妻が可愛すぎてツラい
「旦那様、離縁してください」
「は?」
執務室に突撃して来たのは妻のアシュリー。
そして突然、妻から離縁を言われた男はミカエル。
「どうしたのだ?私達は上手くやっていると思っていたのだが」
「はい、上手く恋人を隠してましたわ」
「ん?恋人?」
「先程のお茶会で、貴方の恋人だと言う女性……メリンダ様から旦那様を解放しろと言われまして。結婚の時に交わした約束覚えてますか?」
「あぁ、浮気するなら存在を隠せだったな」
「はい、旦那様は隠しきれませんでした」
「私には恋人はいない。いるのは愛する妻だけだが」
「そうなのですか……既に妻に迎える予定なのですね」
しゅんとするアシュリー。
「あのな……言い方が悪かったな。私が愛しているのはアシュリーだけだ」
「…………でも旦那様はもっとバイ〜ンとした身体の女性がお好きですよね」
アシュリーは自分のささやかな胸の前で表現する。
「あははは、昔は好きだったな。でも今は手の中に収まる位の胸が好きなんだがな」
「旦那様……私は旦那様が大好きなのです」
「あぁ、私もアシュリーが大好きだよ」
「じゃあ……離縁はしない?」
「あぁ、するつもりは無い」
「メリンダ様は?」
「確かに昔は恋人であったのは確かだ。しかし、今はアシュリーだけだから浮気はしていないし、するつもりもないな」
「そうですか。良かった」
「アシュリーおいで」
膝をポンポンするミカエル。
恥ずかしそうにしながらも口元は緩むアシュリーは夫の近くに行く。
ひょいと抱き上げられて膝の上に座る。
「さて、ミランダをどうしたい?」
「ミランダ様には……私が旦那様に愛されている事を見せつけてやりたいですわ」
「ふふっ、それでは次の夜会は一緒に出席しようか」
「いいのですか?お仕事は?」
「まぁ、大丈夫だろう。殿下に話してみるよ。ちなみに仮に他の女性と再婚したいと言ったら?」
「そうですわね。私を離れにでも置いてくだされば嬉しいですわ。遠くから、この子と一緒に旦那様を眺めてますわ」
「ん?この子?」
「えぇ、ここにいますわ」
薄い腹を撫でるアシュリー。
「アシュリー?君は私に大切な事を言うのを忘れているようだな」
「……そうでしたわね。ご迷惑にならない様に旦那様のお考えを聞いてから言うつもりだったのですわ」
「そうか……子供が出来たのか」
アシュリーの首筋元に顔を寄せてるミカエル。
「ふふっ。旦那様、お髭がくすぐったいですわ」
「君の好きな髭だろう?」
「大好きですわ」
「さて……今日は急ぎの書類は片付いたらから早いが上がっていいぞ」
「宰相殿、ありがとうございます」
「ミカエル宰相。おめでとうございます」
「楽しみですね」
事務官達は帰り支度をし席を立つ。
静かな執務室。差し込む夕陽。
「アシュリー、愛してるよ」
優しくキスを繰り返す。
「私も愛してますわ」
「私達も帰ろうか」
「はい、旦那様」
週末開催された夜会に夫と参加するアシュリー。
仲良く腕を組み時折ミカエルのキスを頭に受ける。
「あら、アシュリー様よ。結婚してから初めての夜会ではなくて仲睦まじく何よりですわね」
「宰相様の粘り勝ちでしたからね。変わらず可愛らしいわね。あら、ヒールが低いですわね」
「あら、本当だわ。ご懐妊かしらね」
国王は挨拶をする。
「今日は夜会への参加感謝する。報告だが、私の可愛い娘のアシュリーより懐妊の報告を受けた。宰相と末姫に祝福の拍手を」
会場では大きな拍手が起こる。
アシュリーは赤い顔で会場を後にするメリンダ見つけた。
国王の隣で挨拶をする2人。
「旦那様、ありがとうございます」
「このような事でいいのか?」
「充分ですわ。さぁ、踊りましょう。家族3人で初めてのダンスですわ」
皆の祝福を受けて、楽しくダンスをするアシュリーであった。
「旦那様……下ろしてください。恥ずかしいですわ」
「愛する妻と子に何かあるといけない」
――1ヶ月後
「旦那様?したいですよね」
「ん?大丈夫だが?」
ベッドに入り手を繋ぐ2人。
「旦那様?」
「ん……確かにしたいが、まだ許可がでていないのだろう?」
ミカエルは横向きになりアシュリーを自身に引き寄せ向き合う形となりアシュリーはミカエルに伝える。
ミカエルはアシュリーの髪を一房掬いキスをする。
「私は大好きな旦那様の為に聞いてきたのです」
「は?誰に?」
「はい、お姉様とお義姉様にです」
「それで何を教わってきたのかな?」
「旦那様の欲を発散する方法です」
「…………大丈夫なのだが」
「ダメです。他の女性とするのは……」
「大丈夫だ。誰かとしようとは思わないから」
「しかし……私も旦那様に触れたいのです」
「アシュリー?」
起き上がり恥ずかしそうに夜着を脱ぐアシュリー。
「アシュリー……変わらず綺麗だが……」
アシュリーの顔を撫でた手はゆっくりと身体を降りていき、お腹を撫でる。
ふっくらとしたお腹と以前より膨らんできた胸。
その胸を見て、アシュリーは残念そうに伝える。
「教えてもらったのですが」
「ですが?」
「困った事に私には……ささやかな胸しかないのです」
「成る程ね」
アシュリーの腹にキスをするミカエル。そして自身も夜着を脱ぎ、アシュリーを寝かせる。
「大丈夫だ。私に任せて。一緒に気持ちよくなろうか」
スヤスヤと眠るアシュリー。
「はぁ……妻が可愛すぎてツラい」
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