第1話 新米小学校教師の日常
「広田先生、おはようございます!今日も暑いね。」
「あっ、はい、吉田先生おはようございます。」
新米小学校教師広田法子は学校に向かって歩いていた。
今日は9月1日、秋の新学期のはじまりだ。
まだ残暑厳しい道を、法子は懸命に歩いていた。
「進まない、どうして、足がアスファルトにくっついて離れない。うーん、重いよ、離れろ、えい、何で私だけくっつくの。」
汗だくで孤軍奮闘する法子の横を、手押し車を押すおばあちゃんがスイスイ追い越していく。
「あんた、朝から何しているんだい。
ふん、変な子だねえ。
暑いから気をつけな。水分補給だよ。」
「ありがとうございます。頑張ります。」
「校門が見えてきた。
もう少し、あと50メートル、頑張らないと学校に遅れちゃう。」
法子の気持ちに反して、ベトベトしたアスファルトの吸着力は更に増していく。
「私の足を離せ、いえい、、全然だめえ、
もう限界、、、助けて。」
〜キンコンカンコン〜
「終わった。」
法子はその場に崩れ落ちた。
そして、法子の体は粘着性のあるアスファルトに吸い込まれて行くのだった。
「ああ、苦、し、い、、、」
〜法子、朝だよ、朝だよ。
〜そんなだから彼氏も出来ないんだよ。
いい加減、とっとと起きな法子!
〜起きろ法子!起きろ法子!、、、
母からの就職祝いの目覚ましが鳴った。
「お母さん、うるさっ!」
〜バシッ〜
「はっ、夢っ、マジ、死ぬかと思った。
ふう、夢で良かった。
暑っつう。」
「しかし、最近、こんな歩いても歩いても進まない夢ばかりよく見るわ。
何で、ちょっと調べてみよ。
不安、焦り、プレッシャー、、、はあ、そうかもね。
まあ、悩んでても仕方ない。
やるしかないでしょ。
よし、今日から秋の新学期。
法子さん頑張っ、学校いくぞ!」
こうして今日も、汗だくの新米小学校教師、広田法子の変わらぬ日常が始まったのだった。




