第22話 シャペウ
翔太がベンチに近づいてきた。
「あと何分。」
「あと、、、3分だ。」
「1分になったら教えて。」
「了解だ。翔太、当然勝ちにいくんだろ。」
「先生、当たり前、、約束だろ。」
翔太は、1人左サイドに向かって走っていった。
ひよこのキックオフで再スタートだ。
〜ピーー!〜
センターサークルのカズキが、後のかなに戻す。
かなは、左サイドの翔太に預けた。
翔太はゆっくりとドリブルで敵陣に入っていく。
大鷹の選手が2人近づいてきた。
翔太が何かやってくると警戒しているのか、むやみに間合いを詰めない。
「シャペウに気をつけろ。」
大鷹のコーチが声をかける。
シャペウで抜かれた場合を警戒して、大鷹の選手がさらに2人左サイドに寄ってきている。
他の大鷹の3人の選手は、センター周辺のかなやカズキ達を警戒している。
ひよこのディフェンスも、左サイドに寄って翔太の戻しに備えている。
「あと1!」
北原コーチの声が響いた。
「、、、そろそろか。」
翔太はボールをすくい上げた。
「やはり、シャペウ、、えっ、後に、、。」
翔太は、後に向かってすくい上げたボールを、戻りながらダイレクトで斜めに蹴り込んだ。
大鷹もひよこも、誰もいないはずの敵陣逆サイドに。
「ミスキック?」
誰もがそう思った、、、。
しかし、誰もいないはずの逆サイドで誰かがボールをトラップし、すでにゴールに向け一直線に走り出している。
ちぃは、カズキやかなの後の死角をするすると移動し、誰にも気づかれることなく右サイドに移動していたのだ。
「任せた、ちぃちゃん!」
翔太は小さくつぶやいた。




