ただ法子の素っ頓狂な声が響いていたのだった。




