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これまではほとんど何も見えていなかった。でもこれからは違います。何となく敵が見えてきています。敵が見えてきているからには、もう扉は開いているということです。これまではずっと暗い中を飛んで来ていたのですが、もうこれからは大丈夫、少しずつ明るくなっていきます。扉から出る光が体に当たって、今まで真っ暗で自分の体も目で認識できなかったものがこれからは違ってきます。その扉に向かってさらに近づいて行くと、白い光がその扉から溢れ出ていて、その扉の色は赤錆びた鉄の色にも似ていて、大きさはありふれた物と同じだけれど、それでもかなりの重さがありそうで、けれどもその色や形からは温かみが伝わってきて、清潔感が感じられる扉です。
さあ、もう扉に手届きます。扉は大きく開いています。さっきよりもさらに大きく開いています。扉から少しだけ顔を出して向こう側をのぞくと、光で曇っていた扉の向こう側の光景がサッと晴れて、お花畑が広がっているのが見えてきます。私はここで何かを探すようになるらしいのです。