第12話 決戦前日
「翔太、もうパス出すのも受けるのもバッチリだね。
相手が受けやすいように考えてるよ。」
「まず周り見えるようになったね。
最初はびっくりしたよ、パスする前に相手ちゃんと見てなかったし。」
「したとしてもシュートみたいなパス、あんなのプロしか受けられないよ。」
「ごめんごめん、反省、、いろいろありがと。」
「翔太、もっと恐い人だと思ってたよ。」
「俺ずっと母ちゃんと二人で、兄弟とかいないしあんま人と話す機会なくって。
何話したらいいか分かんなくて、今流行ってることとか知らないし、変なこと言ったらバカにされるって、いつもビクビクしてたから黙ってた。
それが怖くみえたのかな。
俺ってもともと顔恐いのかなあ。」
「ははっ、そんなことないよ。
僕も学校入ってから、こんなにいっぱい話したのはじめてだよ。
ネットではチャットとかバンバンするけど、リアルはめんどいと思ってた。」
「僕は別に話しをする必要ないなと思ってた。
どうせ、話題も合わないだろうって。」
「あっ、翔太くんとお友達だ。明日がんばろうね。」
「うん、ちぃちゃん、かなちゃん、がんばろう!
お疲れさま。」
「まさか翔太が女の子と親しく話すようになるとはね。」
「俺もびっくりだよ。」
「このグラウンドで試合できるのは大きいよ。」
「クラスの子たち、女の子も応援に来てくれるみたいだし。なんか嬉しいね。」
「女の子にはやさしくって約束、意味あったじゃん。」
「広田先生の希望だけど、それサッカーに全然関係無いじゃんって思った。」
「まあ、なんか効果あって良かったね。」
「いろいろ約束したけど、何とか守れて嬉しいや。」
「変な約束もあったけど、まあ面白かった。
やってたら当たり前になってたしね。」
「意見が合わなくても、必ずその日のうちに話し合いで解決することって、本当大事だったよね。」
「そうそう。
先生にうまく乗せられた気がしてたけど、まあいいんじゃない。面白かったし。」
「明日、作戦うまくいくかなあ。」
「大丈夫だよ。」
「うん、きっと大丈夫。」
「来週日曜日、僕んちでゲームやらない。
翔太も啓太もマジ強くなってきたし。」
「いいね、僕も新しい戦術とか考えたんだ。」
「来週はプロジェクト終わってるよ。」
「いいじゃん、別に。」
「そうだね。別に関係ないや。」
「そうそう。関係ないよ。」
法子はそんな3人の姿を、2階の廊下の窓から見つめていた。
「広田先生。」
「あっ、北原先生。
前日練習お疲れさまです。」
「お疲れさまです。あの3人を見てたんですね。」
「はい。なんかすごく立派に見えて。」
「立派です、本当に。
いよいよ明日ですね。」
「はい、いよいよです。」
「あっと言う間でしたね。」
「本当に、あっと言う間、、。」
「勝っても負けても、怪我なく無事に終えてくれたら。」
「そうですね。
でも、、、勝てますよ。」
「本当ですか。」
「そうですよ。たとえ試合に負けたとしても。」
「そうですね。
負けたとしても、すごくがんばったから、、すでに勝ちですね。」
「はい、頑張り勝ちです。」
「はい、頑張り勝ち、、、ですね。
あれっ、目から汗が、、、止まらないや、、。
ごめんなさい、、、。」
「広田先生、、全く、もう、、早すぎですよ。」
翔太、孝太、裕太が、法子と北原先生に気づいて手を振っている。
法子は、ぴょんぴょん跳ねながら大きく手を振ったのだった。




