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29 R君と色相環

男の出した論文は好評だった。海外の有名大学や企業やマスコミからもたくさんの引き合いがあったが、男は研究室の同僚で中国から来た留学生と組んで、結婚相談のような出会い系サイトのようなビジネスを始めた。

事業は出だしから快調な滑り出しで、会員数はどんどん伸びていった。特に中国での伸びが大きかった。長年の1人っ子政策で子供の数が減り、自分の子供にはなるべく良い相性の異性と結婚させたいという裕福な親が増えたためだった。そういった親の世代には、明確に数値化された相性表は神の託宣に近かった。

世界中の離婚率が減少していった。会社は世界的な大企業へと発達していった。男はすぐに飽きてしまい、会社の権利を全部R君に譲って、再び研究に戻った。R君はフォーブスの紙面を飾ったり、世界の100人に選ばれたりしている。中国国内ではノーベル賞に推す声もあるそうだが、実業家がノーベル賞なんてありえない。笹川良一でもあるまいし。

男は研究室に戻って、どうしてもモテナイ人々の研究を始めた。どういった状態がモテナイ状態なのかも分かりづらいし、そもそもサンプルが集まらない。数値化が大変な作業だった。男はとにかく人にあたった。多くの人に会い、その人の特徴をつかもうとした。

ある日、男はタバコ臭い女性と食事をし、どうも心に引っかかる部分があったので、うまいこと言って脇の汗を採取させてもらった。研究室に戻って汗の成分を分析し、成分ごとに色をつけてバランスの取れた色相環を作った。次に自分の汗の成分から色相環を作り、それをコンピューターグラフィックス上で重ねてみた。

研究はうまくいった。男の予想通りの結果だった。予想以上にはっきりとした結果が出た。男はR君にその結果を報告し、R君は特許を取り、世界中の離婚率はますます低下した。離婚訴訟で商売をしていたアメリカの多くの弁護士が干上がることになった。まあ、それはめでたしめでたしなこと。

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