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寄生虫  作者: 弁財天睦月
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「そうですね、健康に関する特別なものになりま〜す。

ありそでなかったもので〜す。

もしも自分の命がピンチになった時、これがあればあら不思議。

たちまち健康を取り戻すことができます〜る」


へ〜そんな便利なものがねぇと優明は単純に関心していた。

信じるか信じないかはあなたしだいってやつか?

でもちょっと興味を持ったのも事実だ。

それは優明の職業にも関係しているからだ。


これで〜すと大きな鞄から取り出したのは手の平に乗るほどの小さなケース。

これを見ていったいどう判断すればよいのか?

意表をついた小ささ。

騙されたとまでは言わないが真面目に聞いて損したなという気分にはなった。

緊急事態になった時に命を救うためのものがこんな指輪のケースほどの大きさのものの中に入ってる?

まさかと思うのは当然だろう。


「そう簡単には信じられないと思いま〜す。

あたりまえで〜す。

いきなりですいませ〜ん。

でも本物の本当のことで〜す。

元々の販売価格は1,000万円ということで契約してました。

自分の国に持って帰ることができないので困っておるのです。

契約した限りは必ず販売はしなければならないのがルールなのですわ。

でも買ってくれる予定だった人が亡くなっちゃいました。

このままでは帰ることができないのでありま〜す。

なので必要だと思われる方に今回だけのスペシャルな価格でお譲りしたいと考えております。

誰とでもってわけにはまいりません。

わたくしがこの人だと認めた方だけにで〜す」


ピエールは息をする暇もない勢いで一気に説明してくれた。

ピエールが困っているのはわかるが、そんな話を聞かされた優明にしても非常に困ってしまう。

本当にそんな便利なものだとしたら興味はあるんだけどね。


「それで、それをいくらで売るつもりなの?」


つい訊いてしまった。

1パーセントでも関心があればとりあえずは尋ねてみたくなるよね。

訊くのはタダだし。

すると意外すぎる答が返ってきた。

なんと1万円。

なんと、なんと、当初の価格の1/1000って。

えっ、何割引き?

どんだけ〜って感じで怪しさいっぱい。


1万円か〜っと優明は思った。

1万円で夢を買うってのも悪くはないんだよねと思ったりもした。

それは怪我が多い優明の職業とも関係しているからだ。

酔狂と気まぐれと人助けだと思って1万円ならとその特別な緊急事態用の救命商品なるものを購入した。


ピエールとしてはこの青年に対して非常に感謝している。

商品は本物だ。

営業マンのルールとしては商品を持ち帰ることは禁止されている。

目標金額には届かなかったが商品完売という最低条件はクリアできた。

これで魔法の国に帰ることができる。


優明は部屋に戻ってからケースを開けてみた。

中にはかぜ薬のような小さなカプセルがひとつ入っていた。

ピンチになった時にこれを飲めばいいって言ってたよなと謎の営業マンの言葉を思い出した。

どんな症状にでも効く万能薬のようなものなのか?


いざとなったらどうするかわからないけど今のところは必要なさそう。

でもなぁ、薬だとしてもこれって飲んでも大丈夫なんだろうか?

正規の薬ってわけでもなさそうだし、変なことになったりして?


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