第21話 クール美人
「お…お…おんな〜⁉︎」
今まで戦っていた勇者がまさか女性だったなんて…しかもめちゃくちゃ美人。
俺のパーティーメンバーやアルターのところの女性陣も客観的に見れば、かなりの美人揃いだと思ってたが、"クール”という分類なら、間違いなく彼女がトップだろう。
「まさか、仮面の勇者様が女の子だったなんて、ウチびっくりだよ!」
カナも目を丸くして驚いている。
「あ…あまり顔を見るな。照れるだろ」
照れてる勇者可愛い。ツンデレかな?
「ゴホンっ!確かに勇者が女性で俺も驚いたけど、本題はそこではないよね」
ふわふわしている俺たちに、アルターが咳払いをしながら釘を刺す。
「そ…そうだったな!…で、どうして俺たちのパーティーを襲ったんだ?仲間も大ケガ負ったんだぞ」
「本当に申し訳なく思っている。今回の件が終われば、私を国王軍に連行してっても構わない。ただ…どうか1つだけお願いがある。この洞窟には、もう近づかないでほしい」
「ん?洞窟には近づかないでほしい?そもそも私たちはあなたーーいや、ケルベロスの討伐をしに来たのです。あなたが捕まれば、そもそもここには用が無くなりますよ」
マーラが小首を傾げながら、言う。
「いや…実は、ケルベロスはまだいるんだ。この洞窟の奥に…」
「えぇ?」
「でもでも、ウチたち、ここまで戦っても気配すら感じなかったよ?」
「それも当然だ。私のパーティーの盾士が命を犠牲にしてケルベロスを洞窟奥に封印したからな」
「命を犠牲に?」
「あぁ…そうだ。そしてーーそこの君。剣聖の天賜を授けられた勇者だろ?」
「そうだぜ。俺は国に選ばれた勇者。レイン・ナイトレットだ」
「だろうな…剣を交えれば分かる。そして私は、君のひとつ前の世代で国に選ばれた勇者、エル・キーマット。3年前、私たちパーティーはこの洞窟で、ケルベロス討伐の任を受けた。だが、私以外のメンバーは……全滅した」
「……!」
「盾士が命を賭けて封印したケルベロスを、誰にも解かせないように――それから私は、この場所に来る者たちを退け続けてきたた」
「……そうだったのか」
「あぁ…でも本当にすまない。言葉で伝えてもダメだと思っていたんだ。だから、あえて敵として振る舞った。君たちの仲間を傷つけてしまったこと、本当に申し訳ないと思っている。どうか謝罪の機会を与えてほしい」
「ふん……自分なりにしっかりとした意味があった行動だったんだな。まだ、純粋悪の方が扱いやすかったぜ。…いいぜ、仲間に謝らせてやる。ただ、それは奥のケルベロスを倒してからだけどな。お前を国王軍に連れてくかどうかもそれから決める」
「やめろ!私たち勇者パーティーが破られた相手だぞ!誰にも封印は解かせない!あれを解いたら、今度こそみんな絶滅だ!国に甚大な被害が出る!」
「俺たちも勇者パーティーだ!お前の気持ちを分かる!だがな…お前のとこの盾士は本当にそれを望んでると思ってるのか?」
「…いや…それは…」
「だろ?言葉に詰まるのは、自分でも分かってるからだ。……俺たちは強い。それに、お前と俺ーー勇者が二人揃って戦える機会なんて、もうないかもしれない。今こそ、決着をつけるべき時だ」
「そうですね。私も鑑定士として精一杯サポートします」
「ウチもそう思う。ウチだってSランクの弓聖の天賜を授かった弓士。戦いに関してはそれなりに自信があるよ。それにウチのパーティーのアルターはモンスター吸収ができるチート能力持ち。今回で決着つけようよ!」
「…ありがとう。君たちの気持ち、とても感謝する」
俯いていたエルの目が、ほんの少し光を取り戻していた。
「冒険者の先輩として、とても恥ずかしいところを見られてしまったな……すまない。では改めてお願いするーー私と一緒にケルベロス討伐をしてほしい」
「「「「任せろ!」」」」
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