第2話 北原先生
「広田先生おはようございます。
しっかし、今日も暑いですね。」
「はい、北原先生おはようございます。」
学校に来るだけで全身すでに汗だくの法子は、つとめて涼しい顔で答えた。
北原先生は五年目の先輩男性教師だ。
同じ4年生、隣のクラスの担任だ。
法子は2組、北原先生は3組だ。
元大学サッカー部で、子供達や保護者からもむちゃくちゃ信頼されている。
そして法子も北原先生を尊敬している。
教師として、人として、、、。
そう、何を隠そう法子は北原先生にほの字なのだ。
しかし、ここは神聖な学業の場。
絶対に、そのことを周りに悟られてはならない。
「北原先生、すごく焼けましたね。」
「いやあ、夏休み学生時代の仲間とサッカーしたり、子供達のプールやサッカーに付き合ってたら、こんなですよ。」
北原は、ワイシャツの腕をめくり焼けた腕を法子に見せた。
〜きゃー。北原先生の筋肉質な腕、焼け焦げた黒パンみたい、美味しそう。パクッ、なんてね。
クラッ、、、本当アスファルトに飲み込まれなくて良かった。ご馳走様です〜
という教師にあるまじき、いけない気持ちをひた隠しにし法子は冷静を装い答えた。
「真っ黒になるまで、暑い中本当ご苦労さまです。
夏のプールお手伝い出来なくてすみません。」
「いえいえ大丈夫ですよ。それに、真夏のプールなんていたら、広田先生が黒パンになっちゃいますよ。」
「ええっ、黒パンだすと!」
ひょっとして、北原先生に私の心を読まれたの?
北原先生、読心術までも習得してるの。
凄すぎる。
と勝手に関心していた。
法子は動揺すると、訳の分からない方言が出てしまうのだ。
「すみません。女性に黒パンなんて大変失礼しました。
あっそうそう、先生のクラスの元気な男の子、翔太くん。
夏にサッカー指導をしてて、ちょっと気になることがあったんですが。ご相談してもいいですか。」
「ええっ!翔太くんが何か?」
「忙しいところすみませんが、放課後少しだけお時間を頂けますか?」
「はい。」
こうして今日も、本当は黒パンになりたかった恋に恋する新米小学校教師、24歳広田法子の一日が始まったのだった。




