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35-7

 とても広く美しい庭の中に立っているよう。星、美しい夜の星空。全体に濃く青く深く、心落ち着かせる世界。限りない地平。

 誰も行かない右の扉。左の方には大行列。さっきまで誰もいなかったように思われた右の扉。

 今見ると、右の扉の前には一人の子供。

 右の方の扉の表面は、油絵の表面のようにゴテゴテ、色はサマルカンド廟のような目にも鮮やかな青。塗装が剥げかかったところから、ブロンズを磨いたような金属光沢。

 一人の不思議な服を着た子供が右の扉に向かって行きます。子供が重そうな扉を押して、少し扉が開かれます。私はそれを遠くから見ています。

 子供は扉をちょっと開けて中を覗き込むようにしますが、光に押し戻されるようにして仰向けに倒れてしまいます。その時にその子の顔が初めて見えたのですが、目は細く、顔はふっくらとして丸く、できたてのあんまんのような顔です。深い青色のセーラー服とセーラー帽をしています。幼くて無垢な子供には見えません。猜疑心に満ちた、あまり好ましくない感じの子供です。

 私には何かを思考するという行為が怖い。周りをなるべく見たり観察したりしないで、向こうから何かが来て自分を連れ去ってくれるのを待っていた方がいいに決まっている。その方が危険が少ない。何かを見ると何かを思う。その思う内容が怖い。周りの景色に対して悪い評価ばかりしてきた今までだから。

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