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いつから飛んでいたのでしょうか。かなりたくさんの距離を飛んでいたようです。そしてその飛行はこれまでになくとても楽しかった。でも、その飛行ももうここで終わりなのです。私の知らないうちにいつの間にかたどり着くべき所にたどり着いてているのです。
見渡せば辺り一面の淡い桜色の平原、雲のようなふうんわりとしたマシュマロ感に包まれたこの場所は、淡い色の桜色。春のような温かさ、そして優しさ、そしてこの静けさ。音が何も聞こえてこない。
この静けさにもかかわらず、ここには私だけがいたのではありません。数は少ないのですが私よりも先に何人かは到着していて、それぞれ何か目的を持って歩いているようです。好き勝手に歩いているのではなさそうです。人々を見ている私は、私がどこか好きなように行きたいとしても、それはとても難しいと思われてきます。人々はとても静かに歩いていて、行くべきところをみんな心得ているように見えます。しかし私には行くべき所が思い浮かびません。私は歩いている人の手に切符を見つけます。もう一度辺りの人々をよく見ると、かなりの人が手に切符を持って歩いています。切符を売っている一人の駅員らしい人と、その人から切符を買っている人もいます。私も切符を買うべきなんだろうな、と思います。私は駅員の方をチラッと見て少しだけ駅員に近づき、そこで立ち止まってまた見ます。そして不安げながらまた少しずつ近づいていきます。
なぜそんなに不安?私にはお金がないのです。