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35-13

そうしてそこに大の字になって、草の上に気持ち良さそうに倒れています。そして、しばらくあって辺りを見ると、悲しくも、自分が気付かないうちにまた元のお花畑に戻ってきているのが分かります。私は元のお花畑の中にあった右側の扉の近くにいます。必然性の崩れが起こって連続性の必然が効かなくなった、とかなんとか、あまりよく意味の通らないことが頭の中をよぎります。

 クリスマスの夜、寒空の下で湖の向こうから吹いて来る風に身を任せて、風の浮力に遊びながら湖の畔で一人焚き火を燃やして体を温め、真冬のオリオン座を見上げている。そんな訳も分からないが深いしみじみとした寒さが体の表面だけすっとぜんたいを包むように広がって、波の音と冷たい風が体の表面を走るけれど、体の内側は逆に焚き火の明るさが温めていてくれる、そうしてそこに私はいる。

 私はかつて湖の畔に住んでいて、湖の対岸から吹いて来る冷たい風には、体の内面にある汚れた部分を削り取って行くような、そんな不思議な力があることを知っている。夏の暑い日の風より、冬の寒い時期の風の方に、より強くその不思議な力を感じたものだった。昔はよく体に風をまとって、少しだけ私は私自身から軽くなっていた。

 この草原のような場所でも軽くなりたい。ここならば昔よりもっとそうなれるのかもしれない。

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