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私は扉を開けて中を見ます。見ると、その扉の向こうのお花畑の中にも扉が置いてあるのがすぐに分かります。お花畑には扉が二つあります。建物は何もなくて、扉だけが空間に浮き立つように二つ置いてあるのです。左の扉が開いていて、右の扉はまだ閉まっています。そして、とてもとても大勢の人々が遠くの方からやって来ています。終わりなど全く見えない、とてもとても長い行列です。こんなに大勢の人はテレビでも見たことがありません。一番乗りではないのが少し残念です。
人々は左の扉の方へと入って行きます。こんなに大勢の人が列を乱さずにちゃあんと順番に並んでいるのも不思議です。扉の色は宮殿の絨毯などに使われていそうな、深紅の色です。人々は扉の先に何があるのかを知らずに並んでいるのではないようです。ちゃんと分かって並んでいるのです。