第19話 勇者…再び。
洞窟を進んでいた俺たちは、ついにーー前回ヤツにやられた場所まで辿り着いていた。
洞窟はとても暗い。エルセーヌの魔法で前回は照らしていたが、彼女は不在。
しかし、今回は小型ライトがあって助かった。
出発前、ハルが《交換》の力で生み出した、たくさんの回復ポーションと小型ライトを託してくれたのだ。とてもありがたい。
「そろそろヤツにやられたところくらいだ。アルター準備頼む」
「任せて」
ーーその瞬間。
「《剣聖》の天賜よ……我が魂に応えよ!」
あの時と全く同じ声が、洞窟の奥から響き渡る!
「来た!アルター、《格納》を頼む!」
「闇絶陰剣」
一閃。
闇を裂くように、鋭い斬撃が一直線に飛んでくる!
「みんな俺の裏に隠れて!」
「《格納》の天賜よ……我が魂に応えよ!」
「零識格納ッ!!」
漆黒の空間が一瞬だけ開かれ、ヤツが放った斬撃は
ーー吸い込まれて、音もなく消えた。
「ナイス!さすがウチのアルターだね」
「本当にすごいです!」
ーーコツ、コツ、コツ…
暗闇から聞こえて来る足跡の音が徐々に大きくなっていく。
そしてついに、俺たちの視界にヤツの姿が現れた。
「仮面⁉︎」
「勇者は顔を隠してるね。ウチの弓で撃ち抜く?」
カナは軽い調子で言うが、その目は真剣そのものだった。
勇者は鬼の顔のような仮面を付け、漆黒の鎧を身に纏っていた。
「《アイテムサーチ》」
マーラのメガネが僅かに光を帯びた。
「マーラ⁉︎」
「今、彼の仮面を解析しました。もしかしたら、あの禍々しい仮面に操られているのかと思いまして……ですが、残念ながらその可能性はありませんでした。自分の意思で私たちを攻撃しているようです」
「くっ…まだその方が俺らも気持ちが楽だったのにな」
俺は歯を噛み締めた。
「とにかく、勇者の仮面を狙おう。できれば、血を流しなくないし、流させたくない」
「そうだな、アルター。お前の《格納》やカナの矢で狙えるか?」
「どうかな?彼の動きがあれだけ鋭いと、ウチの腕じゃ少し厳しいかも」
「それなら私に良い考えがありますよ」
キラリ、と。
マーラがメガネを押し上げながら、どこか誇らしげに微笑んだ。
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